「京都・北山丸太」 北山杉の里だより

京都北山丸太生産協同組合のスタッフブログです

絞巻きサバイバル撮影

2011年11月11日 | 生産作業 工程

やっと11月らしい気温になり、晴れた日の夜は月も冴えざえとした光を放つようになりました。

先日JICAの皆さんも興味をお持ちだった人造絞丸太。その絞巻きの機会に恵まれ、ビデオ撮影に同行しました。

今回はお手伝いを兼ねていたのでたくさん写真は撮れませんでしたが、理由はそれだけでなく・・・

なかなかサバイバルな状況だったからですf^^; 途中まで車で移動したのですがそれすらジェットコースター気分。

職人さんは目指す北山杉に向かって山の斜面をスイスイ、私たちは、もうとうに到着している職人さんの気配めざして側面から道なき道をトロトロ。

途中で何度か立ち往生。見下ろせば…

ころころと転がり落ちそうな傾斜です。北山杉は密に植わっているように見えますが結構、間隔が広くてつかまりながらという訳にもいきません。

 

やっとの思いで合流、手による人造絞巻きを見せていただきます。

最初は梯子をかけ、天辺まで登ると梯子は蹴落とします。巻きながら足場をグッ、グッと下げていきます。

予め荒皮を全部剥いてから巻く方、剥きながら巻いていく方、職人さんにそれぞれのやり方があるようです。

今回は剥きながら巻いていかれます。一定部分を巻き終わるとカマでシャッ、シャッと皮を削り落とします。

腰に下げた籠の中にはたくさんの箸状当て材、針金、かまなどが入っています。

結構急な斜面でしょう。カメラマンさんも職人さんの細かな作業を見逃さじと真剣な表情。

この後、機械で巻く方法も見せていただきました。(現在はこれが主流)

この様に針金を巻きながら箸状当て材を差し込んでいきます。

左側に見えるのがハンドル、その内側に針金が固定してあり、ローラーで押さえながらぐるぐる回して巻いていきます。

身体も楽だし時間効率も良いですが、機械化された頃はローラーが木肌に食い込んでしまい、型が残ってしまったという苦労話も聞かせてもらいました。それでも一日に巻けるのはわずか7本。緻密で手間のかかる作業です。

 

最後に間竿(けんざお・3mの長さの竹)を合わせて長さを確かめたら出来上がり。箸状当て材がはずされるのはおよそ2年後です。季節を二度めぐり、どのように生まれ変わっているのでしょうか。

 

ところでサバイバル撮影と名付けたのは急な傾斜のためだけではありません。行く手を阻む生きた鉄条網。

「あいたたた!ナニコレ?」私の声に職人さん、「あ!それ気ィつけなあかんで~」

...と言われても、時すでに遅く足にまとわりつき、手で取ろうとしたらその手に食らいつき、そうこうしている内に腕にも袖にも絡み付き囚われの身。手のひらは穴だらけ…その正体はこれ。 

「蛇結(じゃけつ)」…地元の人はジャッケツとも呼んでいます。

何とも恐ろしい文字と響き。枝がもつれながらくねっている様を雌雄の蛇が絡みあっている様子に見立てて名付けられたらしいです。

【ジャケツイバラ】 学名 caesalpinia decapetala

日本原産、本州以南に分布、マメ科の蔓性。なるほど葉っぱはマメに似ています。ジャケツイバラ科と特定されることもあります。

 

種子は有毒ですが、「雲実(うんじつ)」という生薬としてマラリア・下痢に効能があります。

「毒をもって毒を制す」とはまさにこの事かも知れません。棘は様ざまな方向に向いていて、ひとたび刺さるとなかなか取れません。

その名前は鋭く丈夫な棘に蛇でも絡めとられてしまうという意味合いもあるのかも知れません。

そんな恐ろしさとは裏腹に4月~6月には可愛らしい鮮やかな黄色い花を咲かせます。(以下は資料画像)

 大きな木に絡みついて咲き誇る花。その姿は、ジャケツイバラ自身が大木であるかのようにその存在感をアピールしています。

藤の花が垂れ下がっているのに対してジャケツイバラは上を向いて咲くので、「逆さ藤」とも呼ばれているそうです。

 ジャケツイバラ。初めて知ったこの植物の名前。

山に入る職人さんは昔から「ジャッケツ」をよく知り、仕事を妨げるやっかいものとしてバサバサと切り落としています。

けれど斜めに削がれた切り口を見ていると何だか可哀想な気持ちになるのです。

切られてもなお、まるで生きた蛇のように絡みつき突き刺さる棘に底知れぬ生命力を感じ、彼らもまた自らを守るためにそうあるのだなぁと。

やっかいで恐ろしいジャケツイバラでも、その下で育つ植物は守られているのかも知れない。もしかすると、私たちの大切な北山杉を獣から守ってくれる鉄条網なのかも知れない。

そんな風に考えると、手のひらや指先の痛みも少しは和らぐような気がするのでした。

貴重な絞巻きを記録に残すため、サバイバルな撮影でしたがいやはや、自然は素晴らしい。

職人さんと山から学ぶことはまだまだ、ありそうです。

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