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魔女っ子くろちゃんの映画鑑賞記録

映画大好き!わがまま管理人の私的な映画鑑賞記録です。名作・凡作関係なく、好き好き度★★★★★が最高。

グエムル/漢江の怪物

2006年09月19日 | 韓国映画
★★★
監督:ポン・ジュノ
主演:ガン・ソンホ。ペ・ドゥナ、パク・ヘイル
2006年 韓国

 2000年。ソウルを南北に分けて流れる河、漢江に大量のホルマリンが秘密裏に流される。指示したのはアメリカ軍医だった。
 2006年、漢江の河原には多くの観光客や市民が集まりにぎわっていた。その河川敷で売店を営むパク・カンドゥは父と娘ヒョンソと暮らしていた。ぐうたらで寝てばかりのカンドゥであったが、一家はヒョンソを中心に、アーチェリー選手のナムジュ、大卒ニートで酒癖の悪いナミルとまとまっていた。
 しかし悲劇は突然やってきた。漢江から突然得体の知れない怪物が表れ、人びとを襲い、ヒョンソもその犠牲となってしまった。目前でヒョンソを失い悲しみに暮れる一家であったが、葬儀の時踏み込んだ韓国政府によりウィルス感染者として隔離されてしまう。特に怪物の返り血を浴びたカンドゥは要注意人物者になってしまった。
 病院で隔離されたカンドゥの携帯に、死んだと思われていたヒョンソからSOSの連絡がはいる。ヒョンソは生きている!しかし関係者には信じてもらえず、一家は病院を脱そうし、自力でヒョンソを救い出そうとする。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆
 
 まず第一印象は、長い!そしてすべてが中途半端。
韓国映画らしい、強引な展開やエグサやユーモアはそれなりに楽しめるものの、焦点がぼやけてしまった感がある。アメリカ批判、父娘愛、家族愛、怪物などの要素が良くない意味で力関係が均等で、はて何を描きたかったのやら?
 あと30分くらいはパク家のエピを削るか、その分怪物の出番を多くして存分に怖がらせてほしかった。くすっと笑ってしまうパク家の描写は悪くないけど、怪物映画との相性はどうなんだろうか。グエムル、出番スクナクナイデスカ?おまけにラストの結末、今までの奮闘はなんのために・・・で後味悪し。ハッピーエンドで良かったんじゃないかな。お笑い系だったんだから。

 薬物汚染が原因のグエムル、まさかあの一匹だけではないでしょう・・・と素朴な疑問も残る。
 

僕の彼女を紹介します

2006年02月27日 | 韓国映画
★☆
監督:クアック・ジョエン
主演:チョン・ジヒョン、チャン・ヒョック、キム・スロ
2004年 韓国

 高校教師のミョンウと警察官のギョンジンの出会いは、スリを追っていたギョンジンを犯人とまちがえてしょっ引いたことだった。美人だがそのやり方言動すべてに強引なギョンジンに最初は恐れをなしていたミョンウだったが、二人は次第に惹かれ会う。
 ある日、旅先の帰りで落石事故に巻き込まれて車が川に転落。ミョンウはギョンジンのおかげで一命を取り留める。しかしその後凶悪犯を追っていたギョンジンは、その場に居合わせたミョンウと犯人と間違えて射殺してしまう。
 茫然自失のギョンジンはミョンウの後を追おうと自殺を試みるが・・・。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 チョン・ジヒョンはスタイルもいいし、確かにかわいいがもうこの手の韓国映画はいいかな~(なら観るなって)。雰囲気だけで作りましたという、それなり感。やたら遠慮無く他人をばしばし殴るのもいやだし、やたら泣くのも、メルヘンな展開も。TVでやっていたので、なんとなく見てしまったが、時間つぶしには悪くない程度。
 
 それにしても死んでしまうのは男性の方だったとは。そしてあんなにずたぼろになるほど好きだったのかというのも驚き。なんでも死んでしまえば、涙を絞れると思ったら大間違い。

誰にでも秘密がある 

2005年10月06日 | 韓国映画
★★☆
監督:チャン・ヒョンス
主演:イ・ビョンホン、チェ・ジウ、チュ・サンミ
2004年 韓国

 クラブ歌手で恋多き女ミヨン(三女)、本の虫で恋愛経験のないソニョン(次女)、医者の夫と倦怠期中のジニョン(長女)。
 顔、教養、金、優しさ全て備えた完璧な男スヒョンは、ミヨンの恋人としてこの姉妹と出会うが、それぞれと同時進行で恋のお相手になる。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 お堅い儒教のお国、「冬のソナタ」に代表されるように、あり得ないほどの清く正しい(?)男女の仲・・・とはほど遠いエロティック・テイスト。それをあのチェ・ジウやイ・ビョンホンがやるのだから想像していたイメージとは大違いだった。

 映画はさして面白いとも思えず、イ・ビョンホンにしてはつまらない役だったと思う。優しく申し分ないプレイボーイなのだが、なにか人類みなさんに愛を与えるキューピット的なキャラで人間味を感じない。それが狙いでもあるのだろうが、キラー・スマイルというよりは軽薄スマイル、(彼に限ったことではないが)あり得ないほどの青白い歯が妙に気になる。

 普通主役がつまらなくても、脇に光るキャラがいたりすると救われるが、チェ・ジウはうるさいだけだし、唯一現実にいそうな長女の旦那の冷めたセリフがリアルでおかしかったくらいだろうか。

シルミド ★★★☆

2005年04月12日 | 韓国映画
監督 カン・ウソク 
出演 ソル・ギョング、アン・ソンギ、ホ・ジュノ、アン・ソンギ

 まっこと韓国映画は熱い。全て100パーセント力を出し切っている感なので、濃厚で、ぎとぎとで、満足感たっぷりな反面、胃もたれしそうなしつこさも。さすがにんにくと焼き肉の国だなあと、今胃腸薬を飲んでいる。(うそ)

 実話ベースの映画である。日本は戦後60年、戦争というものは今やよそ様の国の話として実感ないまま今日に至っている。同じ民族同士で、トップの首をとるための特殊部隊育成が秘密裏にあったということ、工作員というものが北だけの話ではなかったことなどに改めて気づかされた。ここまで歩んできた道のり(歴史)が違うと、あの韓国の熱い血には到底かなわない気になる。
 死刑囚だけを集めて、極秘に金日成の首を捕るために結成された684部隊。そのものが死と直結している訓練を乗り越え、生き残った元死刑囚たちは精鋭となり、いざ出陣!を迎えたところでの突然の作戦中止命令。生きる目的を奪われた彼らは、生殺し状態になる。
  国のトップの方針が友好路線に変わってしまったことで、684部隊は存在してはならない邪魔者として抹殺命令が下される。
 これは自国の恥部を描いた話なので映画化にあたっては様々な苦労や妨害があったと聞く。人道的に考えれば真にひどい話だが、国レベル、まして戦時下であればあり得ない話ではない。もともと死刑囚であった彼らよりも、彼らを教育し、一種連帯感や信頼感が生まれながらも、命令によって教え子達を殺さなければならなかった教官達が気の毒。(実際彼らは先回りでして死刑囚たちに殺されてしまう)
 話はほぼ死刑囚の訓練兵側にたっているので、一人悪役に描かれた若き空軍兵が気の毒であったが、他に手だてはなかったのかと悔やまれるほど悲惨な話だ。

 2時間半は正直長かった。しかし実話ベースということもあってか「ブラザーフッド」よりは好き。(好きという表現もちょっと変?)ラスト思いっきり浪花節調になっていくのは肌に合わず。このあたりのくどさが韓国もの真骨頂!なのだろうが苦手。ただ、同じ浪花節調でも、日本の戦争映画みたいな空虚な嘘くささは感じない。
 「オールイン」のホ・ジュノが実はいい奴じゃん、な役でうれしかった。(・・・なぜ?)アン・ソンギの深い演技が渋い。

オールド・ボーイ 

2005年04月07日 | 韓国映画
★★★★
監督 パク・チャヌク 
出演 チェ・ミンジク、ユ・ジテ、カン・ヘジョン
2003年 韓国

 酔っぱらって警察の世話になり、その帰りに突然誘拐されその後15年間もホテルの一室に監禁され続けたごく普通の一般人だったオ・デス。15年目の突然の解放に彼は犯人を捜し出し、復習と誘拐理由を探り出そうとするが、オ・デスにコンタクトをとってくる犯人ウジンは「なぜ15年間監禁されたかではなく、なぜ15年目で解放されたかを考えろ」と告げるのだった・・。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 原作は日本のマンガと言うことだが、これはもうこってりねっとりの韓国テイスト。
 主役チェ・ミンジクが素晴らしい!の一言に尽きる。ここまでの俳優、日本にはなかなか見あたらない。表情一つで画を持たせてしまうのはもちろん、犯人ウジンのぬぺーとした顔と対照的に、刻み込まれた皺も渋い。小汚いおじさんなのに、ミドが惚れてしまうセクシーさも兼ね備えている。

 犯人ウジンの言葉通り、衝撃の事実は誘拐理由よりも15年目の解放理由にあるのだが、ネタばれすると興ざめなのでこれ以上は書けない・・・。(ちなみに私は全然分からなかったので普通に驚いた)

 韓国映画はえぐい演出もとことんやるので、観る方も非常に力が入り気合いを要する。本当に「映画一本観た!」という気にさせてくれた。ちょっとセンチメンタリズムも濃ゆいのでそのあたりは苦手な部分だが、この映画から溢れ出るエネルギーは素晴らしいと思う。
 しかしラストは余計だった。犯人の死ですぱっと終わっていれば満点。

 ハリウッド・リメイクも早速決定していると聞くが、ネタもばれているので、この映画に勝るものが作れるのだろうか?
 決め手は俳優だろう。誰かな~?

オルガミ~罠~ 

2005年04月03日 | 韓国映画
★★
監督 キム・ソンホン 
出演 チェ・ジウ、ユン・ソジョン、パク・ヨンウ
1997年 韓国

 トンウと結婚し、幸せな新婚生活を夢見ていたスジンだが、その夢を打ち砕いたのはトンウの実母だった。その異常な息子への愛は次第にエスカレートし、ついには悲劇を迎える。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 きゃ~、怖い~~!ッテナ軽いノリで大変見やすいです韓ドラ。(映画ですが)

 自分はすでに新妻(不安)の立場は過ぎてしまっているので、どちらかといえばこの母みたいにはならないようにしなければ・・な立場?幸いなことに我が息子は、こんなにも従順じゃないし10歳現在において、お風呂でのあんな会話をしようものなら「きしょい!」と一括されてしまうから大丈夫か・・・。

ある意味敵対する嫁・姑の関係であるが、男の子を持った母親なら少なからずどちらの心理も理解できるはず。この映画の母はすでに息子を異性として見ているので、そこに至るまでの屈折した何かがあるはずだと思うが、映画はそんなしちめんどくさいことには一切触れず、ただひたすら(チェ・ジウ扮する)嫁いびり。これがすごくどろどろしてて、ユーモアのかけらもなく、段々見ているのがつらくなってくるほど陰湿。チェ・ジウの嫁がめずらしく反発したりするのでそこが救いだろうか。(いつもの役どころだと、いらいらするほど耐えたりするから)

 これはチェ・ジウだけを見る映画。初めからそれ以上は期待していなかったので、こんなものかな。ただ、韓国ってやはりラテンの国。チゲ鍋を包丁でかき混ぜたり、やっぱやることが半端でなく怖い。

八月のクリスマス ★★

2005年01月06日 | 韓国映画
監督 ホ・ジノ
出演 ハン・ソッキュ、シム・ウナ

 巷で名作の誉れが高いので見てみた。良くできているような気もする一方で、そのあたりが狙いすぎてイヤミなような気もする。ハン・ソッキュもうまいのだろうが、「シュリ」の時より顔がふくよかで、どうしても死にそうに見えないのが最後まで尾を引いた。あえて病気で苦しむ場面を排除したのだろうが、死へのリアルさがここまでないと、状況説明だけで納得してね、と突き放されたようだ。「八月のクリスマス」の意味もわかりづらく、所々にいいシーンはあったものの、全体的には独りよがりな映画という印象だった。

 私という人間はきっとこの主人公とは正反対だろうから、ああやって死を前にしてにこにこしたり、明るく笑ったり、思いをつづった手紙も出さず人知れず彼女の前から永遠に姿を消すという行為は 理解できない。それが相手を思いやる愛の形ととる考えもあるだろうが、なにも告げられずに永遠に去られたら遺された者はたまらない。むしろ残酷ではないのかと思う。それを美談のように描くこの映画にはちょっと反発を覚えてしまった。
 ただ、ラスト近く町で彼女の姿を見つけながら声をかけられず、窓越しに指で彼女を抱きしめるような、あのシーンにはぐぐっときた。うまいと思う。

イルマーレ 

2005年01月04日 | 韓国映画
★★☆
監督 イ・ヒョンスン
出演 チョン・ジヒョン、イ・ジョンジェ、チョ・スンヨン
2000年 韓国

1997年海辺の家に越してきたソンヒョン。彼の家に郵便受けに入れられた手紙は見知らぬ女性ウンジュからのもので、自分はこのイルマーレの家に住んでいた者で、(新しい住人に)この手紙を自分の新しい住所のところに送ってほしいというお願いが書かれていた。その不思議な手紙の日付は2年後の1999年だった・・・。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 韓国映画はこれでもか=!のこゆい系が特徴かと思えば、この映画に代表されるような、有る意味軽くてセンス良さげにまとめた演出も得意。

 少女マンガチックな 胸がきゅんとするこの手のタッチは多くの人に好まれる映画だと思うが、私はこういう話ではすでに胸きゅんにはならない。少女マンガは好きでも、少女マンガみたいな映画は好みではない。
 邦画でいったら岩井俊二の「ラブレター」のようなジャンルなんだろうか。かなり意識しているのでは?

 まず、頭の中がぐちゃぐちゃになってくるので、タイム・パラドックスな時空が絡んだ設定はよっぽど話がしっかりしていないと厳しい。設定に無理があるから、どうにもこうにも都合良く話が進み、ちゃちな印象。

「ラブストーリー」にも通じることだが、この手の韓国映画は女優でもっているようで、同じチョン・ジヒョン主演の「猟奇的な彼女」で感じた衝撃は感じられなかった。

ガン&トークス 

2004年12月17日 | 韓国映画
★★★★
監督 チャン・ジン
出演 シン・ヒョンジュン、ウォンビン、チョン・ジェヨン
2001年 韓国

 殺し屋稼業の4人組、リーダーのサンヨン、サンヨンの弟ハヨン、爆発物専門のジョンウ、スナイパーのジョエン。普段はごく普通の青年たち。今度の依頼は、オペラ上演中の暗殺だった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 ほとんど期待していなかったが、ドラマ「天国の階段」のお馬鹿オパァ、シン・ヒョンジュンがなかなか良い味出している・・・という情報がなければ素通りの映画であった。それだけに思わぬ拾いもの。
 韓国ドラマ・映画の最大の特徴で最大の欠点(と私は思っている)仰々しさや大芝居がかった感じがほとんどなく、ちょっとセンスのいい、小粋な映画である。

 一般人の依頼を受けて人を殺す、殺し屋稼業の4人組。仕事はきちっとこなすが、彼らは冷血無情な人間とはほど遠い。
 なぜにこんな稼業についたのかという疑問はさておき、彼らと標的及び絡んでくる警察とのやりとりがユーモラスだ。映画のテイストとしては珍しくないが、韓国映画では(そんなに沢山観ているわけでもないが)新鮮かつ心地よかった。いわゆるよくできた映画として評価されている「猟奇的な彼女」や「ラブ・ストーリー」みたいな少女趣味もない。

 一応主人公のシン・ヒョンジュンが「天国の階段」とは見違えるほどいい味を出している。「天国~」も有る意味コメディだけど(これ皮肉)意外な一面を見せてもらった。まだまだ若いウォンビンも初々しく、あとのメンバー2人も好印象でちょっとお勧めの映画。

ラブストーリー ★★★

2004年12月05日 | 韓国映画
監督 クァク・ジェヨン
出演 ソン・イェジン、チョ・スンウ、チョ・インソン

 ユーモアの要素もあるし、わりと良くできた映画だなと思う。特に前半部分は韓国映画にしてはさらっとしていて好感が持てた。雰囲気が岩井監督の「ラブレター」に似ているかな~と。ただ後半、ジュナが戦場へ行ってしまうあたりから韓国テイストがにじみ出し、こじつけのような展開とラストのオチはいらなかったと思う。(そこが良かった人もいるかもしれないが)とにかく後半部分が長い。そこで前半部分のいい感じがばっさり分断されてしまった気がするのが残念。
 ジヘとジュヒには「夏の香り」のソン・イェジン。相手役のジュナがイケテナイのはいいが、いっそもっと無骨な感じだと良かったかな。ちょっとイケテナさが中途半端。
 ジュヒの婚約者でジュナの親友テスが本当にいい奴なので、あの扱いはあんまりだ。せめてテスとジュヒが結婚に至ったいきさつをもっときちんと扱って欲しい。そうでないと主役の二人の純愛が身勝手に見えてしまうから。娘ジヘとサンミン先輩の運命的なつながりも少女マンが的で安っぽいので、いっそジュナはあの時戦死してしまった方が良かったかも。(それにしても命を賭けて守ったペンダントはもとはテスのお父さんがくれたものだったんだよね~)
 
 映像は とてもきれいだった。余談だが、韓国映画やドラマを見るたびに思うこと。韓国の目上の人(親や教師や先輩など)はどうしてあんなにばしばし殴ったりたたいたりするのでしょうか。見ていて恐いです。笑えません。

殺人の追憶 ★★★★

2004年11月14日 | 韓国映画
監督 ポン・ジュノ
出演 ソン・ガンホ、キム・サンギョン

 1980年代に韓国で起こった未解決連続殺人事件がヒントになっている。「ブラザーフッド」で韓国映画の仰々しさにちょっとがっかりしていたので、評判は良い映画だが懐疑的であった。しかし本作品はユーモアがあふれていて、未解決事件を追う刑事たちの苦悩をさらりと描いていた。
 韓国ものは重い。それが新鮮で その押しの強いところが魅力でもあるのだが、あの仰々しさはちょっとひいてしまう。やはり、焼き肉、キムチ、にんにくの国だなあと思う。息抜きとして付け合わせの野菜や果物が欲しくなるわけで、それがユーモアセンスでしょうか?

 田舎の刑事とソウルから来た都会の刑事。二人がいつしか逆転していく様はありはちな展開であるが、明らかに黒に近い容疑者を追いつめながらも証拠不十分で釈放しなければならないくやしさは観る側も同じ気持ち。あの容疑者、女のようなやさ男の俳優がとってもそれらしく、憎らしげでうまかった。ラスト、少女が見たという「普通の顔」をした犯人の男は果たして彼だったのか、想像をかき立て、もんもんとさせるにくい終わり方。少女の言葉通りなら、その後犯人はほどなく殺人をやめ、それこそ普通の男として社会に紛れていったのだろう。一体、なんのための殺人だったのか。

 韓国特有の描写のえぐさや、暴力的な行動が少し気になる。この映画だけではない、ドラマに於いてもいつもいらだっている。暴力シーンがいつも本気。強いものが弱いものに対してすぐ殴ったり制裁を加えたりするのを見ると、こういう国民性なのだと思わずにはいられない。あの跳び蹴り拷問のシーンは疑問。それだけが残念。

ブラザーフッド ★★☆

2004年11月10日 | 韓国映画
監督 カン・ジェギュ
出演 チャン・ドンゴン、ウォンビン、イ・ウンジュ

 これを劇場で観た友人2人が絶賛していた。絶賛の理由はリアルな戦闘シーンではないと思う。韓国映画の気迫を感じ取ったのだと思うが、私はこの浪花節的演出は苦手である。(ドラマなら稚拙さも許せるが映画となるとシビア。)これに限らず(日本映画もしかり)戦争映画の筋はどうしてこんなにお涙ちょうだいなステレオタイプなのだろう。
 
 弟を思いながら戦争の狂気に取り憑かれていく兄。突然戦争に徴集されてしまう恐怖。赤として同胞を無惨に虐殺していく南国の愚行、それなりにリアリティーがありながら、結局は安易なご都合主義でしらけてしまうのがもったいない。
  なにより残念だったのが過剰なまでにリアルな戦闘シーンが、戦争の残酷性をかえって弱めてしまうようでならないこと。最近、映画に於いて戦闘の描写がこんなにリアルである必要があるのかと疑問に思う。戦争の非情さやむごさが伝わる以前に、どんどんエスカレートして一人歩きしていく描写が不快。

 北の兵士はお決まりのゾンビ化した敵キャラ。この国の悲劇は同じ民族間で殺し合ったことなのに、この映画で描く悲劇はそういうことじゃないことに驚いた。分断された悲劇には全く触れていない。北はあくまでも「敵」としてでしか存在しない。兄弟愛で涙を誘ってる場合じゃないだろ、と私なら思ってしまうのだが、他国のことだしな。

  ウォンビンは「秋の童話」なんかよりもずっと初々しい感じで良かった。それに比べてチャン・ドンゴン は私には濃すぎる。オーバーアクトは韓国ならではの持ち味ですが。