脳内メモ ver.G

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脳内童話・浦島太郎風

1984-01-02 00:00:00 | 脳内童話

 昔々、とある海近くの村に浦島という漁師がいました。その浦島は村でも有名な漁師で、他の漁師が捕獲量がイマイチな時でも、浦島だけは常に大漁でした。
 毎回大漁なのは不思議に感じた一人の漁師が、浦島が漁に向かう後を付けていきました。すると浦島は海に爆弾を投げ込み、その爆発の衝撃で浮いてきた魚を捕獲していました。それを見ていた漁師は、なんて悪い事をしているんだろうと思い、村の皆に教える為に村に戻ろうとしました。
 
 その時です、急にその漁師の体が浮き上がりました。これは何事だと思い後ろを振り向くと、浦島が巨大な釣竿を持ち、漁師の体を吊り上げていました。
 浦島は持ち前の怪力を活かし、大きく釣竿を後へ。釣竿から吊り上げられていた漁師が離れた瞬間、浦島は手に持っていた爆弾を漁師目掛けて投げました。漁師が海に入っていくと共に大きな爆発が。その衝撃により魚が大量に浮かび上がりました。これで今日も浦島は大漁です。
 
 ある日、浦島が漁に向かおうと海に向かった所砂浜で子供達が集まっています。何をしているんだろうと浦島が見てみると、子供達はよってたかって亀をいじめていました。これはいけないと思い、手元の爆弾を亀と交換し、猛ダッシュでその場所から離れます。爆発を確認した浦島は一息つきました。すると先ほど助けた亀が浦島に話しかけてきました。
 「ありがとうございます。助けてくれたお礼に竜宮上に連れて行きましょう」と言ってきました。
 
 これはついてると思った浦島は亀の甲羅にまたがりました。
 「少しの間だけ息を止めていてくださいね。」
 こう亀が言ってきましたが、息を長い間止めている自信のあった浦島は快諾し、同意書にサインし、亀と浦島は海の中へと入っていきました。
 
 
 人間を乗せているのでかめは急いで竜宮城へと向かいました。しかし、亀が竜宮城に付いた時、既に竜宮城は何者かの爆撃を受けたようで変わり果てた状態となっていました。
 亀は、ここは無理だと諦め、他の竜宮城に行く事にしました。
 
 しばらく経ち、別の竜宮城に着いた亀。
 「さぁ、竜宮城に着きましたよ。」
 こう話し掛けたものの、さすがに息を止める自信があった浦島一郎も、一つ目の竜宮城までは何とかなっていたものの、次の竜宮城までは持ちませんでした。
 亀はチッと舌打ちをし、乙姫からの依頼を達成する為再び海岸へと向かいました。
 
 
 一方、浦島がいた村では偶然生き延びた子供の情報により、その噂で持ちきりです。既に浦島が亡くなっていると知らない村人達は、竜宮城に行った浦島を羨んでいました。
 
 浦島が死んでからしばらく経ったある日、ある一人の漁師が漁をする為海へと向かいました。すると海岸にて子供達が集まっていました。これはと思い、その漁師は子供達の元へ向かいました。子供達の元へ付いたと同時ぐらいに、子供達の体が真っ二つに崩れ落ちました。ふと中心を見ると巨大な化け物がいました。漁師は、これは殺られると思い死を覚悟しました。すると海の方からとある物体が巨大な化け物にぶつかり、倒しました。謎の物体のおかげで漁師は命を救われました。
 
 飛んできた物体は何だろうと思い見てみると、かめでした。すると亀は漁師に話しかけました。
 
 「助けてあげたので、あなたを竜宮城に連れて行きます。」

 
 なかば強制的に竜宮城へ連れて行かれる事になった漁師。まずは亀に指示されたように、役所に行って名前変更。約一週間ほどで浦島太郎と名乗れるようになれました。つづいて、息止め訓練。亀が急いで竜宮城へ向かった場合、早くても十分は掛かるとの事。目指せ十分の壁!
 一ヶ月ほどの訓練のお陰で、浦島は九分までは息を止められるようになっていました。しかし、それ以上なかなか伸びません。
 すると、ここ2,3週間ほど姿を見せていなかった亀が現れました。聞けば、亀自身も竜宮城まで早く行く特訓をしていたらしく、竜宮城まで約8分で行けるようになっていました。
 
 
 明日、亀と浦島はついに竜宮城へと向かいます。
 
 
 いよいよ運命の日、浦島は片手にモリ、片手に防水用タイムウォッチを持ち亀に乗りました。
 
 神社の方から鳴り響く鐘の音と共に浦島の持つタイムウォッチの数字が動き出しました。亀は以前のような失敗はしたくないので、全力で竜宮城へ向かいます。
 しかし、練習と本番では条件が違います。浦島は練習時にはなかった水流の強さに悩まされ、亀は浦島を支えるのに悩まされます。
 
 およそ5分程が経ち、竜宮城まであと約半分の距離。しかし、ここでトラブルが発生しました。最近この海に住み着き始めたサメが浦島と亀の前に現れました。サメは浦島と亀を発見した途端追いかけてきました。
 亀は急ぎますが、亀は亀、サメのスピードには敵わず差は縮まるばかり。あと少しで追いつかれるという所で、亀の隣を魚群が通り過ぎて行きました。亀の友人のイワシの群れです。
 イワシ達は浦島と亀を守る為、サメへと突進して行きました。が、所詮イワシ、瞬く間に全滅。しかし、サメは大量のイワシを食べた事により満腹となり、浦島と亀の事はどうでもよくなり住処へと戻って行きました。
 
 イワシ達の犠牲を背に、亀は竜宮城へ向かいます。ようやく亀の視界内に竜宮城が入りました。あと少しだと思い、励ます為浦島のほうを見てみると、とても苦しそうです。亀は浦島の手元にあるタイムウォッチの数字を見てみると、既に浦島の限界である九分をとうに超えて十分ほど経っていました。亀は疲れの溜まった体にムチを打ち全力で竜宮城へと向かいました。
 
 
 浦島が目覚めた場所は竜宮城内でした。浦島が目を覚ました事に気付いた使いの物は乙姫に連絡に行きました。
 しばらく経ち、浦島は使いの物に大広間へと連れて行かれました。大広間にて浦島が目にした者は、この世の人とは思えないほどの美人でした。この人が乙姫様だと思い込んだ浦島に、その美人の隣にいたこの世の人とは思えないほどのブスが話しかけてきました。そのブスの話の流れからすると、このブスが乙姫の様子。想像と違った乙姫のツラに我を忘れてしまった浦島は手に持っていたモリで乙姫ことブスを一刺し。見事退治しました。
 
 勿論、乙姫が殺されたので、竜宮城内は大混乱。これはヤバイと思った浦島は大広間から逃げ出しました。沢山の追っ手が来る中、浦島はとある一室に逃げ込みました。
 ここは何かが作られている研究室の様子、先ほどから怯えている研究員らしき者をモリで突きつつ話を聞くと、ここはウィルスが製造されている場所のよう。何でも地上界征服の為、地上界の人間を連れてきて、そいつに玉手箱と名をつけたウィルス入りの箱を渡し、地上でこれを開くと、ウィルスが空気を通し広がり、感染した者は二日ほどの潜伏期間を経て脂肪。潜伏期間中に感染者の呼吸によっても空気感染する為、約三ヶ月ほどで地上の人間の三割ほどは殲滅されるという代物らしい。
 その時、銃声と共に研究員が倒れました。音のする方向を見てみると竜宮城まで連れてきてくれた亀が銃を持って立っていました。亀は浦島の方へと銃口を向けました。口封じの為、殺されると思った浦島はモリを亀に投げつけました。亀が頭目掛けて飛んできたモリを打ち落とした瞬間、モリの死角となっていたもう一本のモリが亀の腹部に刺さり、亀はその場で倒れこみました。
 浦島は亀に刺さったモリを抜き、研究室を出て竜宮城の中心部へと向かいました。迫り来る敵を蹴散らし、浦島は竜宮城の中心部、制御室へとたどり着きました。
 
 浦島は竜宮城にて行われている企みを事前に防ぐ為、竜宮城の自爆装置を押しました。自爆装置のタイマー作動と同時に浦島は敵に囲まれました。もう逃げ道は無い、死を覚悟した浦島が目にした物は先ほど大広間にいた美女が掲げている立て札でした。
「乙姫、ドッキリ大成功!!」
 その瞬間周りにいた者たちが大爆笑。竜宮城の地上征服の話は全て浦島を驚かせる為の嘘なのでした。こりゃ一本取られたと浦島が手を頭に当てた瞬間、自爆装置のタイマーはゼロをカウントしました。
 
 
 この日、浦島の村に大きな津波が襲ったとさ。めでたし、めでたし。

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