★★★★
監督:アレクサンドル・ソクーロフ
主演:イッセー尾形、桃井かおり、佐野史郎
2005年 露・伊・仏・瑞西
日本の敗戦が色濃い1945年8月。昭和天皇ヒロヒトは戦況になすすべなく、地下にある待避壕及び生物研究所で日々を過ごしていた。日本の頂点と崇められながら、実際はなんの力もない飾りものにすぎない己の無力さ。昭和天皇ヒロヒトはの苦悩を誰も知らない。
ある日、連合国占領軍総司令官ダグラス・マッカーサーとの会見がセッティングされた。それは天皇自身の命運も左右するものでもあったが、彼はある決意をもってそれにのぞむ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
戦後生まれの私が知っている昭和天皇は
どこかとぼけたおじいさんで、どこかユーモラスで穏やかな人。
その彼を神格化して
「天皇万歳」と幾多の人びとが戦争で散っていった事実も知識としてはあるが
私の目に映る晩年の天皇とその「天皇」は結びつかない。
長い歴史の中でいつしか「天皇」はお飾りとなり
「帝のために」と時の権力者に利用されてきたのはなにも日本に限ったことではない。
そんな選ばれし者だけに与えられた苦悩を
(今のところ)最後に引き受けたのが昭和天皇。
自分の名を叫んで多くの臣民が玉砕していくのを嘆く天皇を
一人の人間として思いはばかる人間が
一体どれだけ彼のまわりにいたのだろうか。
意見を言うことも許されず、ただほそぼそと(邪魔にならないような)
生活を強いられていた自分の名のもとに
大勢が死んでいく、国が滅んでいく・・・・。
苦悩しながら、何もできない現実は地獄の日々だと想像する。
一人の人間として見れば、このうえなく愛すべき人の
小さな肩に背負わされた重責。
この映画に想像を超えるような大きな発見や真実はないものの
これまで描かれることのなかった天皇の姿を
こうして(映画であっても)目の当たりにしてみると
まだまだ何も知らない自分
そして知られることのない天皇像に
それでいいのか、日本。という思いに包まれる。
監督:アレクサンドル・ソクーロフ
主演:イッセー尾形、桃井かおり、佐野史郎
2005年 露・伊・仏・瑞西
日本の敗戦が色濃い1945年8月。昭和天皇ヒロヒトは戦況になすすべなく、地下にある待避壕及び生物研究所で日々を過ごしていた。日本の頂点と崇められながら、実際はなんの力もない飾りものにすぎない己の無力さ。昭和天皇ヒロヒトはの苦悩を誰も知らない。
ある日、連合国占領軍総司令官ダグラス・マッカーサーとの会見がセッティングされた。それは天皇自身の命運も左右するものでもあったが、彼はある決意をもってそれにのぞむ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
戦後生まれの私が知っている昭和天皇は
どこかとぼけたおじいさんで、どこかユーモラスで穏やかな人。
その彼を神格化して
「天皇万歳」と幾多の人びとが戦争で散っていった事実も知識としてはあるが
私の目に映る晩年の天皇とその「天皇」は結びつかない。
長い歴史の中でいつしか「天皇」はお飾りとなり
「帝のために」と時の権力者に利用されてきたのはなにも日本に限ったことではない。
そんな選ばれし者だけに与えられた苦悩を
(今のところ)最後に引き受けたのが昭和天皇。
自分の名を叫んで多くの臣民が玉砕していくのを嘆く天皇を
一人の人間として思いはばかる人間が
一体どれだけ彼のまわりにいたのだろうか。
意見を言うことも許されず、ただほそぼそと(邪魔にならないような)
生活を強いられていた自分の名のもとに
大勢が死んでいく、国が滅んでいく・・・・。
苦悩しながら、何もできない現実は地獄の日々だと想像する。
一人の人間として見れば、このうえなく愛すべき人の
小さな肩に背負わされた重責。
この映画に想像を超えるような大きな発見や真実はないものの
これまで描かれることのなかった天皇の姿を
こうして(映画であっても)目の当たりにしてみると
まだまだ何も知らない自分
そして知られることのない天皇像に
それでいいのか、日本。という思いに包まれる。