彩瀬まるさんの本を読むのは、ちょっとだけ久しぶり。忘れる程前にリクエストしていて、何でこの本を読もうと思ったのかさえ覚えてない状態で読みました。
細やかな配慮、人への優しさを感じる処が一杯あって、辛い内容だったけど読んで良かったです。4つ★
登場人物はメイン4名。(青子、かやのん、ゲンゲン、たくま)
大学時代の合気道の時の仲間。男子2名と女子2名。
この仲間の関係が凄く良いんですよ。恋愛感情とか無しに距離感を少し持ちつつ優しく仲良くできる関係。いいなあー!
今日はネタバレで書いていますので注意!
最初のエピソードは青子。産まれたばかりの子供を亡くしてショックを受ける。子供が欲しい夫と離婚し、実家に戻って来るも親と衝突し家を出る。
良い友達かやのんと会って気分転換。
5歳の娘菜緒がいるかやのん。その後30代で乳がんの告知を受ける。
次のエピソードはゲンゲン
1年以上実家に引きこもり。前の会社で仕事のできる上司からイジメを受けて自信喪失してしまった。そんな状態の時に、ふとラインを間違って触って既読してしまい、部活仲間で会う事になってしまう(結果的にはそれが良かったわけなんだけど)
かやのんが乳がんの手術後リハビリか
ねて週に一回合気道を開始したとのことで。
花田卓馬(妻子がいて幸せそうだったが、後に離婚)に、引きこもってる事を打ち明けると、
最近税金対策や資金運用等だけじゃなく、引きこもりの子供を持つ親の相談(自分がなくなった後が不安)を受け、プランを考えてあげる事もしてるそうだ。そして何が何でも正社員で働いて下さいではなく資産を洗い出し子供が平均寿命まで困らずに過ごせるとなると月にこのくらいバイトで稼いでくれたら、こんな風になんとかなりますって、負担の少ない切り抜け方を提案って。
おおおお!!ここは目からウロコでしたよ。こういうのは有難いね・・・。
相談したかどうかは解らないけど、数年後ゲンゲンはゆるいアルバイトを実際初めているのよね。
熱帯魚やさんのドライバーとして送迎係なんだけど。
その後、かやのんは乳がんを再発し転移してしまう。体調も症状も思わしくなく一番つらかったかもしれない時期にちょうど娘が小学校高学年でお受験。やる気がなく成績が思わしくない娘についキツく当たってしまい母娘の関係が険悪に。
結局かやのんは娘が高1の時に亡くなってしまう。でも残された菜緒にお墓でばったり遭遇したゲンゲンが、母から嫌われてたんじゃないか?と思っているのを知り、そうじゃないかやのんは娘をずっと思っていた事を一生懸命説明するのよね。そしてかやのんはあまり他人に弱音を見せたり吐かずに頑張る性分で、それを知りつつも彼女に配慮できなかった友人の自分らにも責任があると言う。
そして、これからも自分らは出来る限りの事を彼女にする、見守っていくと約束するのよね。(ここらへんはゲンゲンの優しさが凄く胸に染みたわー、こんな風に言われて菜緒ちゃん良かったなあと思った。そして、ここらへんを読みながら彩瀬まるさんが何らかの経験をされていらっしゃるのでは・・・?と思ったんですよね、それで読んだ後ちょっと調べてしまいました。
彩瀬さんは15歳のときに、母をがんで亡くした。長年の闘病の末だった。「その体験が、私の中に混乱として残っていた。年齢が近づいた今、母にどんな言葉をかけられるのか、考えてみたいと思った」
ー中略ー
闘病を続ける母の、日々の態度の変容に無力を感じるだけでなく、戸惑いもした。思春期の支えは、かばんにいつも入っていた小説だった。
朝日新聞読書面 2022.02.04 彩瀬まるさん「新しい星」インタビュー 悲しむ人と、ともに無力さに耐えるより
他の記事より アフリカ(スーダン)に行くちょっと前に発症が分かって、手術して渡航したんですけれど、アメリカに住んでいる時に再発が確認されて、アメリカの病院でも治療をしていました。4度目の再発で亡くなりました。
娘の菜緒さんの気持ちがリアルに解るまるさん、お母さんの気持ちも推察されて書かれたのでしょうね。
まさかこの小説が後半、そういう風な話になって行くとは想像もしてなかったので、ガックリ来たのですが、その反面心理描写や、友人たちの友人の死への捉え方なども良かったので、後味は決して悪くなかったです。
こんな仲間がいる4人が羨ましいなー。
中でも女性2人の関係が凄いと思ったわ。
だって2人は立場が全然違っているけど凄く仲良しなんだもの。
青子は子供を亡くして離婚後ずっと一人。かたやかやのんは娘がいて夫がいて、子供の話をする際は緊張とか遠慮とかあったと思うし。青子は現在も常に亡くした娘の事をずっと抱きつつ生きているわけで。
それでもお互い配慮しつつ長年良い友達でい続けられたのは、2人がそれぞれ良い人だからなんだろうね。
と、長々書いてしまいましたが、この小説で一番好きだったのはゲンゲンの部分です。
ほんの少しづつ彼が前向きになって外と関わる様になっていくのが年月と供に書かれている処が。
いきなりまた奇跡の復活!とかじゃないのが良いわ。
些細なきっかけ、いつも合気道で集まっていた場所にあった水槽で見ていたタコ、ワンコや虫を通して親しい友人が出来、等々。
新しい星 綾瀬まる
2021-11-24
彩瀬まる
さいはての家
くちなし
あのひとは蜘蛛を潰せない
細やかな配慮、人への優しさを感じる処が一杯あって、辛い内容だったけど読んで良かったです。4つ★
登場人物はメイン4名。(青子、かやのん、ゲンゲン、たくま)
大学時代の合気道の時の仲間。男子2名と女子2名。
この仲間の関係が凄く良いんですよ。恋愛感情とか無しに距離感を少し持ちつつ優しく仲良くできる関係。いいなあー!
今日はネタバレで書いていますので注意!
最初のエピソードは青子。産まれたばかりの子供を亡くしてショックを受ける。子供が欲しい夫と離婚し、実家に戻って来るも親と衝突し家を出る。
良い友達かやのんと会って気分転換。
5歳の娘菜緒がいるかやのん。その後30代で乳がんの告知を受ける。
次のエピソードはゲンゲン
1年以上実家に引きこもり。前の会社で仕事のできる上司からイジメを受けて自信喪失してしまった。そんな状態の時に、ふとラインを間違って触って既読してしまい、部活仲間で会う事になってしまう(結果的にはそれが良かったわけなんだけど)
かやのんが乳がんの手術後リハビリか
ねて週に一回合気道を開始したとのことで。
花田卓馬(妻子がいて幸せそうだったが、後に離婚)に、引きこもってる事を打ち明けると、
最近税金対策や資金運用等だけじゃなく、引きこもりの子供を持つ親の相談(自分がなくなった後が不安)を受け、プランを考えてあげる事もしてるそうだ。そして何が何でも正社員で働いて下さいではなく資産を洗い出し子供が平均寿命まで困らずに過ごせるとなると月にこのくらいバイトで稼いでくれたら、こんな風になんとかなりますって、負担の少ない切り抜け方を提案って。
おおおお!!ここは目からウロコでしたよ。こういうのは有難いね・・・。
相談したかどうかは解らないけど、数年後ゲンゲンはゆるいアルバイトを実際初めているのよね。
熱帯魚やさんのドライバーとして送迎係なんだけど。
その後、かやのんは乳がんを再発し転移してしまう。体調も症状も思わしくなく一番つらかったかもしれない時期にちょうど娘が小学校高学年でお受験。やる気がなく成績が思わしくない娘についキツく当たってしまい母娘の関係が険悪に。
結局かやのんは娘が高1の時に亡くなってしまう。でも残された菜緒にお墓でばったり遭遇したゲンゲンが、母から嫌われてたんじゃないか?と思っているのを知り、そうじゃないかやのんは娘をずっと思っていた事を一生懸命説明するのよね。そしてかやのんはあまり他人に弱音を見せたり吐かずに頑張る性分で、それを知りつつも彼女に配慮できなかった友人の自分らにも責任があると言う。
そして、これからも自分らは出来る限りの事を彼女にする、見守っていくと約束するのよね。(ここらへんはゲンゲンの優しさが凄く胸に染みたわー、こんな風に言われて菜緒ちゃん良かったなあと思った。そして、ここらへんを読みながら彩瀬まるさんが何らかの経験をされていらっしゃるのでは・・・?と思ったんですよね、それで読んだ後ちょっと調べてしまいました。
彩瀬さんは15歳のときに、母をがんで亡くした。長年の闘病の末だった。「その体験が、私の中に混乱として残っていた。年齢が近づいた今、母にどんな言葉をかけられるのか、考えてみたいと思った」
ー中略ー
闘病を続ける母の、日々の態度の変容に無力を感じるだけでなく、戸惑いもした。思春期の支えは、かばんにいつも入っていた小説だった。
朝日新聞読書面 2022.02.04 彩瀬まるさん「新しい星」インタビュー 悲しむ人と、ともに無力さに耐えるより
他の記事より アフリカ(スーダン)に行くちょっと前に発症が分かって、手術して渡航したんですけれど、アメリカに住んでいる時に再発が確認されて、アメリカの病院でも治療をしていました。4度目の再発で亡くなりました。
娘の菜緒さんの気持ちがリアルに解るまるさん、お母さんの気持ちも推察されて書かれたのでしょうね。
まさかこの小説が後半、そういう風な話になって行くとは想像もしてなかったので、ガックリ来たのですが、その反面心理描写や、友人たちの友人の死への捉え方なども良かったので、後味は決して悪くなかったです。
こんな仲間がいる4人が羨ましいなー。
中でも女性2人の関係が凄いと思ったわ。
だって2人は立場が全然違っているけど凄く仲良しなんだもの。
青子は子供を亡くして離婚後ずっと一人。かたやかやのんは娘がいて夫がいて、子供の話をする際は緊張とか遠慮とかあったと思うし。青子は現在も常に亡くした娘の事をずっと抱きつつ生きているわけで。
それでもお互い配慮しつつ長年良い友達でい続けられたのは、2人がそれぞれ良い人だからなんだろうね。
と、長々書いてしまいましたが、この小説で一番好きだったのはゲンゲンの部分です。
ほんの少しづつ彼が前向きになって外と関わる様になっていくのが年月と供に書かれている処が。
いきなりまた奇跡の復活!とかじゃないのが良いわ。
些細なきっかけ、いつも合気道で集まっていた場所にあった水槽で見ていたタコ、ワンコや虫を通して親しい友人が出来、等々。
新しい星 綾瀬まる
2021-11-24
彩瀬まる
さいはての家
くちなし
あのひとは蜘蛛を潰せない
本書は、確か何かの賞を取ったんですよね。
何の賞かは覚えてないけど・・・
そっか彩瀬さん15の時にお母様をガンで亡くしてるのね。そっか・・・だから、この内容だったのかな。15歳じゃ、キツイですよね。長い闘病の末だったら、なおさら。思春期に、いろいろと感じることもあったのでしょうね。
この4人の関係性、良いですよね。
私も女性二人の関係性が好きでした。近すぎず、程よい距離感で、お互いを尊重してて。こーいう仲間、良いよね~~~って思った。
多分読んだタイミングが悪かったんだろうな。
http://blog.livedoor.jp/todo_23-br/archives/30250655.html
まるさんも同じ経験をされていたんですね。そこまで調べていませんでした。
4人がみんなお互いにベタベタしないちょうどいい距離感で心配して応援している感じが素敵だなと思いました。
そうなんですって・・・。ついちょっと調べてみちゃったわ。
15の時に亡くしたけど、最初に癌になったのは小学校の頃でそれより随分何年も前らしいから、キツかったでしょうね・・・。
おかあさんも、そんな状態でスーダンとかアメリカとか海外に行って大変だったよね・・・。
これ何かの賞取ってるのね?直木賞ノミネートっていうのは知ったんだけど、
でもいつか近い将来、でっかい賞を取りそうな実力ある作家さんだなーと思います。
読むタイミングとか状態で感想って凄く変わりますよね。
いやーでも私もこうい若い方の闘病とか難病で・・とかって内容は読みたくない内容というか・・割と避けているんですよ。
だから、途中で暗雲が立ち込めて来て、あーそっちに行っちゃうのか・・・って解った時はガックリしちゃったんですよ。
でも面白く読んだには読んだんですけれどもね・・・
なんかちょっと気になって、まるさんの経歴?を見たら、すぐお母様のガンの事が出て来て、そうなのかーって。
深く調査した訳じゃなかったんですけれどもね・・・。
4人の関係、とても良かったですね。
コロナを挟んでの状況変化も描かれていて、男女混合でリモートで飲み会やったりとかしてましたね。
彼ら3人、これからも長く良い関係が続いて行って欲しいです。
知らなかったです。情報ありがとうございます。
私も、四人のつかず離れずの関係がすごくいいなと思いました。
恋愛が絡まないだけに、純粋に友情から相手のことを心配
したり思いやっているのが伝わって来て。
若い時の友情とはまた違った、深い心の繋がりみたいなものが
感じられたのが良かったな、と。
ゲンゲンのタコのエピソードが個人的に一番お気に入りでした。
あのタコがどうなったのか気になるなぁ。
彩瀬さんは、ちょっとした心理描写とか情景描写とか
とてもお上手ですよね。文章が上手いなぁといつも思いますね。
コメントありがとうございました。
恋愛が絡まない純粋な友情関係、とても良かったですよね。
タコのエピソード私も好きでした。
そうそう、タコのその後どうなったんでしょうね・・・。タコってあんまり長生きじゃないみたいだから・・。
綾瀬さんの小説、また読んでみようって思いました。コンスタントに頻繁に出されるから追いきれなくて・・・