とね日記

理数系ネタ、パソコン、フランス語の話が中心。
量子テレポーテーションや超弦理論の理解を目指して勉強を続けています!

マンガで科学入門 アインシュタインの相対性理論

2007年12月12日 23時48分35秒 | 物理学、数学
中学生のとき以来、相対性理論についての啓蒙書は5~6冊、専門書は2冊ほど読んだのでかなりのところまで理解しているが、もしマンガでこの理論に入門するのだとしたらこの「マンガで科学入門 アインシュタインの相対性理論」が最適だと思う。

物理学をマンガで説明した本はときどき見かけるが、理論の考え方よりも物理学者の伝記のようになってしまったり、天下り的に結果の説明だけをマンガ化したりするものが多く、考え方をちゃんと理解したいという入門者にお勧めできるものは少なかった。そういう本はマンガとしても面白くないのでやはり物理とマンガを両立させるのは難しいのだと思っていた。科学月刊誌「ニュートン別冊」で入門したほうがずっとよい。

書店でこのマンガを見つけたとき、数ページ立ち読みしただけで著者の藤井ひろし氏が真面目にこの理論を勉強して、自分の絵と言葉で読者に工夫を尽くして伝えようとしているのがすぐ感じ取れた。読者は自分で考えながら納得でき、理論の本質を理解できるはずだ。実際のところこんな感じである。



特に僕の関心をひいたのは、E=mc^2という質量とエネルギーの等価公式やローレンツ収縮と呼ばれている物質や時間が歪む量をあらわした公式を直観的説明だけで導いていることだ。公式に掛けられる定数の違いは無視されて多少不正確ではあるものの、数式が苦手でも公式が理解できるのだという発見は数式アレルギーを解消するきっかけになるかもしれない。

アインシュタインがこの理論を発表してから100年近くたっているので相対性理論はもはや最先端ではないが、時間と空間と重力の法則は今もって正しく、カーナビやGPS衛星をはじめ最先端の技術の理論的根拠となっている。

アインシュタインの成果は特殊相対性理論と一般相対性理論として知られているが、光量子説も忘れてはならない。彼は相対性理論ではなく光量子説でノーベル物理学賞を受賞した。量子力学の種をまいたのも彼なのだ。20世紀以降の物理学の2大潮流である相対性理論と量子力学はともに若干26歳のときに彼が思いついた「光の性質」についての疑問から生まれたのである。

このマンガはアインシュタインの上記3つの理論がすべて含まれている。目次は以下のとおりだ。

マンガで科学入門 アインシュタインの相対性理論」目次

第1章:特殊相対性理論
アインシュタイン登場
ブラウン運動~水についての考察 前編
波の性質~水についての考察 後編
光電効果と光量子説
特殊相対性理論
錯行の相対論的効果~光行差
質量とエネルギーの等価原理~E=mc^2
[まとめ]特殊相対性理論

第2章:一般相対性理論
重力と一般相対性理論
ブラックホール
膨張する宇宙空間
宇宙膨張による検証
最終思考実験~アインシュタインの箱
[まとめ]一般相対性理論

第3章:公式の導出
E=mc^2~思考実験による解釈と導出
ローレンツ変換~その意味と解釈
高速運動による時間と空間の縮み方早見表(ローレンツ変換計算表)

おわりに


時空の幾何学―特殊および一般相対論の数学的基礎」という数式でこの理論を学ぶための本を3分の2ほど読み進めているところだが、レビューを投稿するまでにはもう少し時間がかかりそうだ。(12月23日にこの本は読み終えた。レビューはこちらを参照していただきたい。)


その他の相対性理論の本についてのこれまでの記事:

麓の山小屋に到着 - 相対性理論
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/280945ee4e211349382f4967597f3b64

少しわかってきた。(一般相対性理論)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/adb53747ab57ba2a209d16417a712486

天才による美しい入門書
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/4d073f3be235b3aa6d7d5e6ea8f788d9

甘かった...今度は80ページでギブアップ
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/2394a6edd3fb366b6b8e0ce6d9a8fbce

宇宙のシナリオとアインシュタイン方程式
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/7413ad98fe893bbd2017bf306916d17a

アインシュタインとファインマンの理論を学ぶ本
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/43518c3ba428a011f34651b112dc13d2
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 4次元生物に耳はいくつ必要か? | トップ | 手ごろな和仏辞典を探してい... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

物理学、数学」カテゴリの最新記事