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魔女っ子くろちゃんの映画鑑賞記録

映画大好き!わがまま管理人の私的な映画鑑賞記録です。名作・凡作関係なく、好き好き度★★★★★が最高。

50回目のファースト・キス

2006年08月31日 | け~こ
★★★☆
監督:ピーター・シーガル
主演:アダム・サンドラー、ドリュー・バリモア、ダン・エイクロイド
2004年 アメリカ

 ハワイに住む伝説のプレイボーイ、ヘンリー。その実態は地元の水族館で働く獣医。そんな彼が地元のレストランでルーシーという女性に出会う。キュートなルーシーに心惹かれたヘンリーは彼女に話しかけ意気投合し、明日も同じレストランで再会することを約束する。
 翌日意気揚々とレストランに行き、ルーシーに声をかけたヘンリーを彼女は変質者のように拒絶する。ルーシーは数年前自動車事故に遭い、その後遺症で記憶が一日しか持たないという短期記憶喪失障害だった。
 しかしルーシーをあきらめきれないヘンリーは、毎日ルーシーと接触し愛を告白し続ける。ヘンリーのやさしさと根気に回りも理解を示し、ルーシー自身も彼を毎日愛するようになるが、自分の障害を認識したルーシーは、自分がヘンリーの人生の重荷になるのではないかと思い始めていた。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 ルーシーの病気とヘンリーとの恋模様に関してはちょっと疑問が残るけど(毎日リセットされるのに、段々親密度がスピードアップしてない?)なんといってもドリュー・バリモアがかわいい。「ウエディング・シンガー」でもコンビを組んだ二人だけど、サンドラーの方が老けちゃったのに対し、バリモアは以前変わらずういういしい。この笑顔は最大の武器だ。ちょっとお人好しでくったくのない役がよく似合う。あの笑顔のためなら、必死で守ってあげたくなるお父さんや友人の気持ちもよく分かる。

 毎回毎回がキスにしろ初体験、というのはイメージはいいが実際はたまったもんじゃない。なにしろ毎日毎日口説き落として、そこまでもっていかなければならないんだから。まさに忍耐。故にルーシーは別れを決意する。それでも本人は明日になれば、その痛みも忘れてしまうのだからつらいなあ。

 結構シリアスな内容なのに、時々混じる下ネタがあまり馴染んでいないような。もっとソフトに笑いを入れても良かったんではないか。特にヘンリーを伝説のプレイボーイとする設定は不要だったと思う。

コンスタンティン

2006年07月22日 | け~こ
★★★
監督:フランシス・ローレンス
主演:キアヌ・リーブス、レイチェル・ワイズ、ピーター・ストーメアー
2005年、米・独

 幼い頃から人には見えないモノが見えてしまう特殊な能力を持っていたジョン・コンスタンティン。その能力のため一度は死にかけた彼は、すでに天国へは行けない身となり悪魔退治に奔走していた。若くして彼は末期の肺ガンを患い、地獄へ片足を突っ込んでいたのだ。
 悪魔が取り憑いた娘の悪魔払いをしたジョンは、これまでとは違う良からぬ気配を感じ取る。悪魔は人間界には直接侵入しないという暗黙の約束が犯されそうな予感。
 折しも女刑事アンジェラの双子の妹イザベルが、精神病院から身を投げ自殺するという事件が起こった。敬虔なクリスチャンだった妹が自殺するはずがないと真相究明に奔走するアンジェラは、ジョンと出会う。
 ジョンの悪い予感は当たっていた。サタンの息子が暴走し、掟を破って人間界に侵入を計っていることが分かった。それには天界の誰かが手引きをしているらしいことも・・・。
 イザベルは、その身を悪魔に狙われたために自殺したのだった。今は双子の姉アンジェラが狙われている。危険を承知でジョンとアンジェラは地獄に足を踏み入れるが・・・・。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 キアヌは映画によってうける印象が変わる、有る意味多才な人である。「恋愛適齢期」ではぐらっときた。しかし黒装束の「マトリックス」は全然ときめかなかった。ところがこのコンスタンティンのネクタイ姿はなかなかいい。思うにキアヌは普通の格好が決まる人ではなかろうか。

 物語は悪魔や天使が出たり、もう何でもあり~の世界で、ラスト延命されたからには(キャラ的には弱い気がするが)続編も視野に入れているのだろうか。

 悪魔とか地獄とかはビジュアルにすると、どうしてもちゃちになってしまうものなのだ。かといってピーター・ストーメアーの悪魔はあまりにも軽すぎて、しばし数秒頭をかかえてしまう。で、息子はあれだもの。荒削りといったら聞こえはいいが、B級になりきれない感じに中途半端な印象を持った。目的がキアヌ観賞ならそれでよし。

 共演は今をときめくレイチェル・ワイズやナルニアの魔女様、「海の上のピアニスト」で目の玉が揺らいでいたおじさまもいてなかなか楽しい。

CODE46

2005年11月11日 | け~こ
★★☆
監督:マイケル・ウィンターボトム
主演:ティム・ロビンス、サマンサ・モートン、ジャンヌ・バリバール
2003年 イギリス

近未来、この時代には同じ核遺伝子を持つカップル同士の生殖行為はCODE46違反として法律で禁止されていた。人間社会は高度に進み管理された都市部と、貧しい砂漠地帯(外)に別れていた。人びとはパペルという通行許可書がないと渡航できない。
 上海の印刷会社でパペル偽造事件が発覚し、調査に訪れたウィリアムは犯人であるマリアと接触するが、犯人であることを見破りながら見逃す。やがて恋に落ちる二人。・・・しかし彼らはCODE46違反に該当する同じ遺伝子を持っていた。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 欧米人が考えるところの(?)近未来風景=アジア。流れるカメラワーク、物寂しい音楽、サマンサ・モートンの独特な個性、とてもムードある映画だ・・・・とは思う・・・。
 しかし、描きたかったのが悲恋なのかなんなのか。「CODE46」は重要なファクターになっていなかったので、思わせぶりに肩すかしをくったよう。
 結局のところウィリアムとマリアの関係は?え、そんなことはどうでもいいの?それではこの映画における「CODE46」の意味合いは?
 ・・・・・ムードだけでは消化不良。肝心な物語の核が(私には)意味不明で、苦手な映画だったと言っておこう。

コラテラル 

2005年08月20日 | け~こ
★★★☆
監督:マイケル・マン  
出演:ジェイミー・フォックス、トム・クルーズ、マーク・ラファロ
2004年 アメリカ

 タクシードライバーのマックスはある夜、ヴィンセントと名乗る一人の男を客として乗せた。ヴンセントはひょんなことからその仕事=殺しの現場をマックスに目撃されてしまう。彼はあと数人の殺害を依頼されていた。
 ヴィンセントはマックスを人質にとり、タクシーを運転させながら、次々と殺しを敢行していくのだった。そして最後の標的は、マックスがヴィンセントを乗せる前に出会ったアニーという女性だった・・・。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 苦手なトム・クルーズだったので敬遠していたが、結構面白い。ジェイミーはこの作品では助演男優賞候補だったが、どう見ても主役はトムではなく彼だったように思う。

 寝返った人間を殺害するように命を受けたプロの殺し屋を、自分のタクシーに乗せたばかりに巻き添え(コラテラル)を食うマックス。しかしヴィンセントは非情な男に見えて案外間抜けで、マックスのために計画を邪魔されたり、行かなくてもいいところ(マックスの母親の見舞い)に行くはめになったり、一体どっちが巻き添えを食っているのか分からなくなる。
 ヴィンセントはプロの殺しやとしてはかなりペケで、これはコメディ?と思ってしまうのは。演じているトムのせいかも。ラスト近くの地下鉄のシーンはターミネーターのようで笑ってしまった。

 この映画の夜のロスは美しく、匂うようだ。この手の映画だと背景になる都市は安っぽく下品に映りがちだが、そうではない。街を情感深く撮っている映画は好き。
 
 そうそう、この映画にちょっと好感を持った理由がもうひとつ。「イン・ザ・カット」でときめいたマーク・ラファロがまたまた私の好きなお髭姿で登場。・・なんかおちそう~。

ゴシカ 

2005年08月09日 | け~こ
★★★
監督:マチュー・カソヴィッツ 
出演:ハル・ベリー、ロバート・タウニー・Jr、ベネロペ・クルス
2003年 アメリカ

 女子刑務所で精神科の医師として働くミランダは仕事の帰りに少女を車で轢きそうになる。
その後目覚めたのは、刑務所内の病院のベットの上だった。ミランダの容疑は夫殺害。訳が分からず混乱する彼女の前に再びあの少女が現れる。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 ハル・ベリーとベネロペの映画と思っていたら、ベネロペの方はほんのちょい役。しかもきれいじゃない、というよりはむしろ不細工だったので、なんでこの映画に出たのか疑問に思った。

 無念の死を遂げた少女の霊がミランダに乗り移り、実は暴行殺人犯である彼女の(やさしい)夫を殺害してしまう。(ネタばれ)一番怪しい男は犯人ではないとの定石通り、ピートは違うだろうとは思っていたが、夫と親友の件は私には意外で、そういう意味では楽しめた。
 しかしだからっと言って、あれだけ人を殺した彼女が無実でめでたしめでたしな結末はやはり疑問。見終わってみれば、オカルトとしてはそんなに恐くもなかったな~。

コレクター 

2005年02月22日 | け~こ
★★★★
監督:ウィリアム・ワイラー 
出演:テレンス・スタンプ、サマンサ・エッガー
1965年 アメリカ

 フレディは小さい頃からいじめられて育ち、美しく珍しい蝶を収集することが唯一の生き甲斐。偶然手にした大金で家を持ち、蝶を採集するかのようにお目当ての美女ミランダを誘拐・拉致してしまう。
 
☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 昔子どもの頃TVで何回か見た映画。あのラストは衝撃的だった。とても怖かった。なのに現実は映画を超えてしまっている。そのことが何よりも恐ろしい・・・。

 フレディとミランダ、二人の心理描写、かけひきが見所。誘拐しながら、ミランダには徹底して低姿勢のフレディ。自分を愛して欲しいと懇願する彼だが、その実どんな言葉も受け付けない。ミランダが愛を語り、行動に表してもそれは自分をだまして逃げるためだと猜疑し逆ギレする。この通じない相手とのやりとりは手に汗を握るほどの緊迫感。テレンス・スタンプ、うまい、凄すぎる。
 ビンの中に押し込められた蝶のようにだんだんと弱っていくミランダ。彼女の求愛が芝居なのか本心からなのか、最後はもう分からなくなってしまった。
 それでもなんとかフレディの心を解きほぐそうと会話をすればするほど、男の心はかたくなになる。彼女は所詮、きれいなただの蝶々。彼の心の奥まで入ることなど許されない。会話をする程にかみあわなさが増長し、最後の一線で拒絶するフレディ。話の通じない相手である。ミランダの絶望。恐怖。

 この映画の凄いところはフレディにも感情移入が出来てしまうところだ。予期せぬ隣人が尋ねてきた時、ミランダがお風呂の水を溢れさせることで助けを求めようとしたあのシーン、見つからないように!と願った私は完全にフレディの味方だった。(私だけ?)
 うまいなあ、ワイラー監督。
 

コールドマウンテン 

2005年01月16日 | け~こ
★★★
監督:アンソニー・ミンゲラ
出演:ニコール・キッドマン、ジュード・ロウ、レニー・ゼルウィガー
2003年 アメリカ

 南北戦争時のアメリカ。南軍兵士インマンは負傷兵として病院に収容されるが、故郷に残した恋人エイダの面影を頼りに脱走する。
 エイダは男たちのいなくなった故郷で一人インマンの帰りを待っていた。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 主人公の二人よりも美しかったコールドマウンテンの景色とその映像。劇場の大画面で見たらそれだけで満足してしまったかもしれない。特に野原の風景は郷愁を感じさせる。

 出征前にただ一度口づけをかわしただけの恋人同士、は何年も互いを思い待ち続ける。特殊な状況下においてはそんな恋もあるだろう。二人ともお互いが生きる支えであり、他に誘惑の対象もいないのだから。
  インマンの心の支えである故郷コールドマウンテンの象徴が、よそ者の娘エイダであるのが面白い。思い続けるエイダは異邦人のお嬢様。しかし彼がいない間に彼女はルビーの力を借りてたくましいコールドマウンテンの女になっていく。それは二人の恋模様よりもずっと印象的だ。エイダもインマンといる時はの表情はきつイガ、ルビーと共に生きている時の方が和らいで美しい。

 惜しむらくは全てをキレイキレイに描きすぎて、薄っぺらくなってしまったことだろうか。生々しい人間が描かれていなかったように思う。悪者元地主もいやらし光線をエイダに送るだけで手を出さず、インマンも他の女と一緒のベットに寝ても、決して手を出さない。
 断片的に戦争の悲惨な出来事を重ねても心に訴えてくるものは少ない。好演のレニーもその登場が唐突すぎて、あなた一体何者?という違和感が拭えなかった。

 あっけなく再会後死んでしまうインマン。その後のエイダの逞しい姿もあリ、結果種を残すためだけに命を賭けて戻ってきたみたい。メスに喰われてしまう哀れなオスカマキリの様で、このラストのまとめ方はもう少しなんとかならなかったかな。

コール 

2005年01月09日 | け~こ
★★
監督:ルイス・マンドーキ
出演:シャーリーズ・セロン、ケビン・ベーコン、ダコタ・ファニング
2002年 アメリカ

 オレゴン州で麻酔医の夫と幸せに過ごしていたカレン。ある日夫の出張中に娘のアビーが誘拐されてしまった。犯人は夫ウィルを逆恨みするジョーら三人組。
 喘息の発作を起こしたら命が危ないアビー。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 期待していただけにがっかり度高し。粗を言えばきりがないが・・・。

 人質は殺さないと公言してしまえば、脅迫も効力をなくす。あれでは両親側に強く出られても致し方ないだろう。あまりのお粗末な犯人。その人の良さとアホさ加減に、最後は犯人側に同情してしまったくらいだ。(頼むよ、ケビン)
 誘拐の目的がお金かと思えば復讐だったり、それがまた金目的になったりで一体どっち?復讐であればこりゃあ娘の命は危ない、そうこなくっちゃと思っていたら最後は自分たちで育てようとしたり、もう何がなんだか分からない。

 娘の喘息、犯人の復讐、30分毎のコールと設定も盛りだくさんなら、展開も誘拐(お金目的)→母親の体目的→実は復讐→女犯人の寝返り→意味のないFBI登場→セスナ&カーアクションとてんこ盛り。あきさせないためのサービス?

 最大の欠点は、サスペンスとしてのはらはらどきどき感が全くなかったことだろう。娘の命の危険を感じることは皆無だった。ならば見所は俳優陣。ケビンはこういうチープな悪役をやらせたら本当にうまい。アホな犯人というのを前提にしてみれば、結構魅力的なキャラだった。丸腰で大事な一物を切られてしまうなんて、もうコメディかと思ったくらい。
 シャーリーズは好きなタイプではないが、なかなかの演技派。この先のアカデミー賞受賞もうなずける。お尻の間にメスを仕込むあたりの描写が特によろしかった。演技派なんかに落ち着かないで欲しい。
 人の良いマーヴィン役はどこかで見たと思ったら「海に上のピアニスト」のお目々がゆらゆらしてた人だった。巷でうまいと絶賛されているダコタちゃんはそれが故に苦手。

刑事ジョン・ブック/目撃者 

2004年11月02日 | け~こ
★★★★☆
監督:ピーター・ウエアー
出演:ハリソン・フォード、ケリー・マクギリス、ルーカス・ハース
1985 アメリカ

 ペンシルバニア州には今なお17世紀の生活様式で質素に暮らすアーミッシュと呼ばれる人々がいる。
 未亡人レイチェルは村を離れ、妹の住むボルチモアに一人息子サミュエルを連れて行く途中、駅でサミュエルが偶然殺人事件を目撃してしまった。捜査にあたったのはジョン・ブック刑事だった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

 映画の楽しみは話の面白さだったり、出ている俳優にうっとりしたり、細部の遊びを楽しんだりと様々だが、映画が醸し出す独特の雰囲気に酔いしれることもその一つ。「刑事ジョン・ブック」 はまさにそんな映画だったと思う。
 17世紀から時を止めたように、かたくなにその信仰・スタイルを守り、自分たちの世界の中で生き続けるアーミッシュ。その質素な禁欲美。カルト集団と観光客の見せ物になったり、馬鹿にされながらもその精神を貫き通す強さと厳しさ。

 アーミッシュの少年が偶然見てしまった殺人事件から、それを追ったジョン・ブックが腐敗した警察内部犯罪者に追われるサスペンスや、少年の母とジョン・ブックのラブロマンスはスパイスのようなもの。この映画の魅力は演じる俳優、設定、映像、全てが絶妙に混じり合って生み出された色、香り、匂いとでも言おうか。
 少年ルーカス・ハースはもとより、こんなに色気があったのかと目を見張るハリソン(彼の最高傑作では?)これが映画初出演というヴィゴー・モーテンセンもちょい役ながら初々しい。アルコールで急死してしまった(惜しい!)という元ソ連のバレリーナ、アレクサンダー・ゴドノフなど、とにかく男たちが素晴らしい!特にルーカス・ハース、もう時を止めて永遠にそのままでいてほしいほど。(後に「マーズ・アタック!」に出演)

 またハリソン・フォードは、異文化に戸惑いながら順応し、惹かれていく男の心情を切ないほどに表現していた。レイチェルへの思いは異文化同志の憧れと相容れない壁の象徴。レイチェルの誘いともとれる行動にぐっと感情を抑えこむ。決して禁断の恋ではないはずなのに、踏み越え同化することを拒んだジョン・ブック。感情のままに燃え上がることをしなかったからこそ深い。障害などなかったはずなのに・・・。

 最後は事件も解決し(あっけなさはあったが)お約束通り、それぞれの世界へと別れて生きるジョンとアーミッシュたち。レイチェルとあのまま結ばれても陳腐になっただろうし、アーミッシュたちの世界を壊してはいけないというジョン・ブックの思いがあったのだろう。あれ以外のラストはなかったと思う。でも今いったんは自分の世界へもどってもいつか再び戻ってきそうな、そんな余韻を感じたのは私だけかな?

  この映画はハッピーエンドになるはず。ただそこまでを描く必要がないだけ。

コンフェッション 

2004年10月19日 | け~こ
★★☆
監督:ジョージ・クルーニー
出演:サム・ロックウェル、ドリュー・バリモア、ジュリア・ロバーツ
2002年 アメリカ

 実在のアメリカのTVプロデューサーが実はCIAの工作員であったという本人に告白をもとに映画化。にしては「ほんとなの~?」と穿ってみたくなるよな作りは確信犯?

 ジョージ・クルーニーの初監督作品。いろいろ賛否両論であるらしいが、映像センスは悪くないと思う。色あせたポストカードのような色彩もおしゃれ。前半部の下半身ゆるゆる男ののりは楽しい。惜しむらくはこのギャグテイストで全編ちゃかして通してほしかった。シリアスがはいるクライマックスが思いの外つまらない。ラストのチャックのアイデア、老人ゲームも後味悪くて笑えない。

 マットやブラビなどのカメオ出演、ジュリア・ロバーツの出演は「オーシャンズ11」からのクルーニーの人脈が色濃い感じ。個人的にはジュリアもカメオ程度の露出にしてほしかったかな?少しその役どころが浮いていた。サム・ロックウェルは(クルーニーが好きな俳優さんなんだろう)いい味を出していた。コメディ色が強い前半部分でより生きていたと思う。
 他にも懐かしい、ルトガー・ハウエルなど(よくわからない人物像でしたが)俳優陣は贅沢。クルーニー自身は出なくても良かった気がするけどやはり俳優の血が騒いだのか。

 見終わってみて、面白かったようなそうじゃないような、微妙な映画だった。  

木漏れ日の中で 

2004年08月30日 | け~こ
★★★★
監督 ヴィクター・ヌネッツ
出演 ピーター・フォンダ、パトリシア・リチャードソン
1997年 アメリカ

 未公開作品だが、最近は未公開でもビデオで見ることができるのでうれしい。
 公開されてもまずヒットはしないであろう地味な作品だが、静かないい映画だった。なにより老いてますます美しく、父親ヘンリーに似てきたピーターの姿。生きることに不器用な老人役(といっても若い)を演じるようになるなんて!

 養蜂家のピーター・フォンダは最愛の妻を6年前に亡くし、以来世捨て人のように心を閉ざしている。かつては家族ぐるみのつきあいをしていたであろう保安官の友人がさしのべる好意も拒絶してしまう。
  息子ジミーは強盗で捕まり刑務所に、その妻ヘレンは娘たちを捨て姿を消してしまった。一家の生活が狂いだしたのは彼の絶望からだと想像するのは容易だ。少し反抗的な長女、利発だが暗い次女。笑いのない祖父との生活は単調で息苦しく重い。
 そんな一家の暮らしが一変するのは刑務所からかかってきた息子からの電話だった。失踪した母親を引き取り、介護し、息子の強盗仲間からの脅迫を受けることによって、止まっていた歯車がゆっくりと動き出す。

 妻を失いその固い殻に閉じこもり他人に対して心を開かなくなった初老の男。肉親でさえ彼の冷えた心を溶かすことは出来ない。頑固じじいならまだいい。こうも冷えた心で人を排除されてはまわりはたまらない。ヘレンの「あなたと拘わった人は全て不幸になる」という言葉や、息子の強盗仲間にさえ「最低の人生」と言われてしまうのは、感動や温かい心を持たずに生きることは、自分ばかりが他人までも不幸にしてしまうことに彼自身が気づいていないから。(いや、気づいてはいたかもしれないが)

 しかし、彼はまわりの人々から静かにそして確実に愛されていた。さしのべられた手を、事件をきっかけとして、とまどいながらも受けいれようとしていくラストがうれしい。人生は一人で生きていくわけにはいかないのだから。それに気づくのに遅すぎることはないだろう。

 こんな初老の男の境地を静かに静かに演ずるピーター・フォンダ、やっぱりステキだ。

ゴスフォード・パーク 

2004年07月14日 | け~こ
★★★★
監督:ロバート・アルトマン 
出演:マギー・スミス、マイケル・ガンボン、ケリー・マクドナルド
2001年 米・英・伊・独

 アルトマンお得意の群像劇だが、いかんせん登場人物が多すぎて混乱し、人物の把握にかなりのエネルギーを消耗する。名前があがる度に、「誰だっけ?」状態。録画ビデオだったので、何回も巻き戻して納得して進むの繰り返し。あ~疲れた。

 しかしそれ以外はさすがのアルトマン、するすると映画に引き込まれる。そればかりか「ああ、あの人がこんなところに」とか「あの人なんの映画に出てたっけ、よく見る顔だ」な楽しみもあった。(アラン・ベイツがあんなおじさんになってしまったのはびっくり。最近お亡くなりになりました。)
 
 自分の保身や欲ばかりに賢明なイギリス貴族(階上の人たち)と彼らに仕えるメイドや召使い(階下の人たち)がウイリアム卿の別荘で織りなす人間模様と殺人事件。見るからに怪しい人物。それぞれが動機があり、殺されたウイリアムも自業自得な人間。しかし怪しい人間はただの雑魚だったりする。
  犯人はそれほど意外でもなかったが、ここは推理よりもひたすら登場人物ひとりひとりの描写とその絡みを堪能したい。

ゴッホ 

2004年07月10日 | け~こ
★★
監督:ロバート・アルトマン
出演:ティム・ロス、ポール・リース、ヨハンナ・テール・ステーヘ
1990年 英・仏・蘭

 ・・・・参った。この手の芸術家映画は基本的に苦手なのかもしれない。常人では理解しがたい精神があればこそ、かような傑作が生み出されるのは重々承知だが、いざそれがドラマになると、見るのがつらい。
 ゴッホの絵は大好きだが、彼の狂気に満ちた半生も、弟テオとの絆も予備知識がないのでいまいちよく分からなかった。この作品に限らず、芸術家は一様にわがままで、女は振り回されるもの、という判で押したような話で、ああまたなのか、というのが率直な感想。

 ティム・ロスの淡~い栗毛、インテリアから風景から全てがゴッホの絵を髣髴とさせる映像はよかった。
 テオの女より赤いくちびる、つるんとゆでたまごのようなお顔も印象的。
 絵の具はなめちゃだめよ、毒だから・・・・。テオの妻はどこかで見た顔だと思ったらやはり「不滅の恋ベートーヴェン」に出ていた女優さん。ゴッホは耳、切り落としたんじゃなかったんだ~と知る。

K-19 

2004年01月05日 | け~こ
★★
監督:キャスイン・ビグロー
出演:ハリソン・フォード、リーアム・ニーソン
2002年 米・英

 ソ連国家首脳部は、経験豊富で優秀な潜水艦艦長ポレーニンをはずし、原子力潜水艦K-19の処女航海にポストリコフを新艦長に任命した。
 副館長として同艦に乗り込んだポレーニンとポストリコフはしばしば対立した。運行を続けるK-19に悲劇が襲った。冷却装置にひびが入り、原子炉を加熱し始めたのだ。1000度に達してしまえば原子炉は爆発してしまう。窮地に立たされた乗務員たちは漏れを防ぐためにお命をかけて修復にあたるが・・・。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 アメリカには様々な人種がいるし、旧ソ連の話をハリウッドで作るのだから、英語なのも仕方ない。しかし、インディー・ジョーンズなハリソン・フォードがソ連の軍人と言われても・・・。

 長い間封印されていた旧ソ連の実話が売り。実話でなければ許せない甘さもある。ヒューマンドラマにもっていくあたりがやはりハリウッド的なのか。よく出来ているとは思うが、こういうテイストは正直お腹一杯、辟易してしまう。苦手といってもいいかも。

 見所は被爆した船員の描写。
亡くなるまでがひどく苦しそう。かつ、日本でも「もんじゅ」もそうであったように、被爆は政治がからむので、簡単には死なせてくれない。

恋のゆくえ ファビラス・ベイカー・ボーイズ 

2004年01月04日 | け~こ
★★★★★
監督:スティーブ・クローブス
出演:ミッシェル・ファイファー、ジェフ・ブリッジス、ボー・ブリッジス
1989年 アメリカ

 兄フランク、弟ジャックは「ザ・ファビラス・ベイカー・ボーイズ」という名でジャズ・ピアノのユニットを組んでいた。過去の栄光にすがり、すさんだ生活を送るジャック。そんな弟を見かねたフランクは女性ボーカリストを加えることを提案。オーディションでスージーという女性が選ばれた。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 洒落た映画というのはこういうものを言うに違いない。お互い惹かれあいながら、なぜかぎくしゃくする男女。本能の赴くままに突っ走れないもどかしさ。それがいい年をした大人の恋である。
 かつての恋の痛手、傷つくことを恐れたり相手の気持ちを推し量ったり、ジャックとスージーの恋は見ている方が歯がゆくなるほどじれったい。しかし、本人同士は気づかなくても、実は恋の醍醐味は成就するまでにある。

 素直になれない大人の男と女の恋模様が心地よい色気たっぷりのジェフ・ブリッジスとミッシェル・ファイファーによってくり広げられる。この映画のジェフは情けないあたりも、女心をくすぐるいい男だし、ファイファーも他のどの映画よりも可愛い。彼女自身が歌う「マイ・ファニー・バレンタイン」、「メイキン・ウイーピー」など素晴らしく、思わずCD買い。

 それにしてもピアノを弾く男は色っぽくてステキ。