★★★☆
監督:ピーター・チェルソム
主演:リチャード・ギア、ジェニファー・ロペス、スーザン・サランドン
2004年 アメリカ
約20年遺言に拘わる弁護士として働き、美しく聡明な妻、年頃の子供たち、順風満帆に生きてきたジョン・クラーク。しかし心の隙間に吹くいかんともしがたい寂寥感。
そんなある日、いつものように通勤電車から窓の外を眺めていたジョンは「ミス・ミッツィーのダンス教室」の看板に目をとめた。いや、正確にはその窓辺でさみしそうにたたずむ一人の女性に。
ためらいながらも意を決してジョンはそのダンス教室の門をたたく。女性はそこで働くダンサーのポリーナ。
妻にも同僚にも内緒で、ジョンは社交ダンスを習い始める。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
日本版のリメイクで、ほぼ完全な焼き直しであるにも拘わらず演じる人間(人種?)の違いで、受ける印象はだいぶ違う。まず、主人公ジョン・クラークは全くうらぶれてなく、十分すぎるほど格好いい。そして西洋人にとって社交ダンスは不釣り合いな恥ずかしいものではないので、日本版に漂っていた「人には言えない気恥ずかしさ」は表現されていなかった。
草刈民代のいらだちは、自身の苦い過去によるものの他に、「習いに来ながらどこか後ろめたさを感じている」=「動機が不純」な主人公に向けられていたように思う。社交ダンスを恥ずかしがるなよ、みたいな。しかしポリーナの怒りはクラークの下心のみにあり、加えてそんなに適役でもないロペス嬢であるから、意識過剰なお高い女の域を出ないのであった。やはりロペスはかなりの大根である。
それもあってか、映画はクラークとその妻との関係が中心。日本版にアイデアを借りた夫婦再生物語となったようだ。でもそれはそれでいいじゃないかという気もする。
(好きじゃないが)リチャード・ギアは年を重ねて本当に魅力的になった。芝居はうまいとは思わないけれど、ダンス・シーンはほれぼれする。赤いバラ一輪携えてエスカレーターを上がってくるあたりは、見せ所なのだろうがアホらしくて笑っちゃったが、これが許されるのもギアならではなんだろう。まわりの従業員が感激のあまり泣いてしまうって演出はどうにも理解しがたいが、私はこんなこっぱずかしいことをされたら(または見せられたら)恥ずかしくて泣いて逃げ出すに違いない。でもいいのだ。外人なんだから。ギアなんだから。
電車から見る路面の流れる風景がとても美しかった。日本版とはもう、その空気からして違うのだ。
監督:ピーター・チェルソム
主演:リチャード・ギア、ジェニファー・ロペス、スーザン・サランドン
2004年 アメリカ
約20年遺言に拘わる弁護士として働き、美しく聡明な妻、年頃の子供たち、順風満帆に生きてきたジョン・クラーク。しかし心の隙間に吹くいかんともしがたい寂寥感。
そんなある日、いつものように通勤電車から窓の外を眺めていたジョンは「ミス・ミッツィーのダンス教室」の看板に目をとめた。いや、正確にはその窓辺でさみしそうにたたずむ一人の女性に。
ためらいながらも意を決してジョンはそのダンス教室の門をたたく。女性はそこで働くダンサーのポリーナ。
妻にも同僚にも内緒で、ジョンは社交ダンスを習い始める。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
日本版のリメイクで、ほぼ完全な焼き直しであるにも拘わらず演じる人間(人種?)の違いで、受ける印象はだいぶ違う。まず、主人公ジョン・クラークは全くうらぶれてなく、十分すぎるほど格好いい。そして西洋人にとって社交ダンスは不釣り合いな恥ずかしいものではないので、日本版に漂っていた「人には言えない気恥ずかしさ」は表現されていなかった。
草刈民代のいらだちは、自身の苦い過去によるものの他に、「習いに来ながらどこか後ろめたさを感じている」=「動機が不純」な主人公に向けられていたように思う。社交ダンスを恥ずかしがるなよ、みたいな。しかしポリーナの怒りはクラークの下心のみにあり、加えてそんなに適役でもないロペス嬢であるから、意識過剰なお高い女の域を出ないのであった。やはりロペスはかなりの大根である。
それもあってか、映画はクラークとその妻との関係が中心。日本版にアイデアを借りた夫婦再生物語となったようだ。でもそれはそれでいいじゃないかという気もする。
(好きじゃないが)リチャード・ギアは年を重ねて本当に魅力的になった。芝居はうまいとは思わないけれど、ダンス・シーンはほれぼれする。赤いバラ一輪携えてエスカレーターを上がってくるあたりは、見せ所なのだろうがアホらしくて笑っちゃったが、これが許されるのもギアならではなんだろう。まわりの従業員が感激のあまり泣いてしまうって演出はどうにも理解しがたいが、私はこんなこっぱずかしいことをされたら(または見せられたら)恥ずかしくて泣いて逃げ出すに違いない。でもいいのだ。外人なんだから。ギアなんだから。
電車から見る路面の流れる風景がとても美しかった。日本版とはもう、その空気からして違うのだ。