しんば賀津也 デイリーコラム

静岡選出の参議院議員が日々の活動を綴ります。

プレス民主号外「がれきへの想い」

2012年03月22日 | 日記
3月11日、東日本大震災から1年が経過しました。復旧・復興への歩みは未だ道半ばでありますが、その大きな弊害となっているのが大震災と津波によって発生した「災害廃棄物」いわゆる「瓦礫(がれき)」の処理です。

被災した東北三県の沿岸市町村においては、約2253万トンもの膨大な量の瓦礫(がれき)が発生しています。特に岩手県では476万トン(通常の一般廃棄物排出量の約11年分)、宮城県では1569万トン(同約19年分)もの瓦礫(がれき)が発生。発災から一年が経過したにもかかわらず、現時点で最終処分されたのは全体の6.2%に過ぎません。遅々として進まない瓦礫の処理こそが被災地が一日も早く復興するための最大の課題になっています。

放射性物質による汚染を懸念する声も、依然として聞こえてきます。しかし、静岡県島田市をはじめ、現在受け入れを実施、もしくは方針を示してくださっている自治体の放射線量の測定データが示す通り、広域処理の対象になっている岩手県と宮城県の瓦礫(がれき)は、放射能濃度がゼロ又はごく微量のものです。我々の街の生活ゴミと何ら変わりません。にもかかわらず、その安全性が正しく理解されずに、受け入れが難航しているのです。
地方政治にも政局は存在します。行政と市民の距離が最も近い市町村の政治では、政策論が感情論に変わることもしばしばあります。しかし、この問題を地方の政争の具にするべきではありません。地方の行政も、議会も、市民も、冷静かつ科学的に精査し、安全性を正しく理解し、納得するプロセスを踏んで合意形成をはかっていただくことを強く望みます。

多くの人が勘違いをされていることがあります。それは瓦礫(がれき)のほとんどは被災三県自らが自分たちの地元で処理しようと懸命に努力していることです。被災地に同情はするものの、いざ瓦礫(がれき)の受け入れになるとそれを拒否する自治体が全国に存在する一方、膨大な瓦礫(がれき)の中での生活を余儀なくされている被災地住民が存在しているのです。被災地が全国の自治体にお願いをしている広域処理希望の廃棄物の量は401万トン。2253万トン全体の18%にも満たないのです。つまり全体の82%にあたる1852万トンは被災をされた三県の中で処理をするというのが現状です。かけがえの無い多くのものを失い未だに震災の深い傷跡と闘っている方々が、瓦礫の8割以上を自ら背負う覚悟を決めているのです。                            
  
被災三県の県民一人当たりの処理量は4.0トンですが、広域処理希望の401トンが全国で処理していただけると、その負担が3.2トンに軽減されます。他方、401トンの国民一人当たりの処理負担量は33キログラムです。我々はなんとかこの現実をご理解していただき、ご協力をお願いしたいと思っています。

注目すべきマスコミの世論調査のデータがあります。「被災地の瓦礫(がれき)処理について、あなたの地元の県や市町村でも協力をするべきですか?」という問いに、国民の75%が「賛成」と答えています。しかし、自治体に同じアンケートを取ると、なんと80%の自治体が「反対」と答えています。このねじれた数字が何を意味するのか、国も地方もよく考えなくてはなりません。

私は行政やマスコミの使う「災害廃棄物」という表現を好きではありません。なぜならそれは被災地の皆さんの「生活の証」であり「仕事の証」であるからです。瓦礫(がれき)は被災地の方々が捨てたゴミではありません。それは胸が張り裂ける思いで失ってしまった大切な生活や思い出の塊であり、まさに財産であったのです。
今こそ私たちは、被災地の苦しみを分かち合い、復興に向けた道を共に進んで行くという精神に立ち返ることが必要だと痛感しています。

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