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「横道世之介」良い話だったー 

2011-12-24 | 小説・漫画他

吉田修一さんといえば「悪人」ですね。
他の作品も読んだり、見た事もありましたが(映像化されてる本が結構多いです)、この「横道世之介」が今まで私が読んだ事がある吉田作品の中で、最も好きでした。4.5~5つ★
というか、今年読んだ本の中でも、ベスト3に入るくらい、しみじみと良いお話だなあ・・・と思いました。なんというか、優しさが溢れている感じがするんですよ。登場人物みんなに対しての愛情とか肯定感というか・・。「悪人」とはま逆な感じです(^^ゞ

ほのぼのとした、ごくふつうの、ありふれた大学1年生の1年間を綴った内容なのだけれど、とても良いんですよねー。文章が上手い! 特に事件が起こるわけじゃないのに、引きこまれてぐいぐい読ませられる。

そして、ジーンと来る所と、解る~!という部分と、昔を思い出させられる様な気持ちにさせられるんですよ。人との出会いは、一期一会だなあ・・・。ちょっとした出来事や、ちょっとした期間だけの友人でも、後々の人生を大きく変える事があるというのを感じました。結構登場人物が多いのだけれど、とても解りやすいので、混乱せずに読めます。それぞれのキャラが立っているというのもあるかな。

現在中高生や大学生はもちろんのこと、80~90年頃に大学生だった人なら、涙もんじゃ無いでしょうか。
実は私も全くドストライクの年代だったので、自分は大学には行ってないのだけれど、出て来る場所(下北沢のカプリチョーザ、表参道のバンブー etc・・・)や服装(サマーセーター(爆)や、雰囲気(デートはドライブが中心だったよなぁ~)など凄く懐かしくなりました。

どうやら、世之介が通っていたのは法政大学らしいです。
大学に入って最初に友達になった倉持。隣の席でよだれをたらしていて、開放的で気の良いヤツ。同じクラスのアイプチ女子、阿久津唯と3人でサンバサークルに入る事になってしまう。
この唯と倉持が恋人になってしまう経緯が可笑しい。なんとなくそうなってしまった・・みたいな感じで。でもこの2人が出来ちゃった結婚をしてしまうとは。引っ越しの時の倉持が世之介にお礼を言う所は涙が出そうになっちゃいました。
・・・20年後、中学生の一人娘が中卒の男子と交際している事に衝撃を受け・・・。

世之介が高2の時につき合っていた、さくら。2人の交際中の様子とか、うわ~!っと思っちゃいました。「朝なんか、ここに来る事だけ考えて~」、さくらの部屋で過ごす二時間だけが人生だったと言っても過言じゃなかった。世之介からは想像出来ない??こんな時期があったんですね~。さくらは、今はジローという、かつての同級生とつき合ってるんですよね・・・。世之介は、ちょっぴり未練が残ってるみたいだったな。

自動車学校に一緒に通った加藤(ゲイ)を介して知り合った、とんちんかんな令嬢?祥子。ばか丁寧な言葉遣いで、お嬢様な祥子だけど、なぜか世之介を気に入って、モーションを一生懸命かけてくる。世之介の実家にまで夏休みに遊びに来ちゃう。その夜の海辺で、ボートピープルに遭遇する。その時の赤ちゃん事件が、きっと祥子の人生を変えたんじゃないだろうか・・・?この祥子と世之介のズレたやり取りや、会話が可笑しくて楽しい。

★以下ネタバレ 白文字で書いています★
・・・20年後の祥子 国連の職員になり、アフリカで働いている。
世之介はカメラマンになり、線路に落ちた人を助けようとして、自らも亡くなっていたというのは、ショッキングでした・・・。
世之介と祥子は、大きな理由は無いけれど1年ほどで別れてしまったんですね。でも、祥子との約束(最初に世之介が撮った写真は彼女に見せるという)を、世之介の死後、お母さんから祥子に渡される。
以上

>誰かを傷つけたことが無いんじゃなくて、傷つけるほど誰かに近づいたことがなかったんだと。こういう風に他人と濃厚にかかわらない人が最近多いんだろうな・・。そういう私も大人になってからは、そういう感じかも。

横道世之介/吉田 修一 / 2009-09-16

悪人

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16 コメント

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Unknown (けん)
2011-12-24 12:01:35
TBさせていただきました。
またよろしくです♪
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同感です! (時折)
2011-12-24 13:32:59
こんにちは。
私もこの本には強い好感をもった記憶があるのですが、latifaさん記事を読んでいて、細かいエピソード等脱落しているところも多く、なんだかまた読みたくなってきました。
しみじみ感、本当によかったですね。
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けんさん☆ (latifa)
2011-12-25 19:39:40
メリークリスマス、けんさん
TBとコメントありがとうございました
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時折さん☆ (latifa)
2011-12-25 19:41:48
メリークリスマス、時折さん
そうなんですか・・吉田さんの最新刊、ちょっと意外な感じなんですね?
私は、どっちかっていうと、吉田さんって、凄く好きな作家さんって程じゃなかったのですが、本作は、すごーーく気に入ったのです。
怖いもんみたさで、最新刊も読んでみようかな。
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Unknown (ゆう)
2011-12-26 23:04:51
こんばんは。
もう、よかったですよね!
この作品♪♪

自分のブログにも書いてますが、不意打ちをくらって涙!こんなに印象深いと、今思い出しても涙が出てきます。
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ゆうさん☆ (latifa)
2011-12-27 13:24:57
こんにちは、ゆうさん
クリスマスが終わったかと思いきや、正月が迫って来て、慌ただしい毎日です。

これ、ホントに良かったですねー。
また私もこういう作品に来年も(気が早いけど)一杯出会いたいです。
ちょっと早いけれども、ご挨拶しておきます。
ゆうさん、来年もまた宜しくお願いします
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面白かった! (真紅)
2012-02-29 20:41:10
latifaさん、こんばんは! なんかお久しぶりのような気がする~。元気~?
この本、すんごいよかった。。私、ここ数年読んだ本で一番かも。。
latifaさんの昨年のベストを拝見すると、、、う~ん、そうね『小さいおうち』もよかったよね!
私も甲乙付け難いくらいかな~。
とにかく、吉田修一さんがこんな面白い本書くなんて、、ビックリよ!
結構コメディよね~、笑うところ多かったし。意外。
私も世之介とまんま同世代なんで、懐かしかった~、「ねるとん」とか(笑)。

映画、世之介が高良くんで、祥子ちゃんが吉高由里子、ってピッタリだね。
早く観た~い♪
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真紅さん☆ (latifa)
2012-03-01 09:26:28
こんにちは、真紅さん
そうなのよ~~。久しぶりだよね。でも真紅さんちは、密かに見に行っていたんだよ~。
たまたま、見ている映画とかアップされてなかったからコメントは残せなかったけども

ところで、これ!世之介。
でしょ~~~~良かったよねーー!!
可笑しい処と、暖かい処と、懐かしくキューンとさせられるところと、色々ミックスしていて、本当に素晴らしい小説だと思うわ。
この本を読んで、吉田さんへの印象がぐーーっと上がっちゃったもん。

映画化???知らなかったー。情報ありがとう!
この2人って、蛇とピアス・・でも共演してなかったっけか・・・?
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これ読んだよ (みみこ)
2012-03-19 21:39:41
こんばんは。
真紅さんのところでこれ発見して
latifaさんの記事に刺激されて挑戦したわ。
いろいろ懐かしくて楽しかったわ。
吉田さんて68年生まれってあるから
私たち(同じぐらいだよね)と同じ世代なんだね。自分のことを思い出したり、逆に
子供が大学生になったらどんなかな・・・と
想像できたりするのも面白かったわ。
でも、すぐに出来ちゃった婚は勘弁してほしいわ。映画化の世之介役の俳優さんは私は、もっとダサい人になるのかな・・と思っていたよ。どういう演技か注目だね。
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みみこさん☆ (latifa)
2012-03-23 13:42:52
みみこさん、こんにちは!
寒いねぇ~ 去年の今頃は停電やら何やらで大変だったけど、ここまで寒かった記憶が無いんだよな。昼間はストーブ不要だった気が・・・。

そうそう、この小説読みながら、自分の過去の事も思い出したりしたけど、自分ちの子が大学生になったら・・っていうのと、両方頭に浮かべてしまったよ。

映画だけど、私はヨシタカさんが、あの女の子の役っていうのが、ちょっと微妙なんだよな・・・。ヨシタカさんは可愛いと思うけど、天然で不思議キャラって部分はさておき、良いところのお嬢様で、一途ってキャラとは違う気がして・・・。
世之介が高良君じゃ、格好良すぎだよね。
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