KU Outdoor Life

アウトドアおやじの日常冒険生活

冬の南ア・三度目の鋸岳縦走

2018年01月07日 | アルパイン(積雪期)
日程:2018年1月6日(土)~7日(日)一泊二日
同行:ヒロイさん(我が社の山岳部)
 
 2018年最初の山は南アルプス鋸岳。今回は我が社の山岳部のステップアップ山行を企画する。
 冬の鋸岳は、自分は2009年1月にjuqcho氏と縦走、2013年2月には単独で鋸~甲斐駒を登っていて、今回が三回目。(その他、夏にもう一回)
 一泊二日の体力系バリエーションとして、そこそこ手応え感じてもらえるはず。

一日目 天候:
行程:戸台川駐車場11:00-角兵衛沢出合13:00-左岸大岩基部(テン場)15:00
 
 当初のメンバーは自分を入れて三人。
 それぞれ横浜と小田急線の相模大野でピックアップし、圏央道、中央道を繋いで登山口の戸台へ。
 年始めの三連休だが、正月休みが明けたばかりのせいか、思いのほか高速は空いており快適。
 渋滞無しで現地へ着くが、戸台川の河原の駐車場へ着いてビックリ。物凄い車の数だ。
 仙丈や甲斐駒、あるいはアイスに行く人もいるだろうが、この分では鋸岳も混んでいるのでは?その前に今日のテン場は確保できるのかと若干不安になる。
 
 河原には最近取締りが厳しくなった長野県警が常駐。H部長に登山届を出してもらい、出発する。
 雪はかなり少なく、前衛の山は黒々としている。でも冷え込みは厳しいようで、周辺の小滝はしっかり凍っている。
 雪もまばらな河原の道を右岸から左岸へと移り約二時間歩き、鋸岳へのアプローチとなる角兵衛沢出合に到着。

 

 

 だが、ここで予期せぬアクシデント。
 小さな流れを飛び石伝いに渡るところでH部長がバランスを崩し転倒。軽く突き指をしたようだが、その前にふくらはぎの調子がおかしいらしい。
 出合の所で協議するが、本人がまさかのリタイア宣言をし、結局残り二人で続行となる。

 若干分担が重くなったザックを背負い、樹林帯から歩きにくいゴーロの道をフウフウ言いながら左岸の大岩に着。
 前回、前々回とも冬の鋸は人気で、この自然の岩小屋のテン場も着いた時には満員御礼だったが、今回はなぜか先客無し。
 河原の駐車場にはあんなに車がいっぱいだったのに。
 これまでもヒロイさんと行くとなぜか激混みのはずの岩場がガラ空きだったことがあるが、今回も彼女の妖力?のせいか。
 下の方は雪が少なく水が作れるか心配だったが、ここまで来ればまぁ何とか雪はある。
 H部長が託してくれたギョーザの具を肉団子にした野菜入り「〇ちゃん正麺」は、絶品!
 その夜の大岩下のテン場は風も無く快適だった。

二日目 天候:
行程:起床4:30-出発6:30-角兵衛のコル8:40-鋸岳第一高点9:15-鹿窓10:20-第三高点10:35-大ギャップ11:30-第二高点12:45-中ノ川乗越13:30-熊穴沢出合16:00-戸台川駐車場17:50

 夜半は放射冷却でもあったのか、かなり冷え込み、シュラフカバーの上には霜が落ちていたが、朝起きてみたらそれほど寒くない。
 風も無くスッキリと晴れ、絶好の日和だ。

 野菜春雨スープの朝食を摂り、テントを撤収。コルまでのキツい登りから二日目が始まった。
 雪があればガンガンとキックステップで高度を稼げるが、寡雪のため上部まで中途半端なゴーロで歩きにくい。

 
 
 コルに到着してひと休み。今回はステップアップ研修なので、極力ヒロイさんにルーファイ含めてリードしてもらう。
 ひと登りで、まずは鋸岳最高峰の第一高点へ。
 絶好の展望台で、甲斐駒、北岳、仙丈、そして中ア、北ア、八ヶ岳のパノラマが快晴の空の下、広がる。
 進路を見ると、第三高点の辺りに三人パーティーの姿が見えた。今日の鋸岳は彼らと我々の二組だけのようだ。

 

 
 
 第一高点から少し下って雪稜を行く。
 雪は少ないが、ここはいつも通りしっかり左側に雪庇ができている。寄り過ぎないようにして通過。
 
 その先で10mの懸垂下降。 
 そして次の登り返しがちょっと始末が悪い所。鎖が垂れているが、岩がエグれていて登りにくい。
 雪が豊富ならピッケルとアイゼンでサクサク登っていけるが、今回のように雪が少ないと鎖があってもイヤらしい。
 ヒロイさん、ちょいと苦戦するも何とか突破。自分も後に続いてここをクリア。
 さらに細いリッジ、急な雪の斜面をトラバース気味にクライムダウンと、この辺りが鋸岳縦走の核心。パーティーやコンディションによっては、ロープやお助け紐を出す所だ。

 

 
 
 登り返した所が鹿窓。
 冬は潜らずにそのまま左のリッジ通しに進み、第三高点着。今越えてきた背後の第一高点がダイナミックである。
 (鋸岳は端から順番に第一、第二、第三高点ではなく高さの順になっており、手前から第一、第三、第二高点となる。)

 

 

 その後が二回目の懸垂下降。
 前回、前々回は雪の状態が良かったので、段差を右方向にトラバースしていって懸垂ポイントに至ったが、今回はコンディションが不安定でかなり上から懸垂とする。
 結果、ピッチの区切りが50mロープの折り返しだと中途半端になり、都合4回も短い懸垂を強いられ、かなり山梨県側のギャップに降り立った。
 懸垂支点はそれぞれしっかりスリングが残されていたので、これはこれで間違いではないのだろう。

 

 大ギャップの最高点まで登り返し、南側の長野県側へボロボロのルンゼを慎重に下っていく。
 だいぶ下ったところから岩と雪の斜面を登り返し、リッジ伝いに登って最後の第二高点に着。
 けっして長い距離ではないが、それなりに時間と慎重さを要するこのコースをヒロイさん、よく頑張った!

 

 あとは正面やや左寄りの雪のルンゼを下って中ノ川乗越へ。
 成人の日の三連休だが、最終日の明日の天気が下り坂で、我々の計画もここまでに縮小。
 念のため周辺のトレースを確認すると先行の三人組も甲斐駒までは向かわず、この熊穴沢を下ったようだ。
 
 ここからは爪が減るのがもったいないので、アイゼンを脱ぐ。
 熊穴沢は、上部は不安定な浮石のガレで疲れた身体にはなかなかシンドイ。しかし下部はうまい具合に雪が繋がっていた。
 この下りだけでたっぷり三時間かかりヘトヘトだが、それでも明るい時間に河原まで下れたので良かった。暗くなってしまうとここは木に結ばれた赤テープ頼りなので、途中で幕営なんてこともあり得る。

 
 
 さすがに最後の河原歩きは宵闇に掴まり、ヘッデン下山となってしまったが、とりあえず無事で何より。
 我が社の山岳部にしては、プチ・ハードな内容にしてしまったが、ヒロイさんお疲れさまでした。

 


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