「だからこそ自分にフェアでなければならない」 小林 紀晴・著 ☆★
サブ・タイトルがプロ登山家・竹内洋岳のルール。日本人で(今のところ)唯一の八千m14座完登の竹内さんを取材したもの。
書き手がクライマーを書いたものとしては、「初代・竹内洋岳に聞く」(塩野米松・著)や山野井泰史氏を描いた「ソロ」(丸山直樹・著)などがあるが、それにしてもこの本は面白くなかった。
せっかく同行取材しても「こんなことを聞こうと思ったが、やめた。」という部分がけっこう多くて何とも中途半端なのだ。
どうせ人のことを書くなら、もっとツッコめよ!とツッコミを入れたくなった。(まぁ図書館で借りて読んだヤツだからいいけどね。)
「四国八十八ヶ所感情巡礼」 車谷長吉・著 ☆☆☆
車谷さんの本はこれまで読んだことはなかったが、以前新聞の特集で各界の著名人が好きな作家ベスト10の中にことごとく名を挙げていたので気になっていた。
この本は小説ではなく四国八十八か所をお遍路で回った紀行文だが、なんとなく文壇の山下清といった独特の風情がある。
山下清ならおにぎりだが(?)、この人の場合は「うんこ」で、ほとんど2ページに一回は野グソをしたという話ばかり。
脅迫神経症からの薬の副作用とのことだが、東大出の奥様が佇んでいるすぐ横で野グソしている姿はなかなかシュールである。
徳島はゴミが多くて世界遺産になれないとか、バスや車で楽してお遍路している人は極楽へ行けないなどと述べているが、では遍路のいたる所で野グソはいいのかとなるとちょっとビミョーに感じた。
「ショージ君の青春記」 東海林さだお・著 ☆☆☆★
私が生まれた頃に大学生だったショージ君だが、ここに描かれた時代に違和感は無い。物価の違いこそあれ、その本質はほとんど同じなので驚いた。
ちょっと妄想過剰気味?のショージ君だが、自分も含めてフツーの学生生活を送ってきた者なら共感するところも多く何とも笑える。