今日は晴天

白いかわいい花が
ベランダでままごとしている

今日は晴天

何も無かったプランターに
命が宿ってから

ベランダを見るのが楽しくなった

お昼にするから
上がっておいで

思わず口にするような
日曜日の正午過ぎ

今日は晴天

いろんな花を見つけに行こう

雪うさぎ

めったに雪が積もらない
海風の吹く町に
珍しく雪が積もった

あれはもう何年前のことだろう

病気で寝込んだ姉の枕元に
雪うさぎを作って置いた

赤い木の実を二つ
椿の葉っぱを二つ

あれから何年経つだろう

今でも姉が話してくれる
嬉しそうに話してくれる

雪うさぎ
雪うさぎ

いつまでも溶けない雪うさぎ

愛されて

いつの頃も愛されて
生きてきた

太陽の下でのんびり生きてきた

いつの頃も不器用に
生きてきた

風の冷たい空き地で生きてきた

誰かに触れられると

傷つけて
傷ついて

体中から刺が出ていた

ある日目が覚めると

愛されて
愛されて

赤い花が咲いていた

私のカメラ

フィルム式の私のカメラ
初めて買った私のカメラ

いろんな人に会った
いろんな所に行った

いつの間にか時代遅れになって
あなたを身につけることがなくなった

今度実家に返ったら
ファインダーをのぞいてみよう

いろんな笑顔を見せてくれた
いろんな景色を見せてくれた

若い日々を共に過ごした
私の大事なお友達

椿

枯れて茶色になった椿の花が
道端に落ちていた

あの椿は美しい


私はあなたに摘まれて
この家にやってきた

それなのに

あなたを癒すことなく
あなたをひどく傷つけた


鬼のような顔
あなたを責める言葉

そんな私を未だにあなたは飾っている
恥ずかしがらずに飾っている

そんな私は恥ずかしい

道行く人を和ませ
落ちて
枯れていく

あの椿は美しい
わたしはとっても恥ずかしい