にゃんこの置き文

行く川の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず

フミたんが帰ってこない

2022年04月13日 | 
先週の今日、フミたんが姿を消した。
多分死に場所を探しに出たんだと思う。
今までの病猫はみんな寒い時期に死んでたから、冬を越してホッとした矢先だったんだけどなぁ。

マーちゃんが死んだ時、もう猫は飼わないと決意した。
私もいい歳なので、新たに飼っても最後まで面倒をみられない。
それなのにフミを飼い始めたのは、「こいつは長生きはできないだろう」と思ったから。
迷い込んで来た時のフミは下半身がマヒした状態で、痩せて毛並みもぼろぼろだった。
マヒの原因は人間に虐待されたのかもしれない。
とにかく人間を異常に怖がって近寄らせてくれないので、エサとトイレだけ置いて放置した。
ウンチはできるし、尻尾も少しは動いているので、完全なマヒではないだろうと読んだ通り、そのうちふらつきながらも歩けるようになった。
ところがこの猫、ウンチだけはトイレでするが(お尻だけ容器の外に出してたりするけど)、おしっこは所かまわず。
寝てる場所でシャーとやって、汚れると場所を変える。
こっちも慣れてきて、最近はコタツの中をトイレ代わりにしていたので、ペットシーツを並べた上にコタツ敷きを広げ、その上にまたペットシーツを敷き詰め、フミがコタツから出てくる度に汚れたシーツを交換するという方法で凌いでいた。
最近はペットシーツが安くなったので、その点では助かった。
20年ほど前、ニゴウが老衰で垂れ流しになった時も、部屋中にペットシーツを敷き詰めたけど、あの当時は紙おむつ並みの値段だったもんね。

思えば、病気のデパートみたいな奴だった。
マヒが治ってもしょっちゅう鼻を詰まらせて鼻血を出してたし(人間と違って猫はめったに鼻血は出さない筈)、2年前の夏には口内炎も発症。
カリカリとペースト状のウエットが食べられなくなり、いろいろ模索した結果、ふやかしたカリカリとサイコロ状に刻んだ鶏肉かカツオのたたきなら何とか食べられるとわかったものの、皿に盛った状態では駄目で、それらを一口分ずつ前に置いてやらなければいけなくなった。
それでも痛みのせいか食べられない日が続くこともあり、痩せてくるし、鼻血は相変わらずだし、よだれに血が混じりだすしで、いよいよ長くないなと思った。
この時、何とかとっつかまえて病院に連れて行こうと決意した。
噛みつかれても引っ搔かれても大丈夫なように皮の手袋をはめ、洗濯ネットを手に捕獲を試みたものの、怯えたフミはびびりションどころかびびりウンチを漏らし、本気のネコパンチを繰り出してきた。
手袋の売り文句には「鷹の爪でも大丈夫」とあったけど、見事に穴があいたぞ。(この時、猫は猛獣であると実感した)
心臓麻痺を起こしそうな怯えぶりに捕獲を断念したんだけど、フミの為を思うなら本当はどうすべきだったのか、いまだにわからない。
ニゴウは治療で3年ほど寿命が延びた。でもクロタンやマーは、いたずらに苦しめただけだった。
迷った末、フミが怖がることは一切しないまま過ごそうと決めた。

それからも下痢をしたり、真っ赤なよだれを垂らしていたり。
去年の秋には血便・血尿。暮れにはまぶたが塞がって見えない状態に。
でも本猫は不自由なふうもなく、今年の1月2月はそれなりに食べて安定してた。
3月に入ってまた食べられない日が続いて、たまに食べると下痢をするようになった。
そして先週の日曜日、夜になってふらりと外へ。
目が見えないのに大丈夫かと心配したけど、翌日には何事もなかったような顔をして帰ってきた。
この時気づくべきだった。
猫って死期が近づくと、なぜか外に出ようとするんだよね。
クロタンなんてほとんど動けない状態だったのに二階のベランダから脱走したから、「まさかあの身体で」とこっちはビックリ仰天した。
ヒラメは身体を引きずるようにして帰ってきて、その日のうちに昇天。
クロタンは愛護センターに電話をかけてる最中玄関から駆け込んできて、数日後昇天。
マーは結局帰らず。
そしてフミ。

「クロ号」というマンガでも、主人公のクロはネコエイズで死ぬ前、瀕死の身体に鞭打って外出し、別れを告げるように慣れ親しんだ道を歩いて回るシーンがあった。
フミも日曜日一日かけてお気に入りの場所を回り、水曜日に改めて死に場所に出向いていったのかな。
もしそうなら潔すぎるぞ。









コメント
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