上村松園展で観た「花がたみ」(1915年)は予想以上の素晴らしさだった。
描かれているのは、世阿弥原作の謡曲「花形見」(花筺)に登場する照日の上。紅葉が舞い散る中、武烈天皇崩御により都に上ることになった男大迹王子(おおどのみこ・後の武烈天皇)との別れに錯乱して舞い狂う姿だという。
片手に持つのは、王子が贈った花筺(花籠)。足元に落ちた、折れた扇。そこには別れの文にあった歌が記されている . . . 本文を読む
会社で資源ゴミ分別ロゴ数種作成。デザイナー君に頼もうとラフを作っているうちに、楽しくなってきて30分で完成してしまった。ほめて、ほめて! いや、ネットで元絵のEPSデータを手に入れて、文字を打ち変え、配色を変えただけだけどね。わからないからいいのだ。
地球温暖化のせいで、ややこしいことである。環境マネジメントシステムさまには「おまえの頭を冷やせ」といいたい。でもCSRというの? あぅあぅ。
何 . . . 本文を読む
上村松園展が京都に来る。
今から楽しみ。
京都市立美術館の「京都日本画の誕生-巨匠たちの挑戦-」とハシゴしよう。
日経夕刊で「珠玉の一点」と題して、松園展の作品を紹介しているけれど、木曜の「花がたみ」(1915年)、「おお!」とうなった。
作家の篠田節子は、こう文章を寄せている。
「面妖な絵だ。朧長けた女性の口元に浮かぶゆがみが、様式過された狂の表現を越えて、不気味な衝撃を与える。し . . . 本文を読む
岡本太郎さんの作品を媒体に使用させていただく。事務的な内容ながら、お願いのお手紙を書いた。5年前までなら、宛先は岡本敏子さんだったことに気付く。
一度お会いしてみたかった一人だ。『恋愛芸術家』は素晴らしい恋愛論であり、芸術論だった。「わたくしは……と思うの」という言い方がすごくかっこいいのだ。
岡本太郎の有能な秘書にして愛人、そして共同制作者。瀬戸内寂聴さんのエッセイで、マネジメントやス . . . 本文を読む
『とめはねっ!』は、いま新刊を最も楽しみにしている作品のひとつだ。この作者は、『帯をギュッとね』も好きだった。三浦ちゃんが最高だ。もちろん結希ちゃんもかわいい。
今連載中らしい「かな編」は、単行本が出るのがすごく楽しみだ。漫画の制作現場もデジタル化したおかげで、一つの作品が出来上がっていくまでのメイキングも見られるようになったのがいいと思う。作品を募集したり、読者参加型のところもね。
豊 . . . 本文を読む
『反骨の画家 河鍋暁斎』狩野博幸/河鍋楠美(新潮社 とんぼの本)
とんぼの本には、時々ものすごいヒット作がある(これはあくまでも個人の感想です……テレビのCM風。べんりなことばだなあ)。しかしこれはぜひ持っていたい一冊。せめて町の図書館に入れさせよう。
表紙にも使われている、《化け猫》(1870年以前)が素晴らしすぎる。突然出現した巨大ネコに、驚いて腰を抜かす男ふたり。宮沢賢治の『注文の . . . 本文を読む
前回から日が空いてしまったけれど、ジュリー・マネの日記抜粋版の続き。
『印象派の人びと ジュリー・マネの日記』(中央公論社)は現在品切のままで、Amazonのマーケットプレイスでは18,593円なんて高値がついている(定価は4800円)。古書店を丹念に探せば、もっと手頃な値段で入手できるとしても、やはりもったいない。本書は、19世紀末のパリの印象派周辺の芸術家たちの肉声を伝える貴重な記録であ . . . 本文を読む
○エドワールおじさんのことで大議論!
エドワールおじさんのことで、ルノワールさんと、うるさくて感じの悪いエラールとかいう絵描きとのあいだで議論があった。このひとが言うにはマネの絵にはいいところがないという。それに対してルノワールさんは、「だったら、あなたがマネを好きじゃないということだ。先生として尊敬していれば、なにからなにまでよく見えてくるものさ」と反論した。エラールはずっとドローネーのことを . . . 本文を読む
○お嬢さまの大冒険
1895年の夏、傷心のジュリーは従姉妹たちと、ヴァカンスをルノワール家とともにブルターニュで過ごした。
しかしこの列車の旅は、お嬢さまがたには悪夢(!)のようだったらしい。
[ジュリー、ジャニー、ポールの3人は]朝、ディナールを発つ。シャトーランでルノワールさんと待ち合わせしている。まずディナンで、ついでランバルで乗りかえる。サン・ブリユーで昼食。わたしたちはここで降り . . . 本文を読む
《白鳥と少女》ベルト・モリゾ (幼年期のジュリーをモデルに描いたもの)
わたしが日記をかかなかったあいだに、ママンは重い病気にかかってしまった。お医者さんが言うには肺鬱血とのこと。1日2回往診してもらっている。経過はまあまあで昨日よりは良いと言ってくださる。ママンはとても衰弱していて、ほとんどしゃべることもできないし、摂るのはミルクをほんの少々。(中略)
わたしのまわりにはママンをたいせつ . . . 本文を読む