「質量はどのように生まれるのか:橋本省二」(Kindle版)
内容
素粒子の質量を作りだすといわれるヒッグス粒子。それが見つかれば、物質の質量の2パーセントは理解される。では残り98パーセントはどこからくるのか?そもそもヒッグス粒子とは何なのか?その鍵は真空にある。素粒子物理最大の謎に迫る。
2010年4月刊行、304ページ
著者について
橋本省二
1968年生まれ。1994年、広島大学大学院理学研究科博士課程修了。理学博士。1995年、高エネルギー物理学研究所(現・高エネルギー加速器研究機構)・データ処理センター助手。2002年から、高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所および総合研究大学院大学・高エネルギー加速器科学研究科准教授。
引き続き今回もブルーバックス本を紹介。重力についての本の次は、重力を引き起こす原因とされている「質量」をテーマにした本を選んだ。
LHCでヒッグス粒子検出のために行われているアトラス実験とCMS実験の途中経過の発表があったのが昨年の12月13日のことで記憶に新しい。ヒッグス粒子が見つかれば「ヒッグス機構」というからくりで質量の起源が検証されるからだ。----と新聞やテレビのニュースでは報道された。当時は「神の粒子が発見された」とか「99.98%の確率で見つけた」のように加熱報道されたものだが、実際のところは「根源の謎解明に少し近づいた」というのが判断として妥当と言える。
ヒッグス粒子 根源の謎解明に少し近づいた(12月15日付・読売社説)
http://shasetsu.ps.land.to/index.cgi/event/914/
しかし、新聞記事を読んでもどうしてヒッグス粒子と質量が関係してくるのかさっぱりわからない。限られた紙面で説明するのが無理というより、おそらく記事を書いた本人も理解していないのだと思えるのだ。
本書はそのような「質量発生のメカニズム」を素人でも理解できるようにという目標で、素粒子論の若手研究者が挑戦した意欲作である。
本書によればヒッグス粒子で説明がつくのは質量の2パーセントに過ぎない。残りの98パーセントは2008年にノーベル物理学賞を受賞された南部陽一郎先生の「自発的対称性の破れ」をベースにしたメカニズムによるのだという。本書は2010年に出版されたので、2008年秋、南部先生、小林・益川先生の受賞に日本中が沸き立ったときのことや諸先生方の理論についても触れられている。
-------------------------------
2012年2月3日に追記:
読者の方からコメントいただきました。上記の説明中、質量の「残り98パーセント」の部分のメカニズムはカイラル対称性の破れによるものだということです。次のページでわかりやすい説明が読めます。
量子色力学における自発的対称性の破れを厳密に実証(KEKプレスリリース)
https://www2.kek.jp/ja/news/press/2007/supercomputer2.html
-------------------------------
質量のからくりの本質的な部分は素粒子論である。しかしそれを理解するためにはそれ以前に解明された古典力学、電磁気学、相対性理論、量子力学、相対論的量子力学なども理解しておかなければならない。豊富な「たとえ話」を盛り込みながら、本書ではほとんど数式なしでこれらの基礎知識を積み上げながら読めるように工夫されている。
それは単なる理論の積み上げではなく、それぞれの理論を矛盾なく結びつけることで、さらに奥の深い真実へと私たちを導いてくれる。たとえば特殊相対性理論と量子力学を両立させることによって素粒子のスピンが導かれ、さらにそこから粒子と反粒子が予想されてくる。そしてそれらが生成、消滅するダイナミックな「真空」の姿がもたらされるのだ。また素粒子物理学の中で不確定性原理や粒子の波動性など量子力学の諸原理をどのように取り扱うかという点についても初学者にとってはきっとためになることだろう。
量子力学や相対論的量子力学までは専門書で学んできた僕にとっても、素粒子論、特にクォークの理論である「量子色力学(QCD)」に至っては素人同然だ。本書で手短かにかつ比較的詳しくQCDについて知ることができたのはよかったと思う。また「究極の物理シミュレーション」という記事で紹介したのだが、クォークの量子色力学の理論の計算機シミュレーションによって中間子論の検証を行なったときのことも詳しく解説されている。
結局、本書でヒッグス粒子やヒッグス機構についてよく理解るようになるのか?と問われれば、若干否定的にならざるを得ない。「だいたいこのような感じなのだな。」というレベルで理解できたのにとどまった。おそらくそれは著者の力量不足というより、このメカニズム自体がもともと複雑過ぎるのか、難解な数式無しには説明できないのかどちらかなのだろう。次のような資料を見て後からそう思えたのだ。
ヒッグス機構とヒッグス粒子 - 名古屋大学 素粒子宇宙起源研究機構(KMI)
http://www.kmi.nagoya-u.ac.jp/jpn/events/Kurachi_Higgs.pdf
ヒッグス機構(PDF文書)
http://osksn2.hep.sci.osaka-u.ac.jp/~naga/kogi/handai-honor07/10-vac-mass.pdf
一般読者を対象にしたブルーバックス本にもかかわらず、本書はなかなか読み応えがある。今年の末までにはおそらくLHCからヒッグス粒子についての2回目の報告会があるだろうから、そのときまでには読んでおくとよいだろう。
----------------------
2012年、2013年に追記:
ヒッグス粒子は無事発見され、ヒッグス博士とアングレール博士はノーベル物理学賞を受賞した。
祝!:ヒッグス粒子発見
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f88350541542f732fec74af583a29e50
速報:2013年ノーベル物理学賞はヒッグス博士とアングレール博士に決定!
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/e4c4d6d15d52e86a94caccd6da8edb5e
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「質量はどのように生まれるのか:橋本省二」(Kindle版)
はじめに
第1章 すべては理解できるものか―元をたどってみる
- 太陽はなぜ輝くのだろう
- すべてを分解してみる
- 原子の中だって大変なんだ
- じゃあその先は?
- あなたはなぜ重いのか
第2章 質量とは何か―押しても引いても動かない
- ぶつかるとはじかれる
- 質量があると重いのか
- 素粒子の質量と重さ
第3章 ゼロと有限の境目―光のように速く飛んでみる
- 音よりも速く、光よりも速く?
- 波には伝わるものがある
- 電気と磁気の不思議な関係
- からみ合って先に進んでいくもの
- 走っている人と止まっている人
- エネルギーも相対的
- 静止した物体がもつエネルギー
- ゼロと有限の境目
第4章 自転する素粒子
- 回り続けるもの
- 小さな世界で波打つ粒子
- ミクロの世界のギアチェンジ
- 回る素粒子
- 相対論と量子力学の統合
- 天才ディラックのアクロバット
- 右と言ったら右
第5章 右と左が違うのは―見えざる弱い力
- 右手と左手は違うのか
- 原子核の中まで入り込む
- ラザフォードの貢献
- 小さな世界で働く強い力
- 湯川の予言
- たまにしか起こらない出来事:弱い力
- エネルギーが保存されない!?
- 弱い力の登場
- 奇妙な問題
- 奇妙さを数える
- 右か左か、それが問題だ
- 右と左は確かに別物
- 右巻きと左巻きは別の素粒子?
第6章 沈むときは二人で―真空に沈殿する素粒子
- 何もない真空
- 人のふり見て我がふり直す
- スピンがそろった状態=真空
- 素粒子はみな同じ
- 仲良しポーズと一匹狼のフェルミ
- みんなで一緒に
- ペアを作るとお得な話
- 金属にどうして電流が流れるのか
- ボース-アインシュタイン凝縮のなせるワザ
- 舞台はふたたび素粒子へ
- これが南部理論だ!
- 真空に働く空気抵抗
- 自発的対称性の破れの正体
第7章 陽子に針を突きさす―クォークの登場
- 精巧な組木細工
- 壊れて消えるシャボン玉粒子
- クォークに色がある!?
- 解きほぐすのではなくぶっ壊す
- 色が支配する法則
- 近距離で弱く遠距離で強い力
- 真空の対称性
- 素粒子の反応を計算する
- 12桁の精度で正しい理論
第8章 真空の雑踏―何でもありの量子論
- とにかく全部足さないと
- ファインマンの経路積分
- 積分の積分の積分
- 計算機にまかせろ
- できることはとことんやる
- 1個の陽子をシミュレーションしてみる
- 真空は満員電車?
第9章 あるんだったら出してみろ―ヒッグス粒子と巨大加速器
- どこまで大きくなるのか
- たった1パーセントでもおろそかにできない
- もう一度弱い力について
- 質量ゼロの粒子問題
- ゼロを有限にするには
- 質量ゼロの粒子が合体して質量をもつ!?
- 力を節約できるか
- 力の統一に向けて
- 壊すことが役割
- ヒッグス粒子をたたき出す
- ヒッグス粒子が見つかればすべてが解決するのか
- 質量の起源はわかったのか
- 宇宙のすべてを理解することは可能か
あとがき
さくいん
内容
素粒子の質量を作りだすといわれるヒッグス粒子。それが見つかれば、物質の質量の2パーセントは理解される。では残り98パーセントはどこからくるのか?そもそもヒッグス粒子とは何なのか?その鍵は真空にある。素粒子物理最大の謎に迫る。
2010年4月刊行、304ページ
著者について
橋本省二
1968年生まれ。1994年、広島大学大学院理学研究科博士課程修了。理学博士。1995年、高エネルギー物理学研究所(現・高エネルギー加速器研究機構)・データ処理センター助手。2002年から、高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所および総合研究大学院大学・高エネルギー加速器科学研究科准教授。
引き続き今回もブルーバックス本を紹介。重力についての本の次は、重力を引き起こす原因とされている「質量」をテーマにした本を選んだ。
LHCでヒッグス粒子検出のために行われているアトラス実験とCMS実験の途中経過の発表があったのが昨年の12月13日のことで記憶に新しい。ヒッグス粒子が見つかれば「ヒッグス機構」というからくりで質量の起源が検証されるからだ。----と新聞やテレビのニュースでは報道された。当時は「神の粒子が発見された」とか「99.98%の確率で見つけた」のように加熱報道されたものだが、実際のところは「根源の謎解明に少し近づいた」というのが判断として妥当と言える。
ヒッグス粒子 根源の謎解明に少し近づいた(12月15日付・読売社説)
http://shasetsu.ps.land.to/index.cgi/event/914/
しかし、新聞記事を読んでもどうしてヒッグス粒子と質量が関係してくるのかさっぱりわからない。限られた紙面で説明するのが無理というより、おそらく記事を書いた本人も理解していないのだと思えるのだ。
本書はそのような「質量発生のメカニズム」を素人でも理解できるようにという目標で、素粒子論の若手研究者が挑戦した意欲作である。
本書によればヒッグス粒子で説明がつくのは質量の2パーセントに過ぎない。残りの98パーセントは2008年にノーベル物理学賞を受賞された南部陽一郎先生の「自発的対称性の破れ」をベースにしたメカニズムによるのだという。本書は2010年に出版されたので、2008年秋、南部先生、小林・益川先生の受賞に日本中が沸き立ったときのことや諸先生方の理論についても触れられている。
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2012年2月3日に追記:
読者の方からコメントいただきました。上記の説明中、質量の「残り98パーセント」の部分のメカニズムはカイラル対称性の破れによるものだということです。次のページでわかりやすい説明が読めます。
量子色力学における自発的対称性の破れを厳密に実証(KEKプレスリリース)
https://www2.kek.jp/ja/news/press/2007/supercomputer2.html
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質量のからくりの本質的な部分は素粒子論である。しかしそれを理解するためにはそれ以前に解明された古典力学、電磁気学、相対性理論、量子力学、相対論的量子力学なども理解しておかなければならない。豊富な「たとえ話」を盛り込みながら、本書ではほとんど数式なしでこれらの基礎知識を積み上げながら読めるように工夫されている。
それは単なる理論の積み上げではなく、それぞれの理論を矛盾なく結びつけることで、さらに奥の深い真実へと私たちを導いてくれる。たとえば特殊相対性理論と量子力学を両立させることによって素粒子のスピンが導かれ、さらにそこから粒子と反粒子が予想されてくる。そしてそれらが生成、消滅するダイナミックな「真空」の姿がもたらされるのだ。また素粒子物理学の中で不確定性原理や粒子の波動性など量子力学の諸原理をどのように取り扱うかという点についても初学者にとってはきっとためになることだろう。
量子力学や相対論的量子力学までは専門書で学んできた僕にとっても、素粒子論、特にクォークの理論である「量子色力学(QCD)」に至っては素人同然だ。本書で手短かにかつ比較的詳しくQCDについて知ることができたのはよかったと思う。また「究極の物理シミュレーション」という記事で紹介したのだが、クォークの量子色力学の理論の計算機シミュレーションによって中間子論の検証を行なったときのことも詳しく解説されている。
結局、本書でヒッグス粒子やヒッグス機構についてよく理解るようになるのか?と問われれば、若干否定的にならざるを得ない。「だいたいこのような感じなのだな。」というレベルで理解できたのにとどまった。おそらくそれは著者の力量不足というより、このメカニズム自体がもともと複雑過ぎるのか、難解な数式無しには説明できないのかどちらかなのだろう。次のような資料を見て後からそう思えたのだ。
ヒッグス機構とヒッグス粒子 - 名古屋大学 素粒子宇宙起源研究機構(KMI)
http://www.kmi.nagoya-u.ac.jp/jpn/events/Kurachi_Higgs.pdf
ヒッグス機構(PDF文書)
http://osksn2.hep.sci.osaka-u.ac.jp/~naga/kogi/handai-honor07/10-vac-mass.pdf
一般読者を対象にしたブルーバックス本にもかかわらず、本書はなかなか読み応えがある。今年の末までにはおそらくLHCからヒッグス粒子についての2回目の報告会があるだろうから、そのときまでには読んでおくとよいだろう。
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2012年、2013年に追記:
ヒッグス粒子は無事発見され、ヒッグス博士とアングレール博士はノーベル物理学賞を受賞した。
祝!:ヒッグス粒子発見
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f88350541542f732fec74af583a29e50
速報:2013年ノーベル物理学賞はヒッグス博士とアングレール博士に決定!
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「質量はどのように生まれるのか:橋本省二」(Kindle版)
はじめに
第1章 すべては理解できるものか―元をたどってみる
- 太陽はなぜ輝くのだろう
- すべてを分解してみる
- 原子の中だって大変なんだ
- じゃあその先は?
- あなたはなぜ重いのか
第2章 質量とは何か―押しても引いても動かない
- ぶつかるとはじかれる
- 質量があると重いのか
- 素粒子の質量と重さ
第3章 ゼロと有限の境目―光のように速く飛んでみる
- 音よりも速く、光よりも速く?
- 波には伝わるものがある
- 電気と磁気の不思議な関係
- からみ合って先に進んでいくもの
- 走っている人と止まっている人
- エネルギーも相対的
- 静止した物体がもつエネルギー
- ゼロと有限の境目
第4章 自転する素粒子
- 回り続けるもの
- 小さな世界で波打つ粒子
- ミクロの世界のギアチェンジ
- 回る素粒子
- 相対論と量子力学の統合
- 天才ディラックのアクロバット
- 右と言ったら右
第5章 右と左が違うのは―見えざる弱い力
- 右手と左手は違うのか
- 原子核の中まで入り込む
- ラザフォードの貢献
- 小さな世界で働く強い力
- 湯川の予言
- たまにしか起こらない出来事:弱い力
- エネルギーが保存されない!?
- 弱い力の登場
- 奇妙な問題
- 奇妙さを数える
- 右か左か、それが問題だ
- 右と左は確かに別物
- 右巻きと左巻きは別の素粒子?
第6章 沈むときは二人で―真空に沈殿する素粒子
- 何もない真空
- 人のふり見て我がふり直す
- スピンがそろった状態=真空
- 素粒子はみな同じ
- 仲良しポーズと一匹狼のフェルミ
- みんなで一緒に
- ペアを作るとお得な話
- 金属にどうして電流が流れるのか
- ボース-アインシュタイン凝縮のなせるワザ
- 舞台はふたたび素粒子へ
- これが南部理論だ!
- 真空に働く空気抵抗
- 自発的対称性の破れの正体
第7章 陽子に針を突きさす―クォークの登場
- 精巧な組木細工
- 壊れて消えるシャボン玉粒子
- クォークに色がある!?
- 解きほぐすのではなくぶっ壊す
- 色が支配する法則
- 近距離で弱く遠距離で強い力
- 真空の対称性
- 素粒子の反応を計算する
- 12桁の精度で正しい理論
第8章 真空の雑踏―何でもありの量子論
- とにかく全部足さないと
- ファインマンの経路積分
- 積分の積分の積分
- 計算機にまかせろ
- できることはとことんやる
- 1個の陽子をシミュレーションしてみる
- 真空は満員電車?
第9章 あるんだったら出してみろ―ヒッグス粒子と巨大加速器
- どこまで大きくなるのか
- たった1パーセントでもおろそかにできない
- もう一度弱い力について
- 質量ゼロの粒子問題
- ゼロを有限にするには
- 質量ゼロの粒子が合体して質量をもつ!?
- 力を節約できるか
- 力の統一に向けて
- 壊すことが役割
- ヒッグス粒子をたたき出す
- ヒッグス粒子が見つかればすべてが解決するのか
- 質量の起源はわかったのか
- 宇宙のすべてを理解することは可能か
あとがき
さくいん
ヒッグス機構について詳しく説明していただき、ありがとうございます。この本に書かれているのより明快かつ簡潔に説明されていると思います。
では、2/2 の「ボース-アインシュタイン凝縮」で思い出したこと(教科書より)を書きますと、超伝導でクーパー対がボース-アインシュタイン凝縮して抵抗ゼロになると、磁場に対する誘導電流が超効果的になって磁場を完全遮蔽するマイスナー効果が起きるのと同じように、ヒッグス場の対称性破れでできた質量ゼロのゴールドストン・ボソンがゲージ場を遮蔽するのがヒッグス機構だそうです。(抵抗ゼロと質量ゼロが対応)
遮蔽されると言う事は長距離力が短距離力になるということで、長距離力は質量ゼロのゲージ粒子、短距離力はゼロでない質量のゲージ粒子を意味するわけです。(力の到達距離から湯川中間子の質量を予想したのは有名)
承認待ちのコメント一覧には2月3日にhirotaさんからいただいたという投稿は見当たりませんでしたよ。
gooブログはまれに投稿したはずのコメントが承認待ち一覧に表示されなかったり、承認しても公開画面に表示されなかったりすることがこれまでありました。
今後、もしおかしいな?と思われる状況がありましたら続けて同じ文面で投稿いただいても構いません。そのうち1つだけを承認するようにいたしますので。
何か変だとは思ったけど、重複したくないので再投稿はしませんでした。
投稿が成功したかどうかの区別はどうつけるのですか?
やっぱり、2%と98%はクォーク質量と陽子・中性子質量のことでしたね。
詳しく説明していただき、ありがとうございます。
宇宙物理学は天文学と物理学の交差する分野ですが、素粒子物理学やその先の理論と密接に結びついているので強い関心をもっています。今後LHCでの実験の結果が宇宙の理解を深めるものであるに違いないので、日頃からこの方面のニュースにも注意していきたいと思います。
私たちは高いレベルの知的興奮に満ちた時代に生きているのだと実感しているところです。
1933年以降、星・銀河の運動や銀河集団の観測などによる質量計算から、実際の観測から見積られる物質の量より遥かに多い質量が存在することが確認され、ダークマター(Dark Matter) と呼ばれてきました。 さらに、1990年代後半に、宇宙が加速膨張をしていることが独立に相次いで発表されたのですが、この驚くべき発見の功績により 2011年ノーベル物理学賞が発見者3人に与えられました。 今の所、宇宙に存在する質量による引力に打ち勝つこの斥力の根源は不明であり、ダークエナジー(Dark Energy) と呼ばれています。
現在では、宇宙が(観測されるように)平坦になるのに必要な臨界質量密度などの概算から、宇宙の全エネルギーにしめる既知物質・エネルギーの割合は4%、ダークマターは23%、ダークエナジーは73%とされおり、特にダークエナジーは、一般的には「真空のエネルギー」とも推定されています。 面白いことに、ダークエナジーは一般相対論の宇宙定数 (Λ) と同じなのですよね。
確かに本書の第6章ではカイラル対称性のことについても書かれてあります。
記事本文にも追記させていただきます。
を読めば南部先生が提唱したのも自発的対称性の破れであることが理解されます。ただしヒグス機構とは異なるものでカイラル対称性の自発的破れによって質量が説明されます。
「本書によればヒッグス粒子で説明がつくのは質量の2パーセントに過ぎない。残りの98パーセントは2008年にノーベル物理学賞を受賞された南部陽一郎先生の「自発的対称性の破れ」をベースにしたメカニズムによるのだという。」と僕が書いたところに違和感をお持ちになったのですか。
本書の第9章でヒッグス粒子やヒッグス機構のことがはじめてでてくるのですが、その箇所では確かに「ヒッグス機構は自発的対称性の破れによる。」と書かれています。本書によればこれは質量のうち2%なのだそうです。
それ以外(98%)の質量の起源については、本書の第6章で粒子、反粒子、そしてそれらの左巻き、右巻きスピンの説明の後、「粒子と反粒子のペアが(ボース-アインシュタイン凝縮のように)凝縮した真空の中で、粒子がある種の抵抗を感じて思うように進めなくなり、それが質量の源になっている。」と書かれています。自発的対称性の破れとは直接関係ないみたいです。失礼しました。
教科書で読んだことしか知りません。(数式だと考えることもなく質量が出てくるので、言葉にするのが難しいが、上に書いた事は読み取れた)
でも、科学雑誌の類でも「ヒッグス機構は自発的対称性の破れによる」と書いてあるものばかりだったと思いますから、「本書によれば・・」に違和感を感じます。
こんにちは。
この分野について僕は素人同然なのと、質量獲得のメカニズムが複雑なので、どう返信してよいのかわかりません。
hirotaさんはこの本はお読みになられたことありますでしょうか?
もっとも、「自発的対称性の破れ」による質量生成はゲージ粒子だけで、フェルミ粒子に対しては単なるヒッグス場エネルギーの質量だが。
ついでに言うと、陽子などの質量は構成するクォークのヒッグス質量よりグルーオン場やクォーク運動エネルギー質量の方が大きいそうです。
ご紹介いただき、ありがとうございます!
「宇宙は本当にひとつなのか 」(村山 斉)
も、わくわくしながら読める楽しい本です。難しい数学書の息抜きにどうぞ。