KU Outdoor Life

アウトドアおやじの日常冒険生活

高度順化@富士山 2016年#2

2016年07月03日 | その他の山登り

日程:201673日(日) 前日発日帰り
天候:のち暴風のち
行程:富士宮口五合目335-九合目530630-九合五勺-富士宮口頂上730820-七合目(怪我人搬送)六合目-宝永山1250-富士山五合目1350 単独

 この夏のプチ遠征に向けた富士山トレ二回目。
 前回は二週間前に須走口から登ったが、その後また左膝の調子が少しだけ悪くなる。
 歩行困難まではいかないが、ちょっとした動作の合間にピリッとした痛みが走り、思わず昨年来のあのイヤな記憶が蘇る。
 出発まで20日を切り、もう腹を括るしかないのだが・・・。

 土曜は現地の天気がイマイチ読めないので見送り。夕方から車で富士宮口の五合目へ上がり、車中泊とする。
 富士山の山開きは山梨県側の吉田口が7月1日、静岡県側の須走、御殿場、富士宮口は来週の7月10日から。
 つまり来週からはマイカー規制が始まり五合目までシャトル・バス代のほか、入山料(環境保全金)まで余計にかかってしまう。
 山小屋はまだほとんどが閉まっているが、安く登るには最後のチャンスなので、この週末の登山者はけっこう多い。

 午前3時頃に起き出し、サンドイッチを食べてから出発。
 夜半は風が強く、寝ている間も時折、車がユサユサ揺られるほどだったが、今はそうでもなく、気温もそれほど低くない。
 事前には頂上でテント泊も考えたが、昨夜の風ではやめておいて正解だった。
 ケータイでFacebookを見たら同じ職場の山岳部の女性が昨日、富士宮口からコソ練で登っていたようで、頂上までジャスト3時間の彼女のタイムを切ることを今日の目標とする。

   

  二週間前は軽登山靴だったが、今回はラクしてトレランシューズ。本当はトレーニングなら敢えて重登山靴にするべきだが、まぁいいでしょう。
 しかし靴を代えただけでも足取りはまったく違う。特に早く登ろうと思わなくても、本日は足が軽い!
 このところ三浦雄一郎氏を真似て、毎朝ではないが13kgほどのザックを背負って坂の多い近所の公園を散歩している。また一昨日のミウラBCでの低酸素トレも効いているのかもしれない。
 だが、ここで調子に乗るとまた膝を痛めてしまうので、若干抑え気味に行く。

 辺りは次第に明るくなってくるが、上空に浮かぶ巨大クラゲのような笠雲がちょっと不気味だ。
 明らかに荒天の兆しだが、今のところ天気は落ち着いている。嵐の前の静けさか? 

  

 順調なペースで息切れもなく七合目を通過。
 途中、トレランのニイちゃんと、「ホッホッホッ」と軽快に上がっていくスーパー爺さん(たぶん名のある実力者)には抜かれたが、後は順調に先行者を抜いて行く。
 しかし、この辺りから少しずつ風が強まり、八合目から上で本格的に厳しくなってくる。
 冬富士の突風とは少し違い一定した西風だが、耐風姿勢をとる回数が増え、ペースはガクンと落ちる。
 八合目から上は完全に暴風圏に入ったようで、視界も悪い。

 登山道に設置されている手摺のロープなども頼って、ほうほうの体で九合目着。ここの小屋陰で一時間ほど待機。
 これほどの風だと今日はもうやめて降りようかと思ったが、驚いたことにそれでも一人二人と後からしぶとく登ってくる。
 遠く離れた他県からやっとの思いで来た登山者も多いので、そう簡単に諦めるわけにもいかないのだろう。
 そんな人ばかりだからこちらもついつい下山する気持ちを堪えてしまった。

 風の合間を縫ってさらに匍匐前進のように登り続ける。
 九合五勺の九十九折りの一か所が特に風がひどく、ここで再び高さ50cmほどの岩に身を伏せて30分ほど避難。
 周りの小石がバチバチと風に飛ばされるほどになってきて、恐怖と後悔を感じる。
 それでもまだ登山者が視界の悪い暴風の中をジリジリと登ってきて、「みんな、根性座ってるなぁ。」とヘンに感心してしまう。

 風は休みなく西側から吹きつけているが、一瞬の隙をついて歩を進め、何とか富士宮口頂上に到着。
 既に何組かの登山者が山小屋の陰に退避中。
 ここから剣ケ峰方面へはさらにグレードアップした暴風がもろに吹き下ろしていてまともに進むことができない。

  

 数人の登山者たちとしばらく小屋の陰で待つが、天気はすぐに好転しそうもない。
 立ち止まっていると急激に身体が冷えてくる。ほとんどタッチ&ゴーで降りていく人もいて、自分も今日はこれ以上粘っても無駄だなと思い、本日は剣ケ峰を諦め下山開始。
 下りも風で倒されないよう、手摺のロープなど使えるもの存分に頼って慎重に下りていく 。

 高度を下げるにつれ、少しずつ暴風圏から逃れることができ、ホッと一息。
 しかし振り返ると、やはり頂上付近は厚い雲に覆われ、強い風が吹き荒れているのがわかる。

 七合目を通過しようしたところ、ふと見ると同じ職場の山岳部の坂本リーダーとバッタリ。向こうはいつもの山岳部とは別のグループで来ているようだ。
 「何してんの?」と尋ねると、どうやら下山中に怪我人と出会い、これから搬送するらしい。
 県警レスキューと携帯で連絡を取ったが、到着までに時間がかかるので何とか少しでも自力下山してほしいとのこと。

 坂本リーダーは使命感が強いからこういうのは黙って見過ごせないだろうなぁ。
 人数もいるみたいだし、お任せかなと思ったら、案の定、自分も手伝う流れに。
 
 怪我人はどうやら左足を骨折か脱臼している様子。
 肩を貸して片足付いて降りてもらうしかないかと思ったら、どうやらオンブで下ろすらしい。
 体重を聞いたら80kg超!マジか!大学山岳部の頃でもせいぜいキスリングで60kgぐらいだったぞ!

  

 結局、坂本リーダーが一番手でおぶり、そろりそろりと下山開始。以降、距離を短く刻んで交替しながら下る。
 自分は膝が悪いので大きな段差の無いなるべく平坦な部分で請け負ったが、怪我人にセットしたハーネスを両脇から二人が持ち上げてサポートしてくれたので、思ったほどの負荷ではなかった。
 怪我人も痛がるので小休止を頻繁に取りながらゆっくりと下り、ようやく六合目着。ここで下から上がってきた県警救助隊に怪我人を引き継いで御役御免となる。
 坂本リーダーはじめ、通りすがりの手伝ってくれた別パーティーの皆さん、お疲れさまでした!

 漫画だとここで怪我人に対して「また山においでよ。」などと爽やかな笑顔で言うのだろうが、敢えて言うなら「(もう少しカラダ作ってから)また山へおいでよ。」と言いたい。

 救助隊への引き継ぎは坂本パーティーに任せ、解放された私はまだ時間があるので一人、宝永山へ。
 こちら側から宝永山に登るのは初めてだったが、ちょっとしたトレッキングコースのようでなかなか新鮮だった。頂上まで行かなくても小さい子ども連れにはちょうどイイ。
 ただ、この日は宝永火口の稜線に出たとたん、またあの突風が吹き荒れ、上がってきた人はヒィヒィ言っていたが。

  

  

 とりあえず遠征前の富士山トレは今回で終了。下山後、膝がちょっと不安だったが、特に痛みは無く何とかなりそう。
 高所トレというよりは耐風及び救助訓練となってしまったが、良いトレーニングになった。



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