「概要編」に続き本編を始めることにしよう。今日は「実用数学編」というサブタイトルで大学1、2年次に学ぶ基礎的な数学の内容を解説する。
高校生にも読んでいただきたいので、イメージを重視して各分野の導入部分やあらましをかいつまんで説明する。だから記述の正確さや厳密性は大幅に犠牲になることをあらかじめご承知いただきたい。
今日紹介する分野は大学1、2年次に学ぶ内容で高校数学がそのままま延長されるようなものなので、入学したての新入生でも途方にくれることはない。およそ理数系の学部、学科の共通科目、すなわち「実用数学」である。物理学科の学生にとっては「物理学を学ぶために必要にな数学」、すなわち「物理数学」となるわけだ。
「実用数学」と書くと高校生の中には「数学なんて使わなくても実生活では困らない。」と言う人もいるかもしれない。確かに私生活では算数だけでじゅうぶんだし、大人になって社会に出たとしても数学を使わずにできる仕事はいくらでもある。
けれどもこの世界がカネとモノと人で動いていることは明らかな事実だ。だからカネとモノと人の量の変化を分析し、将来の予測や判断に活かして仕事を効率的に進めたいと思うならば数学は不可欠で、強力なツールとなる。
将来、技術系や工学系、化学系、金融系、製薬業界、保険業界の仕事に就くのならもちろん数学は必要だし、売上分析のための統計解析はどの分野の企業でも必要とされる数学だ。
要は生き方のスタイルの違いなのだと思う。自分の感性や感覚だけをたよりに生きるか、それともそれに数学的な分析を加えて生きるか。どちらを自分が選択をするかということなのだ。
今日紹介する範囲の「実用数学」はこうした意味で「つぶしの効く」知識であり、身につけることができれば応用範囲は広い。学んでおいて損はない。
とはいうものの、森毅先生のおっしゃっているように「数学は何の役に立つのか」ということにとらわれず、おおらかにとらえることも大切だ。
森毅 「数学が好きになるには」 (再生時間30分)
ひとつことわっておくが、このような実用数学を学ぶだけのために数学科を選択するというのはやめておいたほうがよい。3年次以降は全く違う数学、いわゆる抽象数学とか純粋数学という世界に入ってしまうからだ。数学科に入学する学生のおよそ7割はこの段階で落伍してしまう。寝ても覚めても数学のことしか頭にないタイプの学生でないと授業や教科書についていくことはできない。このことについては次回以降の記事で詳しく述べようと思う。
さて、ひとつずつ解説を始めるとしよう。
1)代数学系
線形代数(多次元行列や複素数の行列、ベクトルの計算、行列式、連立一次方程式、トレース、固有値と対角化) :計算方法を学ぶ
いわゆる高校で学ぶ「ベクトルと行列」の延長だ。新課程になってから「行列」は教えられなくなってしまったので、今後大学の線型代数の授業はどうなるのかなと僕は心配しているのだが、文部科学省はいったいどういう経緯でこのような措置をとってしまったのだろうかと思うばかりだ。大学生になってから学生に自習せよ、独学しておけ、ということでは酷だと思う。
ともあれ旧課程で学ぶ「ベクトルと行列」は2次元の平面であらわせる範囲であり、行列は2行2列だ。鶴亀算のような連立1次方程式はベクトルと行列を使った方程式であらわし、答を導くことができる。
大学の線型代数のレベルになると、これが多次元化される。行列は主に3行3列、4行4列で計算練習をすることになり、一般的な議論は「n行n列」や「m行n列」で行われる。3次元まではなんとかグラフとして視覚化できるが4次元以上になると無理だ。グラフや図ではあらわせない大学数学の世界を学生は初めて経験することになる。特に行列の要素が複素数の場合も扱われるようになり、こうなると2次元の行列とベクトルであってもグラフであらわすことはできない。
2次元の行列では ad-bc であらわされた「行列式」も、3次元や4次元の行列に拡張され、計算方法を学ぶ。そうやって多変数の連立1次方程式を解くことができるようになるわけだ。いちばん大切なことは高校で学んだように工夫しながら解法を見つけるというのではなく、大学の線型代数では「決められた手順で解くことを学ぶ」ということなのだ。
行列の「固有値」や「固有ベクトル」を求めるためには連立方程式を解くことになる。(一意解が存在する場合、連立方程式を解くということは、逆行列を求めることに対応している。)
そのほか行列の対角要素の和を意味するトレースと呼ばれる量の意味も学ぶ。そして線型代数の学習のおしまいのほうでは与えられた行列を操作して「ジョルダンの標準形」という形の行列に変形していくことにある。
行列の計算をたくさんさせられたりしていると、線型代数を使うと連立方程式が解けるようになるというのはわかるが、それが必要になるのはよくあることなのか?線型代数はそんなに大事なものなのかという気がしてくるものだ。結局は鶴亀算の延長でしょ?と思ってしまう。
ところが線型代数の応用範囲は理論にしても実用にしても極めて広いのだ。4つだけ例をあげてみよう。
例1)2Dや3Dゲームの座標変換
いちばん身近かな例だとこれである。スーパーマリオであれ、シューティング型のゲームであれ、およそ画面の中を何かが動き回るタイプのゲームでは物体の移動や回転の操作をさせなければならない。三角関数を使った回転行列による座標変換が必要になる。物体の移動や回転を行うプログラム・モジュールの設計は行列を使って行われる。
例2)線形計画法、オペレーションズ・リサーチ
複数の原材料を効率的に組み合わせて複数の製品を作るような場合、原材料をそれぞれどれくらい仕入れればよいかは、原材料の仕入れ値や製品の販売価格、売上見込みによって異なってくる。無駄なく最適な仕入を行って売上を最大にするためにはどうすればよいのか?このようなタイプの問題を解く手法が線形計画法とかオペレーションズ・リサーチと呼ばれている分野だ。線型代数がこの分野では大活躍する。(参考:「線形計画法」、「システムの最適化」)
例3)微分方程式の数値解法
微分方程式をコンピュータを使って数値的に解くためには「ルンゲ・クッタ法」をはじめ、いくつかの手法が考案されているが、それらの理論は行列を使って表現されている。アルゴリズムを理解するためには線型代数の知識が必要だ。ビルの耐震性を計算するためにはビルを網目のような構造に近似して、いわゆる「有限要素法」を使って数値計算するのだが、これにも線型代数を使ったアルゴリズムの設計手法が用いられている。
例4)量子力学の数学的定式化
量子力学はシュレーディンガーの方程式やハイゼンベルクの運動方程式と呼ばれる方程式を基礎としているが、どちらにしても複素関数を要素とする行列の理解が必要になる。量子力学の波動関数は無限次元の複素関数をベクトルとする「ヒルベルト空間」によって定式化され、理論を展開する上で必要になるのは複素数を使った線型代数だ。
線型代数の雰囲気を知りたい方は、次のようなページをご覧になるとよいだろう。
サルでもよくわかる線形代数学(タイトルがいささか読者に失礼だが、わかりやすく書かれていると思う。)
http://kagennotuki.sakura.ne.jp/la/
線形代数学入門(横田壽)
http://www.geil.co.jp/MULTIMEDIA/linearalg02/linearalg02.html
線形代数インデックス
http://homepage3.nifty.com/rikei-index01/senkeidaisu-index.html
2)解析学系
微分積分学(複素関数論、複素積分、常微分方程式、ラプラス変換も含む):理論と計算方法を学ぶ
注意1:「複素関数論」は「関数論」や「複素解析」と呼ばれることもある。
実数変数の微積分(微積分演習)
まず実数変数の微積分についてだが、高校で学ぶのよりも高度な問題の計算練習をすることになる。これはさほど難しくない。2重積分や3重積分を使って曲面の面積や曲面で囲まれた物体の体積なども計算できるようになる。
常微分方程式(微積分演習)
次に学ぶのは常微分方程式。常微分方程式というのは変数が1つの微分方程式のことだ。微分方程式は高校でも学ぶが、大学では微分方程式をいくつかのパターンに分類して、解法のパターンを学ぶ。
微分方程式というのは求めたい関数だけでなく微分した関数も含まれている方程式のことで、これを説くと関数が求められる。つまりある曲線の部分部分の変化のありさまがわかっているとき、全体としてどのような曲線ができあがるかというイメージだ。
偏微分方程式(微積分演習)
1変数の関数ならばひもの振動パターンの曲線を計算するようなケースに対応し(常微分方程式)、2変数ならば太鼓の膜のような2次元の曲面の振動パターンを計算するケースに対応する(偏微分方程式)。ようするに物事の部分部分の状態がわかっているとき、全体的にはどうなるかということを計算するのが「微分方程式を解く」ということなのだ。
ラプラス変換とは微分方程式を解くために使われる方法のひとつだ。元の方程式を決められた表に従って置き換えてから代数計算をすると、不思議なほど簡単に答にたどりつける。
微分方程式の応用範囲はきわめて広い。
例1)弦や膜の振動パターンの解を求める。
上であげたのがこの例だ。
例2)空気抵抗がある場合の運動方程式を解く。
高校の物理で学ぶ落体の法則は2次関数であらわされるが、現実の世界では空気抵抗による効果も考慮しなければならない。また振り子の運動の計算も空気抵抗を考慮することで、減衰振動になる。このように空気抵抗を考慮した運動を微分方程式に含めることで、より現実に即した運動の様子を計算することができるようになる。
例3)3次元の流体力学、弾性論
3変数の偏微分方程式は大気の流れや、海水の流れ、地球の地殻やマントル中の振動の伝わり方を計算するのに使われる。気象予報や津波の予測、地震波の伝わり方を数値計算できるのは3次元すなわち3変数の偏微分方程式を解くことによって可能になる。
例4)電気回路の計算
抵抗、コンデンサ、コイルで構成された電気回路の電流や電圧の時間に従った変化を計算するためには、微分方程式が使われる。(参考:「直流RLC直列回路の過渡現象」)
微分方程式やラプラス変換について雰囲気を知りたい方は、次のページを参照されるとよい。特に前野先生による微分方程式の視覚化は初心者にはわかりやすい。超おススメだ。
微分方程式を図解する (前野[いろもの物理学者]昌弘)
http://irobutsu.a.la9.jp/mybook/ykwkrMC/sim/DE.html
応用数学入門(横田壽):常微分方程式、ラプラス変換、フーリエ級数、偏微分方程式など
http://www.geil.co.jp/MULTIMEDIA/diffpub/diffpub.html
なお、フーリエ展開やフーリエ変換も物理学や工学の分野で応用範囲が広い実用数学なのだが、この記事は数学科のカリキュラムにしたがって書いているので、次回以降「解析学」を解説する中で説明することにしたい。フーリエ変換やラプラス変換を高校生が学ぶには、「高校数学でわかるフーリエ変換:竹内淳」がお勧めである。
関連記事:
ちょっと気になる常微分方程式の本
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/779e59b0996c582373308c0a4facf16f
複素関数、複素積分
複素関数、複素積分も実用数学の範疇だ。高校までで学ぶのは変域(x)と値域(y)がともに実数の場合で、y=f(x)で関数をあらわし、∫f(x)dx で積分をあらわしているわけだが、大学になると変域と値域の変数が両方とも複素数になる。
つまり
c+di=f(a+bi)
というわけ。wとzを複素数としてw=c+di、z=a+biと置けば
w=f(z)
となるわけだ。形は実数関数のときと同じだが、wとzが複素数になるだけである。
複素関数をグラフとして視覚化するためには工夫が必要だ。実数関数ならばX-Y平面上の曲線として簡単にあらわすことができる。けれども複素数はガウス平面(複素数平面)上の1点としてあらわされ、それが変数(変域)になって動き回ると曲線になり、もっと動き回るとガウス平面上の特定の領域になる。それが関数によって変換され、別の複素数の領域(値域)になるのだから、点は点に、曲線は曲線に、領域は領域に移されることになる。だから複素関数は通常、ガウス平面上の領域からガウス平面上の別の領域への変換を意味しているわけだ。
これをイメージするには次のページがわかりやすい。
複素関数(その2):いくつかの種類の複素関数を図示する
https://sites.google.com/site/cinderellajapan/indraspearls/fu-su-guan-shu2
このページの上位ページは「インドラの真珠」というページだ。複素関数がもつ魅力的な世界を堪能することができる。カラー図版がたくさん掲載された本「インドラの真珠: クラインの夢みた世界」としても昨年出版されて反響を呼んでいる。
インドラの真珠
https://sites.google.com/site/cinderellajapan/indraspearls
さて、複素関数があればその微分や積分も考えることができる。微分や積分の公式は実数関数のときとほぼ同じだ。ただし、その意味合いには注意が必要である。
微分とはある点における変化率のことで、変化させる方向は通常xの小さいほうから大きいほうなので1とおりに決まっている。けれども複素数のある点での微分を考える場合、変化させる方向はガウス平面上で360度どの方向でもよいわけだ。
また、定積分を考える場合、実数関数だと下限aから上限bまで積分するとその変域の範囲で曲線の下側の面積を求めることができる。それは無限に細い長方形を足し合わせて面積を合計することになるからだ。
ところが複素関数で定積分をするとはどういうことになるのだろうか?複素数には大小関係はないからaやbを下限、上限と呼ぶことはできない。複素関数の定積分の場合、aとbは始点と終点ということになるのだ。でも始点から終点まで変域を移動させるのはそのまま直線的に結ぶ方法もあれば、ぐにゃぐにゃと回り道をしながら方法もある。いったいどうすればよいのだろうか?
幸い始点から終点まで、どのような経路をたどっても定積分の値に違いはでてこない。だから最終的には心配無用ということになっている。(ただしこれには複素関数の値の変化が滑らか(正則)であるとか、始点と終点が一致してループ積分になるときそのループの中に無限大に発散する「極」が存在しないなどの条件が必要になる。)
それでも疑問が残る。複素関数を定積分するとはどういうことを意味しているのだろうか?面積や体積を計算しているわけではない。複素関数の定積分の視覚的な説明は「物理数学の直観的方法〈普及版〉 (ブルーバックス):長沼伸一郎」の中で、とてもわかりやすく図示されているので、ぜひお読みになってほしい。
複素積分には実数関数の積分にはない、とても不思議な性質がある。実数関数では上限aと下限bが一致しているとき、その定積分はゼロになる。これについては一般的に複素数関数の定積分でも同じなのだが、例外があるのだ。定積分の始点から終点の経路を閉曲線にとって一周させることを考える。そのときその円の中に複素関数の「極」と呼ばれる特異点(その点で複素関数の値が無限大かマイナス無限大になるケース)の周囲では、一周させてもとにもどってきても定積分の値はゼロにはならないのだ。この不思議な数学的事実は「留数定理」というものだが、現実の世界でも陽電子(反粒子)の計算に使われている。(参照:「相対論的な伝播関数(PDF)」の3ページから4ページ)
留数定理についても「物理数学の直観的方法〈普及版〉 (ブルーバックス):長沼伸一郎」にとても直観的にわかりやすい説明があるので、ぜひお読みになっていただきたい。
この不思議な例も含め、複素関数やその積分についてイメージしたい方は、次のようなページをご覧になるとよい。
複素関数論入門(ときわ台学)
http://www.f-denshi.com/000TokiwaJPN/12cmplx/000cmplx.html
複素関数論入門(横田 壽)
http://www.geil.co.jp/MULTIMEDIA/complex/complex.html
複素解析インデックス
http://homepage3.nifty.com/rikei-index01/hukusokansuron-index.html
複素関数論は美しいだけでなく、これを使うことによる恩恵は多大で、ここには書ききれないくらいだ。オイラーの公式も複素関数のひとつで、微分や積分を簡単に行うことができる。この性質を利用して微分方程式がシンプルに解くことができるようになる。また、物理学で「波動」や「振動」の性質をもつ現象はほとんどすべてオイラーの公式で書き表すことができる。そして量子力学を学ぶようになると複素関数は主役として大活躍することになるのだ。
3)幾何学系
ベクトル解析(微分形式を使った線形代数。力学や電磁気学などで利用される物理数学):理論と計算方法を学ぶ
これはどちらかというと物理学寄りの数学である。物理学科や工学部ではこれをみっちり勉強することになるが、数学科では線型代数を学んだあと、解析学の中で少しだけ学ぶことになる。力学や電磁気学をベクトルや行列、微分を含めた手法で直観的に学ぶことができるようになる。
ひとことで言えば「3次元空間の中で変化する物理的な量を(その方向も含めて)どのようにまとめてあらわして計算を進めるか。」というのがベクトル解析だ。熱や電場、磁場など空間を満たすエネルギーは流体のように扱われ、ベクトル解析の手法を使って表現されて計算が行われる。「流れ」はベクトルであらわされ、「流れの変化」はベクトルの微分を使って表現される。言葉で細かく説明するとかえってわかりにくくなるので、百聞は一見にしかずということで、次のページで具体的に見ればイメージはつかめるだろう。
ベクトル解析(ときわ台学)
http://www.f-denshi.com/000TokiwaJPN/20vectr/000vectr.html
ベクトル解析がいちばん威力を発揮するのは電磁気学だ。div(発散)、rot(回転)、grad(勾配)の考え方と計算方法を理解するのが重要だ。電磁気学のあらましとdiv, rot, gradについては、次の2つのページを見ればイメージしやすいだろう。
EMANの電磁気学
http://eman-physics.net/electromag/contents.html
div,rot,gradの意味(前野先生による解説)
http://homepage3.nifty.com/iromono/PhysTips/divrotgrad.html
5)その他
統計学(基礎的な内容、各種の検定や推定):計算方法を学ぶ
1年次、2年次で学ぶのは統計解析のうち各種の「検定」がメインになる。具体的な例で実際に計算をするケースがほとんどだ。大学や学部によってはそれぞれの検定に使われる確率分布関数を数式で求めるような高度な授業が行われる場合もある。
統計学を学べるページは次の記事にまとめておいたので、ご覧にいただければイメージがつかめるはずだ。
無料で学べる統計学入門サイトのリンク集
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bbc07d148199e963ac8a7ec60de2e7e1
このシリーズ記事はあと4~5回くらい続きます。次回は「数学の再誕生編」(仮題)として「集合・位相、解析学入門(フーリエ級数、フーリエ変換を含む)」あたりのことをテーマにする予定です。
関連記事:
大学で学ぶ数学とは(概要編)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/07137c47d16d95ddde8f5c4cb6f37d55
線形代数学入門のための教科書談義
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/9d2ac30c9f5f620ad703304d710ed90b
解析学入門のための教科書談義
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/22c325e49cfd7c721679dbc2896b86a4
ちょっと気になる常微分方程式の本
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/779e59b0996c582373308c0a4facf16f
目次情報: スミルノフ高等数学教程 全12冊
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d26e1bf0916344802c90d785c535149f
理系インデックス
http://rikei-index.blue.coocan.jp/
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εδは使いまくるもんね。
コメントありがとうございます。
位相や連続、コンパクト、トポロジーは私たちにとっては初歩なのですけれども、厳密な証明を積み重ねて進めるタイプの数学は、ε-δ(実数の連続性の証明)で始まる解析学も含めて次回以降の記事で書こうと思っています。
今後の記事のくくりでは、このように考えています。ご意見、アドバイスがありましたら教えていただくとありがたいです。
次回:集合・位相、解析学(ε-δあたりから)、フーリエ解析
その次の回:代数系:群・環・体、加群、テンソル
その次の回:微分方程式論、関数解析
その次の回:微分幾何、位相幾何(トポロジー)、多様体、リーマン幾何
その次の回:未定(おそらく確率論、確率過程論、グラフ論など、それまでに説明していない分野)
少し粗く書きすぎたかなと心配していました。思い出すことがあったら、これからも書き足していくつもりです。
また、僕自身の思い込みや知識が足りない部分があると思いますので、詳しい方にはアドバイスいただけるとありがたいです。
対象読者が高校生なので各記事は長すぎると読まれなくなってしまいますから、大まかに大切なことを伝えるという方針で進めたいと思います。
たしかにそうですね。線形計画法やオペレーションズ・リサーチの本は1980年代は書店でよくみかけていましたが、今ではあまり見かけることができません。アマゾンで検索するといまだに新しい本が出版されているようですが。
現実の社会ではその後、多種製品少量生産の時代に移行し、非線形問題がほとんどで、おまけに製品計画をするソフトもパッケージ化されているので線形計画法を学ぶ必要性が下がっているのだと思います。
僕自身は大学の授業で「数理計画法」というのを履修していましたので、FORTRANを使ってシンプレックス法のプログラムを書いて線形計画法で解く課題をこなしていました。
いずれにせよ、数理計画法の中ではいちばん基礎の部分ですから、この分野にかかわる人にとっては必須の知識なのでしょう。
できれば、複素関数論についても「書ききれない」と言わずに教えてもらいたかった・・・
複素数や複素関数がどのような場面で用いられているかということについては、大ざっぱに言えば工学(特に電子工学)や量子力学で使われるということになります。
もう少し細かい例が、Yahooの掲示板に書かれていましたので紹介しておきます。
複素数や複素関数を使うと、回転という操作を掛け算だけで簡潔に表せます。したがって回転が絡むような課題になら大抵応用されています。また、回転運動を時間に沿って見ると、これは波動である。で、波動を扱う課題には複素数が不可欠です。特に、光と電子の基礎理論(電磁量子力学)は、複素数で書かれています。
というわけで、機械工学、電気工学、電子工学、光学、材料学、薬学、その他いろいろな技術の計算に使われています。製品やソフトウェアの理論の中で複素数を扱っているようなものとしては、JPEGや画像圧縮だとか、MPEGなど動画圧縮、ZIPなどのファイルの圧縮もそうです。
これを使って定積分を求める方法は強力でお世話になりました。
特異点と収束半径の関係も地味に役立ってるかも。
そうですよね。
留数を使って定積分を求める解法を初めて見たとき、なんて不思議なのだろうと僕は思いました。今でも解けるには解けますが、直観的には理解できていません。