★★★
監督:黒澤明
主演:森雅之、三船敏郎、原節子、久我美子
1951年 日本
沖縄からの復員兵、亀田欽司は青函連絡船の中で赤間伝吉という男と出会った。欽司は親類である牧場主大野に身を寄せに、伝吉は自分を勘当した父親が亡くなったので、家へ帰るところだった。
伝吉には勘当の理由となった、那須妙子という思い人が居たが、妙子は政治家東畑の囲い者であった。帰路の途中、その妙子の写真を目にした欽司は、その美しさに目を奪われてしまう。
欽司は癲癇性痴呆性で、自らを白痴だと公言した。その純粋無垢な人柄は人を引きつける何かがあった。
東畑は妙子が出世の邪魔になってきたので、香山という男に60万円の持参金をつけて嫁に出そうとしていた。伝吉はその話を聞いて、100万円で妙子を譲り受けようとしたが、妙子はその金を暖炉に投げ込んで伝吉と一緒に去ってしまう。その一方で妙子は自分を哀れむ欽司に、反撥を覚えながらも強く心惹かれるのだった。
赤間と欽司の間で揺れ動く妙子。しかしその果てに、ついに伝吉は妙子を刺殺してしまう。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
原作はドフトエフスキー。小難しいロシア文学を3時間ほどにまとめ上げるのはやや無理があるのか、いいやきっと私の頭が悪いせいだろう。見終わって印象に残ったのは「悪い奴ほどよく眠る」とはうってかわった森さんの演技と、三船さんの怖い顔。そして悪女、原節子さんも怖かった。・・・怖いけれど原さんの顔立ちを思うと、小津さんや成瀬映画のような、古き良き日本の妻・娘役よりは、妙子のような毒のある女性の方が似つかわしいように思う。
障害者は心清く無垢で、俗人は汚れてしまっている。そんなよくある図式の原型なのか。
欽司は現実を生きる必要がないけれど、汚れていたとしても現実を生きる者は無垢のままではいられないじゃないか。ここの女性たちは欽司に心惹かれるいくけど、それじゃ他の男たちが浮かばれなさすぎ。あんなにも醜く描かれて。
夢見るようなふわふわした森さんの、生活感のなさがとってもユニーク。だって手を握りしめながらぶりっこのようにしゃべったり。悲しいまでにみっともない香山役の千秋さん。彼のような現実を生きる男たちに、妙子たちの視線は辛辣で厳しいが、個人的には共感できず。ただただ、三船さんの狂気の表情、氷のような原節子さんの美しさに圧倒される。
監督:黒澤明
主演:森雅之、三船敏郎、原節子、久我美子
1951年 日本
沖縄からの復員兵、亀田欽司は青函連絡船の中で赤間伝吉という男と出会った。欽司は親類である牧場主大野に身を寄せに、伝吉は自分を勘当した父親が亡くなったので、家へ帰るところだった。
伝吉には勘当の理由となった、那須妙子という思い人が居たが、妙子は政治家東畑の囲い者であった。帰路の途中、その妙子の写真を目にした欽司は、その美しさに目を奪われてしまう。
欽司は癲癇性痴呆性で、自らを白痴だと公言した。その純粋無垢な人柄は人を引きつける何かがあった。
東畑は妙子が出世の邪魔になってきたので、香山という男に60万円の持参金をつけて嫁に出そうとしていた。伝吉はその話を聞いて、100万円で妙子を譲り受けようとしたが、妙子はその金を暖炉に投げ込んで伝吉と一緒に去ってしまう。その一方で妙子は自分を哀れむ欽司に、反撥を覚えながらも強く心惹かれるのだった。
赤間と欽司の間で揺れ動く妙子。しかしその果てに、ついに伝吉は妙子を刺殺してしまう。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
原作はドフトエフスキー。小難しいロシア文学を3時間ほどにまとめ上げるのはやや無理があるのか、いいやきっと私の頭が悪いせいだろう。見終わって印象に残ったのは「悪い奴ほどよく眠る」とはうってかわった森さんの演技と、三船さんの怖い顔。そして悪女、原節子さんも怖かった。・・・怖いけれど原さんの顔立ちを思うと、小津さんや成瀬映画のような、古き良き日本の妻・娘役よりは、妙子のような毒のある女性の方が似つかわしいように思う。
障害者は心清く無垢で、俗人は汚れてしまっている。そんなよくある図式の原型なのか。
欽司は現実を生きる必要がないけれど、汚れていたとしても現実を生きる者は無垢のままではいられないじゃないか。ここの女性たちは欽司に心惹かれるいくけど、それじゃ他の男たちが浮かばれなさすぎ。あんなにも醜く描かれて。
夢見るようなふわふわした森さんの、生活感のなさがとってもユニーク。だって手を握りしめながらぶりっこのようにしゃべったり。悲しいまでにみっともない香山役の千秋さん。彼のような現実を生きる男たちに、妙子たちの視線は辛辣で厳しいが、個人的には共感できず。ただただ、三船さんの狂気の表情、氷のような原節子さんの美しさに圧倒される。