とね日記

理数系ネタ、パソコン、フランス語の話が中心。
量子テレポーテーションや超弦理論の理解を目指して勉強を続けています!

映画『イントレランス(1916)』

2020年04月14日 12時45分08秒 | 映画


グリフィス 電磁気学」という教科書をアマゾンで検索していたときに見つけた映画だ。「イントレランス(不寛容)」という興味をひくDVDのジャケットが目にとまった。この映画の監督がD・W・グリフィスという名前だったから、たまたま検索にかかったわけである。

制作されたのは1916年。アインシュタインが「一般相対性理論」を発表した年だ。また、第一次世界大戦(1914-1918)のさなかでもある。このように古いサイレント映画の時代の作品に「不寛容」などという意味深なタイトルがついているのを見ると、観たいという気持ちがムクムクと湧いてくるのだ。

この時代の映画はすべて著作権が切れている。YouTubeで無料で公開されていることを知った。特にこの『イントレランス(1916)』はデジタル・リマスター化され、日本語字幕と音楽がつけられている。

D・W・グリフィスは「アメリカ映画の父」と呼ばれているそうだ。恥ずかしながらこの監督のことも、映画のことも僕はまったく知らなかった。あらすじ、映画の説明は、このページでお読みいただける。

イントレランス(20世紀・シネマ・パラダイス)
http://cinepara.iinaa.net/Intolerance.html

映画は現代編、ユダヤ編、中世編、バビロン編の4つに分かれ、それぞれの時代を交互に映しながら進行する。ユダヤ編はキリストの受難、中世編はサン・バルテルミの虐殺(1572年)、バビロン編は新バビロニア王国(現在のイラク)がアケメネス朝ペルシアのキュロス2世によって征服される紀元前539年あたりの様子が描かれる。

3時間近くもある長編映画で、とにかく驚かされた。特にバビロンの空中庭園を備えた巨大なセットと大量のエキストラ、そしてキュロス王が率いるペルシャ軍との戦争のシーンは圧巻である。映画の創成期に、このようにスケールが大きく、技術的にも優れた作品が制作されていたのだ。

記事トップの画像は、このページから拝借させていただいた。

True Fakes on Location
https://thebaffler.com/salvos/true-fakes-carson

以下、映画を代表するシーンである。

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D・W・グリフィス: ウィキペディアの記事
デヴィッド・ウォーク・グリフィス(David Wark Griffith、1875年1月22日 - 1948年7月23日)は、アメリカ合衆国の映画監督、俳優、脚本家、映画製作者。
映画文法の基礎を築いた人物であり、様々な映画技術(モンタージュ、カットバック、クローズアップなど)を確立して、映画を芸術的な域へと高めた。アメリカ初の長編映画『國民の創生』や『イントレランス』などの監督作品は彼の技術の集大成的な作品であり、現在でもアメリカ映画の名作として数えられる。また、女優のメアリー・ピックフォードリリアン・ギッシュなど数多くの映画人を輩出したことでも知られ、それらの功績から「映画の父」と呼ばれている。

イントレランス(1916)ウィキペディアの記事
1916年に公開されたアメリカ映画である。モノクロ・サイレント。監督・脚本はD・W・グリフィス、主演はリリアン・ギッシュ。
いつの時代にも存在する不寛容(イントレランス)を描き、人間の心の狭さを糾弾した。この物語では4つの不寛容のエピソードが挿入されている。その4つのエピソードは、現代の(製作当時の)アメリカを舞台に青年が無実の罪で死刑宣告を受ける「アメリカ篇」(『母と法律』のストーリーにあたる部分)、ファリサイ派の迫害によるキリストの受難を描く「ユダヤ篇」、異なる神の信仰を嫌うベル教神官の裏切りでペルシャに滅ぼされるバビロンを描く「バビロン篇」、フランスのユグノー迫害政策によるサン・バルテルミの虐殺を描く「フランス篇」で、この4つの物語を並列的に描くという斬新な手法を用いて描いた。
本作は巨大なセットを作り、大量のエキストラを動員させるなど、前作『國民の創生』よりも高額の38万5000ドルの製作費を投じ、文字通りの超大作となったものの、興行的に大惨敗した。しかし、4つの物語を並行して描くという構成や、クロスカッティング、大胆なクローズアップ、カットバック、超ロングショットの遠景、移動撮影などの画期的な撮影技術を駆使して映画独自の表現を行い、アメリカ映画史上の古典的名作として映画史に刻まれている。そんな本作は映画文法を作った作品として高い芸術的評価を受けているだけでなく、ソ連のモンタージュ理論を唱えた映画作家を始め、のちの映画界に多大な影響を与えた。


映画はここから無料で観れる。ぜひご覧いただきたい。

イントレランス(1916年)日本語字幕+タイトル付き(デジタル・リマスター版)



ブルーレイ、DVDをお求めの方は、こちらからどうぞ。

イントレランス D・W・グリフィス


D・W・グリフィスの作品: Amazonで検索

名女優のリリアン・ギッシュは、1993年に99歳で亡くなった。生前の映像は、この動画でご覧いただける。

Miss Lillian Gish Interview



その他の作品:

D・W・グリフィスの作品は、すべて無料でご覧いただける。以下、主な作品を制作年代別にYouTubeのリンクを貼っておいた。YouTubeでプレイリストを検索すると、これ以外にもたくさん制作されていることがわかる。太字にした2本は日本語の字幕がついている。(YouTubeのプレイリスト検索

・ドリーの冒険 The Adventures of Dollie(1908年): オリジナル版
・じゃじゃ馬馴らし The Taming of the Shrew(1908年): オリジナル版
・質屋の娘の恋 Romance of a Jewess(1908年): オリジナル版
・迷惑帽子 Those Awful Hats(1909年): オリジナル版
・カーテン・ポール The Curtain Pole(1909年): オリジナル版
・黄金のルイ The Golden Louis(1909年): オリジナル版
・淋しい別荘 The Lonely Villa(1909年): オリジナル版
・毒蛇の飼育 Nursing a Viper(1909年): オリジナル版
・封印された部屋 The Sarled Room(1909年): オリジナル版
・インディアンの考え The Red Man's View(1909年): オリジナル版
・小麦の買い占め A Corner in Wheat(1909年): オリジナル版
・罠にかかったサンタクロース A Trap for Santa Claus(1909年): オリジナル版
・不変の海 The Unchanging Sea(1910年): オリジナル版
・境界州にて In the Border States(1910年): オリジナル版
・高利貸し The Usurer(1910年): オリジナル版
・鎧戸の締まった家 The House with Closed Shutters(1910年): オリジナル版
・老人たちをどうすべきか What Shall We Do with Our Old?(1911年): オリジナル版
・女の叫び The Lonedale Operator(1911年): オリジナル版
・老男優 The Old Actor(1912年): オリジナル版
・見えざる敵 An Unseen Enemy(1912年): オリジナル版
・大虐殺 The Massacre(1912年): オリジナル版
・ピッグ横丁のならず者 The Musketeers of Pig Alley(1912年): オリジナル版
・ニューヨークの帽子 The New York Hat(1912年): オリジナル版
・強盗のジレンマ The Burglar's Dilemma(1912年): オリジナル版
・ベッスリアの女王 Judith of Bethulia(1913年): オリジナル版
・國民の創生 The Birth of a Nation(1915年): 日本語字幕あり デジタル・リマスター版 オリジナル版
・イントレランス Intolerance(1916年): 日本語字幕あり オリジナル版
・世界の心 Hearts of the World(1918年): オリジナル版
・散り行く花 Broken Blossoms(1919年): オリジナル版
・東への道 Way Down East(1920年): オリジナル版
・嵐の孤児 Orphans Of The Storm(1921年): オリジナル版 カラー化版
・恐怖の一夜 One Exciting Night(1922年): オリジナル版
・アメリカ America(1924年): オリジナル版
・素晴らしい哉人生 Isn't Life Wonderful(1924年): オリジナル版
・曲馬団のサリー Sally of the Sawdust(1925年): オリジナル版


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8 コメント

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Unknown (オライトイラオ)
2020-04-15 18:49:54
グリフィス電磁気学は知りませんでした。書評をみると名著のようですね。砂田氏の電磁気学なら持っています。

映画の「イントレランス」の方は観たことはないのですが、乳母車のシーンだけは時々紹介されてきたので、そこだけは知っていました。
赤ん坊を乗せた乳母車のシーンは、その後の80年代映画の「アンタッチャブル」にも現れますね。グリフィス監督へのオマージュと聞きます。では。
オライトイラオさんへ (とね)
2020-04-15 22:57:15
オライトイラオさんへ

はい、グリフィス電磁気学は名著だと思います。2冊目の刊行は昨年12月の予定だったのですが、だいぶ遅れています。

2019年9月より刊行予定『グリフィス 電磁気学Ⅰ・Ⅱ』
https://www.maruzen-publishing.co.jp/info/?action=detail&news_no=19567

英語版の電子書籍(Kindle版)を僕は買っておきました。

映画『イントレランス』は乳母車のシーンだけご覧になっていたのですね。
以下のブログ記事によるとアニメ版『キテレツ大百科』の56話に『イントレランス』を観て感動したキテレツ、コロ助、みよ子、ブタゴリラ、トンガリの5人が航時機に乗って『イントレランス』を撮影中のD・W・グリフィスに会いに行くエピソードがあるそうです。

映画 イントレランス
http://gamera32alone51mov18.blog.fc2.com/blog-entry-583.html
Unknown (桂蓮(Keiren))
2020-04-25 01:53:25
ひやー
ここにアップされている本、映画など全く知らなかったので、すごく学べました。

リンク先の映画は今夜夫と観る予定です。
(4月24日、現在12:52分)
夫の先祖はユダヤなので、恐らく観る視点が違うだろうからどう受け取ったか、後で報告に参りますね。
桂蓮さんへ (とね)
2020-04-25 17:33:38
桂蓮さんへ

そうですか。記事に書いてあるように、僕も今回知りました。

映画の技術が生まれたばかりの時代の作品です。何であれ「開拓する者」はすべてが新しく、自ら切り開いていかなければならないものですね。
細かいことを言って申し訳ありませんが。。。 (T_NAKA)
2020-05-06 06:06:54
「イントレランス」に乳母車のシーンというがあるんでしょうか?
繰り返し取り上げられる乳母車のシーンというのは「戦艦ポチョムキン」のオデッサの階段というやつではないかと。。
https://youtu.be/OtywkcrjWyk

アンタッチャブルの階段シーン
https://youtu.be/eRJ539f5Ugc
は「戦艦ポチョムキン」のパロディだと思ってました。

Re: 細かいことを言って申し訳ありませんが。。 (とね)
2020-05-06 11:26:21
T_NAKAさんへ

「乳母車」のシーンはありませんね。ブログ記事に掲載した画像の2つめ。小さなベッドの横に女の人が座っているシーンのことです。
コメントされた方が「乳母車」と表現していたので、うっかり僕もつられてしまいました。

「戦艦ポチョムキン」は見たことありませんが「アンタッチャブル」のほうは見たことがあります。
お詫びの件 (オライトイラオ)
2020-05-08 18:57:17
映画「戦艦ポチョムキン」のこと、ご指摘の通りです。 
「イントレランス」に関する誤情報をコメントしたことをお詫び致します。 

”乳母車”は全くの記憶違いで、おそらく虐殺シーンの部分をみて勘違いして覚えていたのかも知れません。しっかり確認すべきで、ブロガーさんにもご迷惑をおかけしました。 

いずれも記憶すべき名作です。誤った記憶のまま他所でも話していたかもしれませんので、ご指摘くださった方に感謝致します。  
(フェイク情報を流す意図はなかったことは、ご理解願います) 以上

Re: お詫びの件 (とね)
2020-05-09 00:48:50
オライトイラオさん

いえいえ、お気になさらずに!

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