2008 日本クーラカンリ登山隊

10月1日に起きた雪崩により、今回の登山計画は中止しております。

9月24日の記録 投稿者:加藤慶信

2008-10-31 15:45:18 | インポート
9月24日の記録 投稿者:加藤慶信
9月24日の記録 投稿者:加藤慶信
2008/09/24

ABC建設



タシデレ! いつもたくさんの心暖まるメッセージを遠い日本から送って頂きありが とうございます!

私たちは本日無事ABC(アドバンスベースキャンプ)を約5300m地点に建設しま した。 ここを拠点にして、これから本格的な登山活動が始まります。 ついに目指す クーラカンリの麓に辿り着きました。ここに来るまでにすでに多くの困難がありまし たが、数え切れない程の多くの方々の御協力、ご支援があってこその今日のABC建設 だと思っています。 自分の恵まれた境遇を思う時、これから山の中で過ごす数十日 を日々懸命に重ねていかなければならないと強く感じています。

僕は昨日有村隊員と先行してABCに入りましたが、今朝目覚めると眼前にクーラカン リがこの高燥のチベットに屹然とした姿で立ちはだかっていました。一年前クーラカ ンリを目標として決めて以来、寝ても覚めてもこの山の事が自分の心を占拠し、想い 焦がれてきただけに、恋する人にやっと出会えた感じです。 この山を登る為に、縦 走する為に、生きて還る為に何度も何度も頭の中で想像して、シュミレーションを繰 り返してきた。山はその荘厳さ故に、美しさ故に厳しい残酷な側面を併せ持っている。 いまこの夜空を彩る無数の星々と同じ程の危険を孕んでいる。これをどう回避してそ の山に登るのか。雪崩を、クレバスを、落石をどう避けるのか。高山病で動けなくなっ たらどうするのか、7000mを超える壮大な頂上稜線で悪天につかまったらどうす るのか。いくら考えても答えの出るものではないが、それでもひたすら考え抜く事が 山に向かう為の準備の精髄と言ってもいい。「事故を起こしては絶対にならない」こ れが大前提としての出発点でなければ、山に登るべきではないだろう。物事に、この 世の中に「絶対」というものはあり得ない。それでも僕たちは「絶対」を心に誓い 「覚悟」をしなければならない。「死んでもいい覚悟」ではなく「何があっても生き 抜く覚悟」を。 リスクについて考えるのと同じように無事登頂に成功し、下山した 時の喜びがもたらす幸福感、充足感についても何度夢想してきたことだろう。日々の 時間を埋め尽くすほどの想像が、この一年の生活を支えてきた。 そして今僕たちは 現実にその山の前に立っている。想像、空想、夢想ではやはりそれなりの喜びしか得 られない。生きている僕たちは、この厳しい現実世界の中で膨らませてきたその夢を 具現化することで初めて本当の幸福感が得られるはずだ。その為に自分の全てを出し 切り新しい世界を切り開きたい。この素晴らしい仲間達と共に。

有村隊員が中国語を話し、高橋隊長がザーリ村の村民とチベット語で巧みにコミニケー ションをしている姿を目の当たりにし、自分も語学を勉強しなければと思った加藤よ り

PS プロ野球がどうなっているのか気になって夜も眠れません。

写真はBCの風景とBCからみたクーラカンリ主峰です。


9月23日の記録 投稿者:高橋和弘

2008-10-30 21:40:33 | インポート
9月23日の記録 投稿者:高橋和弘
9月23日の記録 投稿者:高橋和弘
2008/09/23

ザリ村の先生たち




タシデレ! デボインベ?(お元気ですか?) 今日は高橋によるレポートです。

今日、加藤登攀隊長・有村2名が先発隊として5350mのBCに入りました。 先発隊を送 り出した後、本隊は明日のBC入りの準備をして、休養としました。

私はといえば、仕事柄この地での教育現場を見ておこうと、学校見学に行ってきまし た。 ちょうど全校集会だったようで、全生徒が校庭に出て体操中でした。 校庭には 中国国旗、体操の掛け声も中国語で、ここも政府の政策が及んでいることを再認識し ました。

多少の文房具を寄贈して、近くの茶店でくつろいでいると、さっきの学校の先生がやっ てきました。 昼休みのようで、流暢な英語で話しかけてきました。聞くと英語を担 当しているとか。どうりで! それにしても、こんなチベットの田舎でも英語教育が 行われていることにびっくりです。数年後には、チベット語、中国語、英語の三言語 を使いこなす村人が増えていることでしょう。

午後は、村の若者たちによるチベット語講座を開いてもらいました。 日本でも多少 チベット語を勉強してきましたが、方言などもあり、なかなか難しいですね。 でも、 チベット語を教えてもらい、彼らとの交流がぐんと深まりました。

写真は、今朝の出発準備、学校の先生たちと記念写真、それからチベット語を教えて くれたイケメン先生達と、の三枚です。 ザリ村チベット語の美人教師もいましたが、 ブログで公開すると後々波風が立ちそうなので・・・

明日はBC入り。いよいよ安らぎの世界から離れ、頂上に向けて集中していきます。

投稿日 2008/09/23 | リンク用URL | コメント (0)


9月22日の記録 投稿者:志賀尚子

2008-10-26 18:21:17 | インポート
9月22日の記録 投稿者:志賀尚子
9月22日の記録 投稿者:志賀尚子
2008/09/22

BCまで高所馴化に行ってきました



 医療隊員の志賀です。ブログでは、はじめまして。よろしくおねがいします。

   標高3650mのラサで4泊し、馴化ハイキングにも行ったため、標高4250mのここザー リ村でも今のところ全隊員、高度障害にわずらわされることもなく、体調良好です。 今日はザーリ村滞在3日目。荷物整理、荷揚げ用の馬の調達など雑用が一段落したの で、全員でベースキャンプの下見を兼ねて、高所馴化トレーニングに行ってきました。

 以前BCまで行った事があるという村人パサンさんに道案内をお願いして、午前8時 過ぎ曇天のやや薄暗い中を出発。緑の草が生える丘を越えて徐々に高度を上げていき ました。(パサンさんと隊員はすごいスピードで上っていくのですが、なにせ律速段 階のわたしがおりますので…) 途中、野ウサギ、オコジョ、鹿などの動物が現れて 目を楽しませてくれました。野ウサギは4000m超の高所だというのに猛スピードで駆 け抜けていきました。なんと強靭な心肺機能!うらやましい。

 標高約5100m地点にはカルカという家畜放牧用の石造りの小屋と石垣があり、晴天 ならここからクーラカンリが良く見えるところなのですが、本日は残念ながら雲がか かっており、見えませんでした。すぐ隣の鋭鋒カルジャンだけが姿を見せており、 「あれも難しそうだねぇ。どっから登る?」「もう少し雪がつけばルートつないでい けるんじゃないですか」などと、それなりに若手隊員同士盛り上がっているようでし た。

 そこからさらに一つ二つ石のゴロゴロした丘を越えていくと、氷河湖?池?が出現。 周りには平坦な土地も十分にあり、少々じめじめしているのを我慢すれば、なかなか 快適なBCが設営できるかも…という声もあったのですが、いかんせん、ここではC1ま でが遠くなりすぎてしまうので断念。そこからもう二段ほど上がったところ標 高5300m付近に予定通りBC設営することとなりました。

 本登山隊では5000m初体験、あるいは7000m初体験という隊員もいます。でも、本日 の行動を見る限り大丈夫そうかな…とちょっと安心しました。もちろんまだまだこれ からが本番ですが。  明日は先発隊(加藤登攀隊長、有村隊員)が馬15頭に半分 の隊荷を積んでBC入りする予定です。

投稿日 2008/09/22 | リンク用URL | コメント (2)


9月21日の記録 投稿者:中村進

2008-10-24 18:33:47 | インポート
9月21日の記録 投稿者:中村進
9月21日の記録 投稿者:中村進
2008/09/21

ラサからザーリ村へ 



9月20日、高橋隊長率いる登山隊、2台のランドクルーザーに分乗し、晴天のラサ を出発。4700mの峠、ガンパラまで完全舗装、1979年、がたがた道を古いバ スの後ろを押して上った峠は、中国各地からの観光客でごった返していました。観光 用のチベット犬も大忙し、写真1枚5元(約85円)、隊長と登攀隊長も地元民のビ ジネスにちょっと協力。眼下に望むヤムドクツォ(湖)はチベット三大聖湖のひとつ。 「天に天女がいれば、地上にはヤムドクツォがある」と、チベエトの民話で謡われる 美しい湖。午後3時半、5225mの峠、モンダ・ラに着く。めざすクーラカンリの 雄姿が眼前に迫る。あいにく頂上付近は雲に覆われていましたが、引き締まった眼差 しで見つめる隊員、特に高橋隊長と加藤登攀隊長は鋭いまなざしを放っていました。 午後4時半、海抜4250m、15軒ほどの小さなチベット族の村、ザーリの畔にBC を建設、いよいよ本格的な登山が始まります。村の畑にはチンコー(大麦)が実り、 これから収穫を迎えるようです。では、みなさまのお元気で。(ザーリむらにて中村 進)

写真はザーリ村の人々と収穫前の大麦です。

投稿日 2008/09/21 | リンク用URL | コメント (2)


9月20日の記録 投稿者:加藤慶信

2008-10-23 17:46:41 | インポート
9月20日の記録 投稿者:加藤慶信
9月20日の記録 投稿者:加藤慶信
9月20日の記録 投稿者:加藤慶信


2008/09/20

ザーリ村



タシデレ!

今日僕たちはラサ(3650m)を出発しました。荷物は大きなトラックで運び、人間はト ヨタランドクルーザーで移動します。 途中二つの聖なる湖を過ぎていきます。一つ はヤムドク・ツォ。もう一つはプマヨン・ツォです。この湖は標高5200mにあり、 宇宙の果ての海から飛んできたという伝説があり「空飛ぶトルコ石の湖」とも呼ばれ ています。 どちらもとてつもなく大きく、本当に美しい湖です。僕は身を清める為 に、髪のない頭をその聖なる水で洗わせて頂きました。気持ちよかったです。これで 毛根が復活すれば最高なんですが・・・ プマヨン・ツォでは9年前、釣り名人の先 輩が未知の魚を釣ろうと挑みましたが、その時は残念ながら釣る事ができませんでし た。その後東海大学の学術チームによってこの湖に魚が生息している事が確認されて います。 道中目指すクーラカンリが遠くに望め、武者震いを覚えました。チベット 高原に鎮座しているその神々しき峰に自分たちが触れる事ができる喜びをひしひしと 感じました。 ランクルで8時間ぶっ飛ばし、ザーリ村(4300m)というクーラ カンリの麓にある村に到着しました。ここからテント生活が始まります。僕らが荷物 を整理していると、一日の農作業を終えた村人達がどこからともなく集まって来て、 じろじろ僕たちを観察します。ここに外国人が来る事はめったにないので、夕食を食 べている時も動物園のおサルさん状態でした。

この村に高所順応も兼ねて2、3日滞在する予定です。

明日は中村進さんからレポートがあります。お楽しみに。

加藤

写真はプマヨン・ツォとザーリ村です。