新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ)

ハイキングに里山再生、れんちゃんとお父さんの日々。

クッキーはこぼさず食べて

2022年06月22日 | 習作

さて、.「文学少女の三題噺シリーズ」です。今日は2013年1月28日のツイートの再録です。

 

23:17

モデルになったクッキーは明治初期の製法のままでバター控えめらしい。

大阪も雪。お題→文学少女「くろまっくくん、今日のお題 は『蟻』『掃除機』『一見さんお断り』 よ!」

 

 

2013/01/28 Mon 12:37 From web   23:23

 

「このビスケットおいしいね」

 

「一見さんお断りの超有名店のクッキーよ。SNSでお店に紹介してくれる常連さん探し回ったんだ」

 

「洋菓子なのに?いまどき祇園にもそんな店ないぞ。ん?この店も京都か」

 

「あ、ボロボロこぼして!蟻が湧いちゃうでしょ。また掃除機かけなきゃ。男って子供なんだから」

2013/01/27 Sun 23:23 From Mobile Web (M5)

 

 

いかがでしたでしょうか。ビスケット=普及品、クッキー=手作り風の高級品という区分があるようで、苦労して手に入れた超レアなクッキーを「ビスケット」呼ばわりするパートナーに、彼女(彼氏かも、その他かもしれません)はご立腹です。オリジナルのツイートでは、この味音痴で無神経でがさつなパートナー氏は、彼女(仮)の神経をさらに逆なでするような発言をしています(興味があれば、このブログのカテゴリ「つぶやきまとめ」よりご確認ください)。

 

さて、「蟻」「掃除機」「一見さんお断り」のお題の取り合わせをみたとき、少しがっかりした記憶があります。

 

食材にこんにゃくが指定されたら、基本、和食で、白ごはんに合うメニューに決まってきます。

 

どんな食材でも、トマトとオリーブオイルとにんにくを使えば、何だってイタリアンになりますよね。サバ缶はイタリアンにフレンチにインディアンに中華に活躍できる天才です。サバは超優秀な食材だし、イタリアンも懐が深いのです。

 

しかし、納豆と高野豆腐とこんにゃくに関しては、こうしたグローバル展開は、ハードルが高いようです。

 

特にこんにゃくについては、アヒージョの一員になれたとしても、あの独特の食感でお里が知れてしまって、「このあいまいなジャップの私め!」といわれながら、最近流行りのアジア人に対するヘイトクライムに遭ってしまう、そんな危険を感じて、お父さんはとても心配です。

 

「一見さんお断り」は、こんにゃくと同様、このころの私にとって応用のむずかしいお題でした。京都のイメージが強すぎるからです。もちろん、オタク共同体の排他的な側面を示すフレーズでもあり、話の持っていき方次第なのですが。

 

結局、京都の話が2日続くことになりました。え? 大原は京都ちゃう? シャトルバスまで出している京都バスの気持ちを考えてあげて!  

 

というわけで、京都は京都でも、「一見さんお断り」の洋菓子店のクッキーという、変化技になりました.。

 

この三題噺を始めたきっかけは、『“文学少女”と死にたがりの道化』のキャラクターになりきって(「なりきりさん」といいます)、自殺をほのめかす若者と、Twitterで出会ったことでした。

 

高校生か専門学校生、大学生くらいのようでした。リプやDMのやりとりもありました。一緒に死んでくれる美少年を探していたのに、おじさんだったのには、あからさまにがっかりしていたのが印象に残っています。若い人は正直でいいですね。

 

逆説めきますが、いつでも死ねるというのは、生きる希望です。自殺という酸素ボンベがなければ、すぐに窒息してしまいます。娘ほど年齢の離れた彼女にも、そんな何かの本を読んだ話をしたかもしれません。

 

でも、おなかは空くし、来週のアニメも気になるよね。おじさんも“文学少女”の三題噺にトライするから、読みに来てよ。

 

そんなふうにして、この三題噺は始まりました。

 

明らかに蛇足の「男って子供ね」を消さずに残したのも、この小話が逆『アラビアンナイト』だったことを忘れないようにするためです。

 

残念ながら、あまり好みの話ではなかったようですが、最後くらいは、恋に傷つき、自分を傷つけていた、死にたがりの姫の心に響くかもしれないことばで、物語を締めくくりたかったのです。「一見さんお断り」の店のクッキーには、興味を示してもらえたかな?

 

モデルになった洋菓子屋さんは、1907創業、村上開新堂という京都最古の洋菓子店です。いまは電話予約も受け付けるようですが(半年待ちだそうですが)、当時は紹介制だったと記憶します。 

 

 

クッキーの画像は村上開新堂のサイトから拝借しました。

https://www.murakami-kaishindo.jp/index.html

 

 

ツイートをサルベージしていくと、出張で、たまたま彼女の地元を通過したときのツイートが残っていました。あのころの私は、レインを読み返して、彼女のことを考えていたりしていたようです。このつぶやきはいずれ整理して、独立したエントリとしてまとめてみたいと思っています。

 

このころは「一見さんお断り」=京都という固定観念に縛られてしまいましたが、いまはそうでもありません。最近、高級リゾート介護施設施設の仕事をしていますが、京都なんて全然かわいいもんですよ。昨夜、寝る前に別バージョンを思いつき、今朝起きると、小話ができていました。

 

書いてみて、おもしろそうだったら、次回アップしますね。



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2 コメント

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Unknown (白鑞金)
2022-06-23 04:15:02
>村上開新堂

寺町の、ですよね。「クッキー」が意表をつく明るみを演出していて細かい気配りなのでしょうか。

でも昔、祇園と寺町とはミスキャストじゃないですが微妙に違っていました。寺町二条は梶井基次郎「檸檬」のイメージ、合わせて舞妓さんが小物探しに行く「丸善」。木漏れ日なんか似合ってますよね。

祇園は外から来られた人々にはまるでわからないところでした。個人的には小料理屋の娘とか宮川町のお茶屋のせがれとか三味線の師匠とか料亭に就職した同級生がいたので、中の構造はまあまったく知らないわけでもないのです。が、それだけに谷崎潤一郎じゃないですが人間関係の面で「陰翳礼讃」なところが無理っぽく残ってる感じで江戸川乱歩なら喜びそうなプリズムを通して見えていました。それもここ数年のインバウンド景気以降はほとんどなくなったようです。

>レイン

家族とはなんぞや?という問いが新しくアップ・デートされつつある現在、読みようによってはリソースできるかもしれませんね。あるいはリソースした新しい家族形態を試してみてもよいかもと、今ふと思いました。

>合うメニュー

そうですね。三〇歳代前半は中華料理にこだわっていました。アルコール依存症で退院した後で、食材・調味料など一切合切見直してオール・ノン・アルコールで揃えるのがまず大変。でもちょうど有機農法・自然食ブームみたいな時期だったからか肝心の調味料をそこそこ揃えることができて助かりました。

紫蘇やミニトマトなんかは庭で育てて。カレーなら玉ねぎを四十分炒めるところから始めます。じっくり時間があるのでコクトー詩集とか読んで。そこへ前もって炒めておいたトマトを入れて。仕上げはヨーグルト。

そうそう。妻の仕事で必要になった料理チラシのキャッチ・コピーも作りました。もともと広告代理店に勤めていたので。だからマンションの近所のスーパーの入口には、季節ごと、和洋中と、食材を使い分けて作る料理のチラシが置いてありました。自分の考えたコピーなんですが他の系列のお店でずらっと並んでいるのを見ると誰かほかの人がやった仕事に見えて不思議な印象を受けました。

以上、実録!三題噺・「ノンアル・園芸・影武者」。

また見せてくださいね〜。ではでは。
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Unknown (kuro_mac)
2022-06-23 06:43:57
おはようございます。

村上開新堂は、おそらく、ネットで知ったのだと思います。
いただきもので、教えてもらった可能性も無きにしもあらずですが、この三題噺のおかげで、検索能力だけは高まりました。

大阪もほとんど知りませんが、京都はもっと知りません。そうか、梶井基次郎って京大だったよな、と思い出しているレベルで。読んだのは中学生ごろで、当時は気づきませんでしたが、たしかにあの丸善の雰囲気、東京でもなく、大阪でもなく、京都ですよね。ちなみに、れんちゃんの両親は、靱公園の梶井基次郎文学碑の近くで再会しています。

祇園も、四半世紀前に、今は大学教授の当時の仕事仲間に連れられたスナックで飲んで、正体不明になって、それっきりです。京大の人でしたが、一見でふらりと入るという雰囲気ではありませんでした。闇が深かったのを覚えています。

キャッチコピーのお仕事、ご活躍なによりです。

スーパーの料理チラシはときどき持ち帰ります。ひなまつり特集号を持ち帰り、れんちゃんと「何が食べたい?」と相談しているエントリも、このブログのどこかにあります。

それではまたどうぞよろしくお願いします。
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