沖で待つ (2006年2月出版) 絲山 秋子
「勤労感謝の日」と、「沖で待つ」の2編からなる、芥川賞受賞作品。
まず、「勤労感謝の日」は可笑しくて、ところどころ爆笑しながら、あっという間に読めてしまいました。
私も、昔、職安という場所に初めて行った時の、あの何とも言えない感じ・・を思い出したり、このお見合い相手の男、私も絶対イヤだわ~とか思いつつ、ラストで出てくる中華料理屋の兄ちゃんは良い感じじゃないか~などと思いながら、本当に身近な感じでサクサク読めました。
「沖で待つ」
これは、普通に面白かったのですが、正直、これが芥川賞なんだ・・・?
という感じで、私にはあまり強いインパクトが無かったのです・・・。(単に私が、文学を見る目が無いというだけ)
ただ、自分が亡き後に、見られたくないもの処分を頼める仲?というのは、いいな、って思いました。
私は、ちゃんと4月に入社!って経験が無くて、途中入社が初めての就職で、その後も、いつも途中入社ばかりだったので、同期の仲間というのを経験したことが無い大人なんです・・・。もし、そういう経験があったらば、もっと違ったはず・・・。
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綿矢りさ (わたや りさ)『蹴りたい背中』
芥川賞受賞作としては1976年受賞の村上龍による『限りなく透明に近いブルー』(131万部)以来、28年ぶりの単行本ミリオンセラーとなった。年末までの発行部数は127万部。
受賞当時、金原ひとみ「蛇にピアス」と共にマスコミで沢山取り上げられ、ビジュアル的にもすごく若くて可愛い女の子だったので、話題になっていましたよね。
今更ですが、読んでみました。
結構面白かったですよ。でも、これぞ芥川賞!!というインパクトまでは無かったかな・・。(単に私が、文学を見る目が無いというだけ)
凄く良いな!上手いな!って思った部分は、中高生の頃のクラスでの、あの女子特有のグループの感じ・・・こんな人達となら一人の方がまし、って思い孤立するものの、孤高が平気!ってまではなれなくて、10分休憩がとてつもなく長く感じ辛い・・、そういう描写が、すばらしく上手でした。 乙一さんも、こういう場面を書かせると(彼の場合は実体験があるせいか)凄く上手なのだけれど、その女の子バージョンって感じでした。
中学時代からずっと仲良しだった友達が、新しい友人をどんどん作って楽しくやっていて、自分がなんだか取り残されて行く感覚になる描写も、凄く上手だな~って思いました。
ただ、それ以外の「にな川」とハツの関係が、どうも・・すっと入って来なかったし、にな川の存在やキャラが、ちょっと私は苦手だったかな。
(内容・あらすじ)
高校一年生のハツ。彼女は、余り者も嫌だけど、グループも嫌で、クラスに馴染めないでいる。
もうひとりのクラスの余り者である男子の、にな川は、女性ファッション誌に出ているオリチャンという女性モデルの熱烈なファンだった。ハツは、このオリチャンに無印で、実際に会ったことがあり、そこから、2人は会話するようになるが・・。
「負け犬」と呼ばれる人が真剣に生きているってことが上手く書いてあった気がするし、フェロモンを分泌しあってない者同士の男女の友情を、きちんと書いてあった気がしたから。
「太っちゃんさあ、死んでからまた太ったんじゃない?」
というセリフに全てが込められていたような。
「蹴りたい背中」はアルツ気味の脳からこぼれ落ちました。
「博士の愛した数式」の先生よりかは長く記憶できるらしいんですけど・・・
太っちゃんと、主人公の関係が、男女関係とは、ちっと違った風合いで、良かったです。
何日か前、牧場主さんと、急に死んじゃったら、身辺整理が出来なくて・・・って話をした時に、あっ、そういえば、この小説の感想をアップするのを忘れていた!ということに気がつきました(^^;)
で、丁度、同じ芥川賞を受賞した作品を数日前に読んだので、一緒にアップしちゃったという訳でした
そういえば「博士の愛した数式」は、映画で充分満足しちゃったので、原作をまだ読んでないんです!
新しいから、BL要素がメインの「執事の分際」だけ、(何というエロいタイトルだ)古本屋に置き逃げしてこようかな・・・とか・・・今んとこ、「フラワー・オブ・ライフ」(最終巻は泣けた)の奥にあるけど・・・
「蹴りたい背中」に、確か、女の子が男の子の見舞いに行って、ひびわれた唇をペロッと舐めるとこ、ありましたよね。
私には、そんなことをしたら、いつまでもそのことを覚えていて、あわよくば、いつでも臨戦体勢に入る気満々の人しかいなかったから、誰のことも舐めずに、初めてつきあった人とそのまま一緒に人生半分近く過ごしちゃいましたよ。
はあ、国宝級にキモイねえ・・・
まあ、それはおいといて、この2作品はいいチョイスですよ。
恋人や友達と括れない関係を男女間でつむぐって、ほとんどファンタジーじゃあないですか。
沖で待つ
は読まないままですが、
蹴りたい背中
はしっかり当時、
蛇とピアス
とともに読みました。
僕も描写が独特だなと思って読んでいました。
心の揺らぎ
を感じる作品でした。
綿谷さんの本は「インストール」しか読んだことがありません。「蹴りたい背中」は、この頃はたいてい図書館の書架にあるので読んでみようかなと思うのですが、いまさらって気がして手に取らずにいました。latifaさんの記事を読んで、読んでみようという気になりました!
>古本屋に置き逃げしてこようかな・・・とか・・・
ぶははは!!お友達で、まだ読んでない人で、興味がありそうな人とかに、あげちゃう!ってのはどうでしょうか^^
> 「蹴りたい背中」に、確か、女の子が男の子の見舞いに行って、ひびわれた唇をペロッと舐めるとこ
牧場主さん、記憶力シッカリしていらっしゃるではないですか!
そこ、私もウワッ!と、焦りました(なんで、読んでる私が・・・(^^;)))
ちなみに、そういうこと私は全く経験無いですよ。
でも、牧場主さんに、また、ちょっと親近感が。
私も最初ではないものの、18で付き合った人と、ずっと一緒に今もいます。
まさか、こんな風につき合いが長く続くとは、思っちゃいかなったんですけどねw
小説や映画が好きな理由も、ここにもしかしたらあるのかも?なんて~~。
こういう世界で疑似体験して、楽しんでるのかも。問題起きないし、平和だし
存在する音楽さん、当時お読みになられていたんですね
存在する音楽さんにとって、今も印象に残る
作品なのかな・・・?
蛇に・・は、まだ読んでないのですが、世間では
蛇に・・の方が評価高いみたいですが・・
juneさんが、絲山さんに、ちょっと特別な思いがあるというのが、凄く納得ですよ☆
私がjuneさんだったら、全部彼女の出版したものとか、とりあえず読みたくなっちゃいます。
>いまさらって気がして手に取らずにいました。
そうなのです!同じです!
何かね、私が・・っていうより、娘の学校のこととか色々考えることがあって、それで読んでみようかな?って気になって、読んで見るに至ったんです
舌を割ったり、刺青という表現より、心が痛い印象でした。
綿矢さんは、普段の生活に揺らぐ気持ちの描写が印象的でした。
表現者としては、どうなんでしょうね。
そこまで比較して読んだわけではありませんが、二人の同年受賞という印象が、ああ、あの頃かーという印象の方が強かったりします(笑)
「蹴りたい背中」「インストール」「蛇にピアス」話のネタに読みました。
でも時間が経っているので、イマイチ内容が思い出せません…。「蛇」は嫌だったな。
「背中」は男性にちょっと親近感というか、それ故の反発というか、そういうのを感じました。
映画の感想二つブログに書きました。
latifaさんもご覧になっているのでコメント&TBしますね。