コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

良い知らせ。

2009-06-15 08:49:14 | 
近頃こんなに嬉しい事はない、と言うくらい嬉しいです。


嘗て、「日本古典文学会賞」と言うのがありました。
私は色物研究者なので無縁ですが、お世話になった先輩たちが受賞し、研究会仲間が受賞し、後輩たちが受賞し……。
改めて受賞者リストを眺め、本当に、この賞の質は高かったなぁ、と思います。

どういう経緯なのか、世間に疎い私にはよく判らないのですが、それが、国文学研究資料館に引き継がれて「日本古典文学学術賞」になり、今年が第二回。

その、栄えある賞を同僚、岡崎真紀子先生が受賞することになりました。

受賞作品『やまとことば表現論 源俊頼へ』は、静岡大学に着任してからの出版ですが、論文が書かれたのは勿論就職前で、我々に取っては採用人事のために読んだあれやこれやの集積でもあり、感慨もひとしお。

和語による言語表現史上、
変革期ともいうべき院政期に、
ひときわ異彩を放つ、
源俊頼の歌や叙述を読み解くことから、
院政期の言語状況を明らかにする。

和語によって文学が生み出され
享受されるとは
いかなることであったのか。


我ハ歌ヨミニハアラズ。歌ツクリナリ。【源俊頼】



前に、SPAC講演会の岡崎先生のお話を「まさに岡崎学」と書いたのは、古典を継承しつつ、新しい表現を生み出す力学を、演劇の中に見ようとする“手続き”のことを言ったわけです。

理解力が足りず、「違いますよ」と言われそうでこわいので詳述はしませんが、岡崎先生の仕事は、やまとことばによる文芸が成熟した院政期に、それまでの和歌・物語、あるいは中国由来を含む説話などの蓄積を踏まえながら、新しい表現を“作る”という、自覚的な営みの現場を、本当に丹念に浮き上がらせています。

作品研究とか、作家研究とか、“カルスタ”とか、そういうんじゃなく、まさに“言語文化”。
しかも、受容と表出が表裏一体であるという、今求められている課題に直結する物でもあり……。


でもほんと、王道の古典文学もちゃんと教え、こういう質の高い最先端の研究も扱ってくださる岡崎先生の存在は、言語文化学科だけじゃなく、静岡大学にとっても大きな意義があるんじゃないかな、と。

学生達の中にも“古典回帰”の流れが確実に見えてきている感じで、日文専攻が増えているのも、“岡崎効果”じゃないかと思います。


いやぁ、嬉しい嬉しい。
おめでとうございます。



*おめでとう、といえば、ゼミ生がコピーライターデビュー

こっちもお祝いしなきゃね。

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