子育てファンクラブ高知

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連載第3回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・知的好奇心を育む(その6 対象化する年長児 )

2011年04月02日 | 携帯からの記事

連載第3回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・知的好奇心を育む(その6 対象化する年長児 )

          高知市若草幼稚園 園長 岡林道生 執筆 〔『保育の実践と研究』(第15巻第4号)より転載〕

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3.知的好奇心を育む 

(4)対象化する年長児 

出会うものに驚き、その動きに同調し、模倣しながら身体で違いを感じるような年少の時期、自分の姿、形、生活の仕方と比較しながら対象物が何か、なぜそうなっているのかを知ろうとする年中の時期を経て、年長児は出会うものを対象化して、ありのままに捉えることができるようになります。そして、それが何か、何故そうなっているのかについて知ろうとする意欲や態度が著しく育っていきます。 

 

②知の深まりと広がり

 

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 年長児になると、知的探究心が旺盛になり、聞く、調べるということを積極的に行います。興味や関心を持ったものについて、名前だけでなく色々なことを知りたくなります。

 

卵から幼虫、幼虫から成虫になる蛾や蝶の仲間、池に産卵するトンボの様子、そしてヤゴからトンボへ、卵からオタマジャクシ、やがてカエルになっていく様子をつぶさに見る子どもたちは、その生態に興味を持つようになります。

 

そこから、仲間について語るようになり、分類らしきこともするようになります。また、どんな所に住み、どんな物を食べているのかも積極的に調べます。

 

花が咲いて実がなり、落ちて芽が出る様子を見て、なぜ実を落とすのだろうと考え始めます。絵本や物語を通して、生き物の営みや生態系のことを知ると、森にあるものを大切にしようとする心も芽生えてきます。森は、知の宝庫です。

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連載第3回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・知的好奇心を育む(その5 対象化する年長児 )

2011年04月02日 | 携帯からの記事

連載第3回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・知的好奇心を育む(その5 対象化する年長児 )

          高知市若草幼稚園 園長 岡林道生 執筆 〔『保育の実践と研究』(第15巻第4号)より転載〕

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3.知的好奇心を育む 

(4)対象化する年長児 

出会うものに驚き、その動きに同調し、模倣しながら身体で違いを感じるような年少の時期、自分の姿、形、生活の仕方と比較しながら対象物が何か、なぜそうなっているのかを知ろうとする年中の時期を経て、年長児は出会うものを対象化して、ありのままに捉えることができるようになります。そして、それが何か、何故そうなっているのかについて知ろうとする意欲や態度が著しく育っていきます。

 

①よく見る、試す、調べる、比べる、わかる

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 すくすくの森は、目に付くもので125種の昆虫がおり、虫が好きな子どもにとっては垂涎の的です。ある時、T先生が草の幹に捕まっている4cmほどの幼虫を手に「これ何かなー。」とつぶやきました。

目ざといUくんが「虫や!」と走り寄るとNくんも飛んできて、「虫やないで幼虫で。」と言いました。すると「幼虫も虫で、」と言い返し、「そうやないで。」と言い合っているところに、Yくんがやってきて「何の幼虫やろうか。」と言いました。「うーん、わからん。」とUくん。通りかかったAくんとHくんも仲間に入り、先生を囲んでそれぞれが思いつくことを口々に言い始めました。

 

A「先生、貸して。(幼虫を目の高さに持っていき) 

ウーン、どっちが頭でどっちがお尻やろう。」 

(ここで、取り合いになりますが、通りかかったKさんにケンカしていてはわからないままだといわれ、気を取り直して虫に集中します。)

A「あのよー、おじいちゃんが尖っちゅう方がお尻って教えてくれたで」

H「両方尖がってんじゃん。」

A「けんどよー、ちょっとこっちが尖っちゅうでね。」

他の4人は、半信半疑の様子で幼虫をながめています。身じろぎもしない幼虫に

H「動けばわかるんじゃない?前がさー、頭で後ろがお尻でしょ。」

U「けど後じさりするかもよ。」N「触ってみる?うごくかもしれん」

Y「どうやって触る?」N「毛虫かもしれん」Y「毛は無いで、Nくん、触ってみたら?」

H「そっとさー、触ったら大丈夫じゃないの?大丈夫だよ。」

そしたらHくんが触れと、5人はグロテスクな幼虫に少し怖気づいてるようです。Hくんは、触らないで息を大きく吹きかけました。「動いた!!」と5人。虫は、草にぶら下がるようにして動いています。

K「あっ、逆さになっちゅう、落ちん!」(走ってきて、こう言うとまたどこかへ)

U「えっ、本当や何で落ちんが」Y「見てみ、足がいっぱいあって草にくっついちゅう。」

A「足がタコの吸盤みたいになっちゅうでね。」

Hが今度は手で押すように触ると、幼虫は緑の小さな固まりを排泄しました。

U「あっ、ウンコした。」

A「やっぱりおじいちゃんの言うとおりや、尖っちゅう方がお尻やった。ウンチした方が尖っちゅうで、ほら。」今度は4人とも頷きながら、

N「この幼虫は、草を食べるがでね、ウンチ草色やきね。」

U「そうそう、僕らーも食べた色のウンコが出るき。」

N「触ったき、腸が動いたがやろうかね。」

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このように、5人は幼虫に出会ってから40分以上も、見て、触って、持っている知識や意見を交換し続けていました。5人は、蛾の幼虫か蝶の幼虫であるところまで推測し、そこで帰る笛がなってしまいました。

この幼虫が何の幼虫か知りたい気持ちが強く、持って帰りたいといいましたが、すくすくの森の約束ではもって帰らないことになっています。「写真に撮ってもらう」とUが言い、みんなでそうしてもらおうということになりました。

Uが担任の先生に頼みに行き、「先生がね、絵に描いて行きややと。」と戻ってきました。紙と鉛筆を使って、Aが描き始めました。描いている様子を見て周りの仲間が「そんなに大きくないじゃん。」などというので、一度Hに交代し、また「もう少し小さい。」「足がそこにない。」と周りが言うので、なんと私にまわってきました。

「えっ、先生が?」というとUくんが「もう時間がないし、急がんといかんし、園長先生絵が上手ながやろ。」とどきっとする発言ですが、ここは度胸で引き受けました。それから、ああじゃない、こうじゃない、ここが違う、そこが違う、足の数、点々の数、背中には毛もあるといわれ、「うるさいなー」と思いながらもその観察力に感心しました。

担任がやってくると、「まぁまぁに園長先生が描いてくれたき、帰ったら図鑑で調べるが」とのこと、担任のねらいはわかっていたので思わず私と担任で顔を見合わせ笑いました。

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 幼稚園に戻ると、手洗いうがいを済ませて5人は図鑑にまっしぐらです。昆虫図鑑を真ん中に顔を寄せ合って、調べ始めました。最初は、絵と見比べるというよりは、それぞれの記憶している特徴をああでもない、こうでもないといいながら調べており、キマダラヒカゲかヒメアカタテバ、キタテハ、アカタテハではないかというところまで突き止めました。

そこから、図鑑と、記憶と絵を比較し始め、キマダラヒカゲには毛がなく、キタテハは小さいということで、アカタテハかヒメアカタテバということになりました。そこでAがすくすくの森でアカタテハが飛んでいたと言い、他の子どもも見たことがあるということで、アカタテハと言うことになりました。

しかし、足と毛の生え方からいってすっかり納得したわけではなく、今度行ったらもう一度見つけるといっていました。他の子どもたちも、図鑑を手に取り、その日出会った生き物について色々と調べ、意見交換しています。その姿はとても生き生きとしていて、知る喜びとそれを共有する喜びにあふれています。

 

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連載第3回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・知的好奇心を育む(その4 年中児の知的好奇心)

2011年03月25日 | 保育所・幼稚園

連載第3回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・知的好奇心を育む(その4 年中児の知的好奇心)

           高知市若草幼稚園 園長 岡林道生 執筆 〔『保育の実践と研究』(第15巻第4号)より転載〕

 

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3.知的好奇心を育む 

(3)年中児の知的好奇心(興味、関心)の特徴 

②こだわる、集める、並べる 

 年中児が森で遊んでいる様子を見ていますと、一つのものにこだわる、こだわった物を集める、集めたものを並べるという特徴が見られます。そうしながら、現実と物語の世界を行きつ戻りつして遊んでいます。

深い森の中には、子どもたちへの贈り物がたくさん落ちています。椿の花がポトリポトリと落ちていたり、くちなしの花びらがポツンと落ちていたりします。秋が深まってくると赤や黄、茶色の落ち葉と一緒にドングリの実が大小様々丸いのや長いのがそこらじゅうに落ちています。

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 この日は、Hちゃんのグループが黄色い葉っぱを集めて遊んでいました。「先生、黄色い葉っぱきれいでしょう。」「そうね、きれいな黄色やね。」「お船みたいなかたちでしょう。」「ほんとね、お舟みたいやね。」「そうでしょう。」「Hちゃん、赤い葉っぱもきれいだよ、ほらっ」と私が手にとって見せると「そうね」という顔を見せるだけでした。

そして、「Rちゃん、黄色い葉っぱ集めよう。」「そうしよう」とRちゃん。「あ、あそこにあるよ」とHちゃん。「あっ、ここにもあるよ」とちょっと離れたところからYちゃんが届けてくれました。

石を台に見立てて、MちゃんとKちゃんが集めた葉っぱを並べ始めました。「ねー、黄色い葉っぱってきれいでね。」とKちゃんが言います。Rちゃんが小さい棒を持ってきて、「これでバーベキュー作ろう」と言い、そうしようと6人で作り始めました。「先生、バーベキューいりませんか。」「おいしそうだから頂きます。いくらですか?」「いくらにする?」などとやり取りが始まりました。

途中で私が「赤い葉っぱのも欲しいなー。」と言うと、「今日はありません」とHちゃんが言い、みんなも「今日はありません」と言います。なぜ、他の色はいけないのでしょう。そういえば、Iくんのグループはドングリばかり集めて遊んでいるようです。それも同じ形、同じ色のどんぐりばかりを集めています。拾ってきたドングリを道の斜面に並べていたNくんが「ねね、このまんま行きよったら魔法使いの家に行くがやない?」と言い出しました。

「お菓子の家が見つかるかもしれん。」とTくん。「そうで!」とNくん。FくんとOくんとSくんはドングリを磨いては並べる動きを黙々と続けていましたが、5mほど並べたときFくんが「もし夜になって帰れんなったらどうする?」と言いました。「ドングリがあるきわかる」とOくん。「けんどリスが食べたらどうする?」「大丈夫で、園長先生がこの森にはリスがおらんて言いよった。」5人は、安心したようにほっと息をつき、また並べ始めました。

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 年中児は自分の姿、形、生活の仕方を通して対象物を見、それにこだわって、集める、並べるという動きがよく見られます。その関わりのなかで、様々な違いに対する興味、関心を深め、広げています。

したがって、その関わり方に虚と実が入り混じっていることもよくあります。また友だち同士で驚きや発見を共有する喜びも味わうようになっていて、そうした関係が知る喜びを深めていることもわかります。

対象物にこだわる分、様々な特徴に気づき、とても熱心な様子で質問をしてくるので、よっぽど知りたいのだろうと推察し、知っている限り丁寧に答えるのですが、フーンと受け流すような答えが返ってくることが多く、拍子抜けしてしまいます。

きっと、大人が知っていると思うからこそ問うのでしょうが、返ってきた答えをどんなふうに自分の中に位置づけたらいいのかわからないのでしょう。全く別の場面で思い出したり、「さっきのよー。」ともう一度同じ質問をしてくることがよくあります。年中児が自分なりに咀嚼し、消化できるまで、繰り返される質問には丁寧に答えていく必要があります。

 

 

このようなこだわりを見せる年中児の表現活動は、全体をバランスよく描くよりも、ある部分をリアルに描く傾向があります。まるで本当に動き出すかのような生き生きとした描写は、観る者に驚きや感動を与えてくれます。

 

HN:ちるどれん  

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連載第3回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・知的好奇心を育む(その3 年中児の知的好奇心)

2011年03月25日 | 携帯からの記事

連載第3回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・知的好奇心を育む(その3 年中児の知的好奇心)

           高知市若草幼稚園 園長 岡林道生 執筆 〔『保育の実践と研究』(第15巻第4号)より転載〕


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3.知的好奇心を育む 

(3)年中児の知的好奇心(興味、関心)の特徴

 

①自分の姿、形、生活の仕方を通して、興味、関心を持つ

 

 年中児になると、年少の時に比べて色々なことに気づいてよく質問してくるようになります。その年中児の質問には特徴があって、自分の姿、形や生活の仕方を通して質問してきます。 

A「先生」

T「なんですか?」

A「あのよー」の後、しばらく間があくので、

T「うん?何?」

A「あのよー」

T「何?」

A「先生、」

T「何を聞きたいが?」

A「あのよ、先生、イチョウの木は葉っぱを落としてしまうろう。」

T「そうね、秋になったら黄色くなって落ちてしまうね。」

A「なんでかなー。僕は寒くなったら洋服今よりもっと着るでねー。イチョウの木は服を脱いでしもうて、寒うないろうか。」

T「ほんとうね、寒うないろうかね」

と、こんな具合です。

ある時、森を奥へ進んだ谷川の手前でMくんが念願のカブトムシを見つけました。大喜びです。「みんなー、カブトムシがおったでー。」と知らせ、男の子数人が飛ぶようにしてかけつけました。

カブトムシがいることはわかっていましたが、なかなか見つからないで本当にいるのかどうかも疑っていたくらいでしたから、先生も駆けつけました。あまり大きなものではありませんでしたが、正真正銘、オスのカブトムシでした。ワイワイガヤガヤいうなかで、見つけたO君くんがカブトムシをひっくり返し、「どれが手?」と言い出しました。

S「えっ、足が6本で。」

M「けんどよ、僕には手と足がある。カブトムシにはなんで手がないがよ。

  先生、手が本当に無いが?」

S「無い。無いがよねー。人間と違うき。」

M「カブトムシはよ、ケンカするとき、どんなにするが?」

S「ケンカする時は、前足を使うが。」

M「えっ、蹴るが?」S「違うで、掴むがで。」

M「ほら、掴むがやったら手やんか、ねー、先生。」

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と、同意を求めるMくんの横でSくんが「ウーン」と考え始めました。カマキリを見つけたときも、MくんとSくんの仲間は、大人か子どもかオスかメスかで喧々諤諤です。

「大きいき、お父さん。家で一番大きいもんね。」「僕、もっと大きいカマキリ見たことあるで。お母さんやない?」「お母さんやったらお腹が大きいで。」「えっ、けんど僕のお母さんはお腹大きくないで。」「やっぱり子どもやない?」「子どもやったら、もっと小さいで。僕らーと同じくらいやない?」「えっ、そしたら若草幼稚園に行くが?」「行くわけないやん、虫やき。」「けどここは若草幼稚園の森でね。」「やっぱり僕らーと一緒くらいの年でねー。」とへんな納得の仕方に吹き出すしかありませんが、年中児の疑問や質問、互いの会話の多くは、このように自分を通して行われます。

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連載第3回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・知的好奇心を育む(その2 年少児の出会い方)

2011年03月25日 | 保育所・幼稚園

連載第3回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・知的好奇心を育む(その2 年少児の出会い方

           高知市若草幼稚園 園長 岡林道生 執筆 〔『保育の実践と研究』(第15巻第4号)より転載〕

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3.知的好奇心を育む 

(2)年少児の出会い方

②身体を通して出会う 

 年少児は、初めてのときよりも二回目、三回目の方が「森のお約束」を集中して聞くようになります。「森」という場所を侮ってはならないということを肌で感じ、自分の身を守るためにルールは守るべきだと思うようになるのでしょう。それと同時に、目や耳や身体は森へと開かれ、さまざまな出会いを楽しむようになります。 

 

 三角広場には、草群が残されています。そこには、野の花が咲き、多くの虫たちが住んでいます。初夏から秋の終わりにかけて、ここでは生き物との出会いや発見がたくさんあり、子どもたちの好奇心はくすぐられて止みません。 

 

 年少児の様子を見ていますと、興味を持った対象物の名前を積極的に知ろうとしたり、大人の言葉に反応することが少ないように思います。例えば、すくすくの森にはビオトープがあって、色々なトンボの生息地になっており、真冬近くまで飛んでいます。

 

Kくんは、虫が大好きで、この日念願のトンボを捕まえることができました。嬉しくて嬉しくて仕様がありません。「先生、見て見て、トンボ捕まえたで。」と大喜びです。私も彼がトンボを捕まえるために奮闘しているのを見ていましたから、「よかったねー。」と一緒に喜んでいると、お母さんが走り寄ってきて、「ね、ね、Kくん、これ、シオカラトンボよ、シオカラトンボ。」と教えてくれました。

 

しかしKくんは「何言ってんだろう」という顔をして、トンボを顔の横に持っていき、ニコッと笑って走り去っていきました。Kくんのお兄ちゃん、年長児のRくんなら、「先生、シオカラトンボ捕まえたで、オオカラシオとは色が違うし大きさも違う、これはシオカラ」と教えてくれるだろうなー、と思いながらKくんの去っていく後姿とガックリされたようなお母さんに笑顔を向けていました。 

 

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Uくんは、以前はあまり虫が好きではなく、ダンゴムシを見せられて触ってごらんと言われても後じさりしていましたが、この日は草群に足を踏み入れ、次々飛び出す虫たちに誘われて、追いかけていました。

 

バッタがピョーンと飛ぶと同じようにピョーンと飛んで追いかけ、次にイナゴがピョンと飛ぶと同じようにピョンと飛んでいます。コオロギがピョンピョンと飛ぶとUくんもピョンピョンと飛ぶのです。誰かが「バッタ飛んだで」と言うのを聞いてから、Uくんは草群から飛び出す虫を全部「バッタ、バッタ」といって追いかけていましたが、その虫を捕まえようとする手や足や身体の動かし方は、バッタやイナゴ、コオロギの飛び方にそっくりです。まるでUくん自身が虫になったようで、とても面白くて目が離せませんでした。

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年少児の出会い方と言うのは、相手の動きに同調するという特徴があるようです。模倣するといってもいいかもしれません。自然と相手の動きに自分の身体を合わせているのです。

 

Yちゃんは蝶々が好きで、いつも蝶々を目に留め、追いかけます。蝶々が荻の花に止まると、Yちゃんも立ち止まってしゃがみます。そして、蝶々が飛び立つとYちゃんも蝶々のように高く低く一緒に飛んでいくのです。Hちゃんは、萩の花が風に揺れるのに合わせて、座ったまま身体を左右にゆっくりと動かしていました。まるでHちゃんが、風で揺れる花のように見えます。 

 

年少児は虫になり、蝶になり、花になり、風や雲になってそのものと同調し、親しみを持っていくなかで知的好奇心の扉を開いていくように思います。だから、「これは何?」とあまり質問してくることはありません。

 

対象物をじーっと見つめて不思議そうな顔をしているので、名前を教えたり何故なのかを話してみても、唯見つめ返されることがよくあります。こんな時、まだ知的好奇心というものはないのだろうかと考えたりしますが、そうではないのです。年少児には年少児の出会い方というものがあるのだと思います。 

 

ある時、園庭の藤棚の藤の幹にとりすがって年少児のTくんが「園長先生、僕、何か、」と尋ねてきました。「ウーン」と頭を傾けていると、「鳴くで僕、ミーン、ミーン。」「Tくん、セミ?セミやろう」「そうそう」と、せみになって遊んでいました。(クマゼミやアブラゼミとは言いません。)

 

またある時は、画用紙で作った大きな鎌を手につけて、「カマキリだぞー」と園庭を走り回っている姿もありました。新聞紙で6本の足を作って背中に貼り付け、自分の手を合わせて8本足のクモになって遊ぶ子どももいます。このような姿を見ていると、本当に年少児というのはおもしろいなと思います。

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連載第3回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・知的好奇心を育む(その1 子どもと知的好奇心)

2011年03月25日 | 保育所・幼稚園

連載第3回 若草幼稚園「すくすくの森」と子どもたち・・・知的好奇心を育む(その1 子どもと知的好奇心)

            高知市若草幼稚園 園長 岡林道生 執筆 〔『保育の実践と研究』(第15巻第4号)より転載〕

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3.知的好奇心を育む  

(1)子どもと知的好奇心 

 人は皆、知らないことを「知りたい」という欲求や「知る」ということの喜びを持っています。周りに起こる事象に興味や関心を寄せて、なぜだろう、どうしてだろう、と考えます。 

 

そして、人に聞いたり、図鑑で調べたり、様々な方法で知的好奇心を満たしていきます。知らないもの、知らないことに出会う喜び、なぜ、どうしてを考える楽しさ、調べる時の期待感、わかった時の満たされた感情は、また新たな探究心を育みます。その繰り返しは、生きる喜びの一つと言っても過言ではないと思います。 

 

 すくすくの森には、季節の移り変わりの中で起こる事象の変化やそこに暮す多くの動植物との出会いがあります。行く度に、「これ何?」「あれは?」「どうして?」が繰り返されます。 

 

すくすくの森では、年少児も、年中児も、年長児も表現の仕方は違うものの、知的好奇心に促されて身体も心も躍動しているのが良く分かります。そして、年齢を重ねる毎に、知的な働きは深まりを帯び、広がりを見せるようになります。

 

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(2)年少児の出会い方 

①言葉にならない出会い 

今日は、すくすくの森に行く日だと先生や保護者から聞いていても、最初は、何のことか想像もつきません。けれども子どもたちは、先生の声の調子やバスに乗って行くことですくすくの森には、楽しいことがありそうだと感じているようです。

 

バスを降りるとセンダンの木の下に集って、先生から「森のお約束」を聞きます。でも、何のことを話しているのか、余りよくは分かっていないでしょう。初めて見る森の景色にびっくりして、四方をキョロキョロ見回し、落ち着きのない子どももいます。 

先生の話が済むと、森では一番平坦な三角広場へと進みます。子どもたちは、新しい物や出来事に出会うと、まるで呼吸を忘れたかのように息を呑み、目を瞠ります。何も言いません。唯、驚くばかりです。 

 

Mちゃんは、保育室でも園庭でも新しいことに出会うと興味を持ってよく見、よく質問してきます。そのMちゃんが、びっくりした様子で指をさして、じーっと見つめているものがありました。何だろうと近寄っていくと、大きなムカデが斜面を登っていくところでした。「ムカデやねー。」と私が言うと、「ムカデ?」と首をかしげて問い返し、「そう、ムカデ。」と答えると「ふーん、ムカデ」とつぶやいて、その動きから目を離しませんでした。赤黒い大きなムカデは、ゆっくり、ガサゴソと草むらの中に消えて行きました。Mちゃんは、「フー」とため息をつくとその場を離れ、日のあたる方へ駆け出して行きました。 

 

離れて見ていると、また立ち止まり、しばらくすると動き始め、また立ち止まるということを繰り返しています。Mちゃんは、この日何度目を瞠り、息を呑み、ため息をついたでしょうか。きっと休む暇もなく驚き続けたに違いありません。Mちゃんの経験は、どの子どもの経験でもありました。

 

お昼ごはんを食べる時や帰りのバスの中で「楽しかったですか?」と聞くと数人が「楽しかった」と答え、「恐かったですか」と聞くと数人がこっくりと頷き、「びっくりしましたか?」と聞くと「びっくりしたー」とMちゃんや元気な男の子が答えてきました。そして、「また来たいですか。」の質問に、先生の手を一時も離さなかったKちゃんも「また来る。」と小さい声で答えました。初めての森は年少児の子ども一人ひとりに大きなインパクトを与えたようです。

 

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第1回 平和団地 こどもとお年寄り・大人の交流フェスティバル みんなで楽しみました

2011年03月03日 | 県内の子どもイベント情報

おつきあい  No.237 2011.3.1  平和団地 自治会会報 よりの抜粋です。http://blog.goo.ne.jp/heiwafc

 

平和団地・中央公園 遊具設置記念

第1回 平和団地 
こどもとお年寄り・大人の交流フェスティバル

 みんなで楽しみました

とき  2011年 2月27日(日)    10時から14時 

 

 

 

朝早くから、また前日からの準備があって、みんなが楽しむ事が出来ました。子ども達の笑顔のためにお世話いただいた皆さん、ありがとうございました。

 

天気にも恵まれ、坂本安広さんの明快な司会でフェスティバルがオープニングです。、実行委員長の久保宏道さん、柴田・自治会長の挨拶があり、続いてこのイベントの安全担当者、藤原重幸さん・岡内雄幸さんが紹介されました。

 

高知市みどり課の森本さんから、遊具の説明がありました。前日の中央公園は、子ども達が沢山集まって遊んでおり、あんな光景を見たのは初めてでした。子ども達への素晴らしい贈り物になりました。大人も使える健康遊具もありますよ・・・

 

 

お年寄りに教えてもらいながら、マイハシ・マイコップづくり。子どもたちの目も大人たちの目も、輝いていました。事前に、竹を取りに入ってくれた皆さんをはじめ、陰の力がいっぱい詰まっていました。

 

もちつき・あんこ入れなどにも挑戦!失敗したので、自分で食べる・・・そんな子どもの姿もありました。

 

 

ハガマでご飯を炊いておにぎり作り、おこげが美味しかった。シシ汁・ブタ汁・ぜんざいもお代わりしている子どもも・・・災害を想定した、炊き出しの訓練でもありました。焼いもは、大人も子どもも憧れのメニュー。関わった人のいろんな工夫が重なって、実に美味しく焼けていました。

 

 

手作り楽器「モリーネ」の演奏、小松広昭さんほか団地内のメンバーが中心で、いつも楽しい音色を聞かせてくれています。

 

手作り紙芝居で有名な、漫画家でもある香美市の「おかもとあつし」さんに来てもらいました。さすがにプロだけあって、子ども以上に大人がくぎ付けになっていた場面でもありました。大人にとっても懐かしい紙芝居でした。

 

 

元高知市消防長の505番地・山中次男さんのお世話で、消防車や救急車に来てもらい、災害時の取り組みや子ども達の体験も出来ました。

 

団地の入り口の二人のおまわりさんもパトカーで来てくれて、団地入り口で頻発する交通事故など、交通安全の話や「ふりこめさぎ」予防などについて話していただきました。

 

 

 

「金ちゃん工房」の正岡さんが、子ども達が使う竹引き鋸やナイフなどを持参して、手作り遊具の一端を展示し、子ども達を楽しませてくれました。また、いの町吾北の伊藤さん親子が、イノシシ肉や蒔き・焼いも用のイモと炭窯で出来た灰、炭などを持参して焼いも作りなどを応援していただきました。内の谷の長崎さんは、竹馬や竹トン部など手作り遊具を持参してくれました。放送関係は、「鏡川こども祭」の実行委員長でもある森田俊彦さんが応援に来てくれました。
団地外とも交流を交流を広めながら、来年も楽しい"子どもとお年寄りを中心にした祭"が出来ますように!

 

全員で後かたずけをしてから、その場で実行委員会のスタッフほかの皆さんで、少しのどを潤しながら反省会をしました。天気に恵まれ、事故もなく終わった後の満足感と、初めての手づくりの取り組みで、参加者と共に楽しかった祭を、各人が話されました。素晴らしい交流の場でもありました。みなさんお疲れ様でした。

 

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羽迫博己の、森のようちえん・・・その考え方と目的(その9)

2011年02月05日 | 個人会員でーす

羽迫博己の、森のようちえん・・・その考え方と目的(その9)

ごっこあそび

「想像力」は「思いやり」の力
 
  想像力と空想力は、人間社会で生きるために
    大変重要な力です。

  これが欠落していれば、友達の苦しみを想像して
    やったり、空の向こうで起こっている問題に
    ついて考えることが出来ないからです。

  そうした重要な力が備わるのは、子どもの頃
    でないと育ちません。

  森林という場には、想像と空想を促し、
    創造力を育てるための十分な環境が
    用意されています。

想像力は五感から

100年後にこの樹はどこまで育っているかしら

想像力・空想力は現実的には必要のない
    能力だと思われがちです。

  でも、逞しい想像力は世界の出来事に目を
    むけて、色んな問題について考えたり、
    その解決方法を想像したり、そしてそれを実行
    するために重要な力だと思います。

 

 

               高知市神田のアジロ山で遊ぶ子どもたち 

 

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羽迫博己の、森のようちえん・・・その考え方と目的(その8)

2011年02月05日 | 個人会員でーす

羽迫博己の、森のようちえん・・・その考え方と目的(その8)

 

新しい自分さがし

 多様な刺激は、多様な扉を開きます。

  今まで、ただの葉っぱだと思っていた木の葉に
    様々な形があること。

  また、それに興味を持つ自分がいる。
    親が虫嫌いだからと接することの無かった
    昆虫の不思議さに心を奪われる。

  こどもの心をノックする要素は、森林の中に無限
   に散りばめられてあり、心を刺激させるのには、
   最適な場所と云えるでしょう。

  新しい発見は、自分の中だけで起きるものでは
   なく、周りに変化も起こさせします。

  例えば、いつもは話をしない子同士が虫を
    きっかけにお互いを知り、仲良くなったりとか、
    周りの子ども達や大人に意外な気づきを
    もたらすはずです。

わたしって、こんなに働き者だったかな?

想像力・空想力は現実的には必要のない
    能力だと思われがちです。

  でも、逞しい想像力は世界の出来事に目を
    むけて、色んな問題について考えたり、
  その解決方法を想像したり、そしてそれを実行
    するために重要な力だと思います。

 

ジョハリの窓

ジョハリの窓とは、自分をどのように公開し、隠蔽するか、コミュニケーションにおける自己の公開とコミュニケーションの円滑な勧め方を考えるために提案されたモデル。

 

               高知市神田のアジロ山で遊ぶ子どもたち 

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羽迫博己の、森のようちえん・・・その考え方と目的(その7)

2011年02月05日 | 個人会員でーす

羽迫博己の、森のようちえん・・・その考え方と目的(その7)

自然の協調性

自然の中でさらけ出される人間の
   本質は、普段とは違う人間関係を
               つくりだします。

  森林の中では、自然の事象を中心にして、自然に
    子ども達の輪ができます。

  虫が好きな子、花が好きな子が集まったりと、
    自然なことなのです。
  また、急な上り坂ではお互い声を掛け合ったり、
    危険な場所では手を貸してお互い助けあったり
    といった姿は自然に見られるようになります。

  自然の中では、お互いを思いやる・
    助け合う気持ちが生れるようです。 

みんなで一緒に、協力しないと解決できない。

自分では処理できない事態の発生を別の人の
     能力を頼って解決するわけです。

  そうした必要性から、
     森林ではより広く深い関わりを、周囲の
     友達と作ろうとします。

                高知市神田のアジロ山で遊ぶ子どもたち

 

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