月明かりの下の独り言

こちらに舞い戻って参りました。
こちらで、ちょっくら暑苦しく真面目な話題に、取り組んでいきたいと思います。

日本の農業のこれから

2008-03-22 | つぶやく
Mさんという女性と、先日のピースウォークで一緒に歩き、話をした。
彼女はサーファーで、いつも波乗りをしている海の環境問題を考えることから、平和活動に参加するようになったという。
その彼女の夢。


エコヴィレッジをつくりたい。


そして、農業に興味がある、という話も聞いた。
自分たちの食べるモノだけでも良い、農業で生計を立てることまでは望んでいないけれども、自分たちで野菜やコメをつくりたい。
でも、どうすればよいのか、何から初めて良いのか・・・。

そんなことを話したような記憶がある。


ぼんやりと、そのことも考えていたが、最近買った本を読み始めて、何となくつながるものがあった。

地域の力―食・農・まちづくり (岩波新書 新赤版 1115)
大江 正章
岩波書店

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第一章は、島根県雲南市の木次乳業を中心とした地域に根付いた農業を試みている人たちについてのルポである。その中に、こんな言葉があった。

「非血縁・半地縁・地域共同体」

創意工夫を凝らして、適正規模で有機養鶏を営む夫婦。木次乳業に卵を卸して四人の子どもを大学までやったが、後継者は居ない。彼らの意志を継ぐ若い人がいれば、育成し、鶏舎経営を任せたい。血縁にこだわらない。地縁にもそれ程こだわらない。

Mさんのプランをきちんと理解しているわけではないので、一概には言えないと思うが、昨今の地産地消という価値観の高まりからも、農業に興味を抱く若者は決して少なくないだろう。

でも、兼業農家の長男の嫁である私が思うに、すでに農業に片足をつっこんでいる若者は、なかなかに保守的である。我が家の宇宙人は特に保守的だし、宇宙人の両親、祖父母も、極めて保守的な、田舎ものである。なかなか、この木次乳業を取り巻く人たちのように、柔軟に、創意工夫を凝らして、適正規模で専業農家を切り盛りしていくだけの余力もない。年金や、農外収入をつぎ込んで、非生産的な農業を繰り返している。日本の農業の先行きに、明るさを見出すのは、とても難しい。

現状に呑み込まれ、やっぱダメだなぁ、なんて悲観的になってしまう農家の若者よりも、ある意味無邪気に、そして先入観を持たない若者が農業に参加していくことが、何か状況を打開していくエネルギーになるんじゃないかと、Mさんと話していて感じた。

だけど、なにも知らないで農業の世界に入っていっても、かなりムダな試行錯誤を繰り返し、結局は自給分の生産のみで、経済活動としての農業を営むにはほど遠い状況になり、結局はあきらめてしまう人たちも多いのではないかと思う。そんなことにならないためにも、この本のまだ最初しか読んでいないが、地域社会の持つ知恵と、新しい若いエネルギーが一緒になれば、まだまだ日本の農業はなんとかなるのかもしれない。

そんな、明るい気持ちにさせられた。


こういった新しい取り組みを見ていると、3月17日付の朝日新聞社説の農業経営大規模化を進めよと言う議論は、農家の実情にあっていないと思える。これについては、また後日。


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