みちくさをしながら

いろいろあって、生活を見直している日々。

世界はあなたの指につながっている『ブラッド・ダイヤモンド』

2007-05-14 00:46:56 | 本・映画など
封切りしてから既に日が経っていますが、先週、『ブラッド・ダイヤモンド』(公式サイト)を見てきました。
坊ちゃん顔のトビー・マグワイアより、ワイルドになったというディカプリオの方に興味がわいたというのもありますが。

それはさておき、見て損はなかったです。
内容は、1999年のアフリカ、内戦状態のシエラレオネを舞台に『紛争ダイヤモンド』の問題を取り上げています。
『紛争ダイヤモンド』とは、近年のアフリカでの紛争において違法取引によって軍事勢力の資金源となっているダイヤのことです。また、ダイヤは武器購入の資金源となっているだけでなく、採鉱や貿易を巡る利権そのものが紛争の原因となっています(映画でもほのめかされていました)。

このように重いメッセージ性を含みながらも冒険アクションとして、充分に見応えがある作品になっていました。
ディカプリオが演じるダイヤの密輸人を完全な悪役にしなかったのは、娯楽を重視するハリウッドらしい甘さともいえますが、娯楽性が高いことはこの作品にとってむしろプラスなのだと思います。
なぜなら、メッセージを伝えたい層は「婚約指輪に給料3ヶ月分のダイヤが欲しい」という普通のアメリカ人(および先進諸国の人々)なのですから。
世界に目を向けるには、普段から問題意識を持っていないとなかなか難しいですからね。
問題意識を持っていなかった人々にも、アフリカの紛争について考えさせるいい作品だと思います。

紛争ダイヤモンドについては2003年にキンバリープロセス認証制度という、ダイヤモンドの国際認証制度ができまして、紛争に関わりのない原石ダイヤモンドに証明書を発行することになりました。ただ、まだ制度に脆弱性があるようで紛争ダイヤモンドの混入を防ぎきれない部分があるようです。(アムネスティの紛争ダイヤモンド・アクションより)

なお、この映画ではバカでかいピンクダイヤモンドが主役なので、庶民には関係のない話のように思うかもしれません。
しかし、現在も内戦状態にあるコンゴ民主共和国は、ダイヤ以外にも金や銅、コバルト、タンタルなど希少金属の宝庫であり、これらが内戦の長期化を招いているとの指摘があります。
特にタンタル(Ta)はノートパソコンや携帯電話などの超小型コンデンサーに欠かせない素材であり、まさしく私たちの生活に直結した問題となっています。

私たちの身の回りの品が、どのような産地で生産され、そこで人々はどのような生活をしているのか、私たちは全く知らなくても別に困ることはありません。
しかし、グローバル化は、望むと望まざるとに関わらず私たちの生活を世界に結びつけました。
私たちの指先が、知らないうちにアフリカの紛争や貧困に加担している可能性もあるのです。
まずは「知ること」が大切なのです


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