コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

不謹慎芸術を巡るメモ

2010-06-27 23:14:20 | 
私は、ここでも、授業でも繰り返し言っているように、文学を含め、芸術に「倫理的な正しさ」を求める考えには賛同していない。“真善美”は、それ自体虚構だ。

とはいえ、私が、どんな“芸術表現”も許容するか、というと、そうでもない。


6/27、朝日新聞朝刊に、

アート作品「バッタもん」 ヴィトン社抗議で展示中止
という記事。
神戸市立の神戸ファッション美術館(同市東灘区)に展示されたアート作品が、高級ブランドのルイ・ヴィトン社からの申し入れで撤去されていた。京都市の美術家、岡本光博さん(42)が、にせ物のはんらんする現代社会をテーマにした作品「バッタもん」で、同社が「素材がコピー商品」と指摘したためだ。

 「バッタもん」はバッタの姿をした40センチほどの立体作品。ルイ・ヴィトンなど5社のブランドのロゴマークや柄が使われた9体が撤去された。4月15日から今月27日まで開催中の「ファッション奇譚」展に出品されていた。

 ルイ・ヴィトン社は5月6日付で美術館と岡本さんに文書を送り、作品は商標権を侵害するコピー品で作られ「偽造品の販売という犯罪行為を肯定する」などとして展示中止を求めた。美術館を運営する神戸市産業振興財団は翌日、撤去を決定した。美術館の久保利洋二事務長は「展示自体は商標権の侵害とは言えないと考えている。だが、企業と争いながら展示を続けるのは本意ではない」と話す。

 岡本さんは同社の指摘に対し、「営利目的のコピー商品と同列に論じるのはおかしい」と反発。ただし、「作品は大量消費社会におけるオリジナルとコピーの関係を考えさせるもの」として、素材がコピーか本物かは明らかにしていない。美術館の対応についても「企業に言われて、すぐ作品を撤去する姿勢は残念だ」と話す。ルイ・ヴィトン社は「この件の取材は受けない」としている。(小川雪)


これは、ヴィトン、大人げないだろう、とおもう。
とはいえ所謂コピー商品を購入していれば、それはやっぱり犯罪。作者も、「素材がコピーか本物かは明らかにしていない。」のは良くなくて、本物使えば文句は言われなかったんじゃ無かろうか。それでは意味がないのかな。
赤瀬川偽札事件の新しい展開?


26日には、
芸術?悪ふざけ? 若者6人「チンポム」初の作品集という記事。
ちょっと長くなるが、これもリンク切れになると困るので引用します。
 ここ数年、ストリートアートの話題を独占した感のある6人組、Chim←Pom(チンポム)が初の『チンポム作品集』(河出書房新社)を発表した。作品には「社会に揺さぶりをかけよう」といった政治的な意図も見え隠れするが、悪ふざけに見えなくもない。挑発アートの旗手、いったい正体は何なのか?

◇渋谷のネズミ剥製

 【事件簿1】2006年11月、東京・渋谷のセンター街に6人の若者が現れ、夜の繁華街で大型ネズミを捕獲した。ネズミを剥製(はくせい)にして黄色のスプレーを塗りつけ展示。作品名「スーパーラット」。赤い頬(ほお)の不気味な剥製は、どうみても日本が世界に誇るアニメキャラの……。

 リーダーの卯城竜太にエリイ、林靖高、岡田将孝、水野俊紀、稲岡求の6人チームは、現代美術家の会田誠の周辺に集まっていた学生、バンドマンたち。思いつきに近いアイデアを5人のメンバーで時には徹夜でたたき、最後に“美神”エリイにプレゼンテーション。「面白い/つまんない」と一刀両断されて採否が決まる。

 忌み嫌われるネズミも、剥製にして色を塗ったら「Kawaii」キャラか? ほかにも渋谷の上空にカラスの大群をおびき寄せた作品「ブラック・オブ・デス」など、皮肉な視線や死を扱ったテーマが目立つ。林は「過激なようだけど、商店街とも警察とも、もめたことはない」。水野も「ネットで動物保護団体に批判されたことはあったけど。でも直接抗議にはこないね」と話す。

◇広島上空でピカッ

 【事件簿2】08年、広島の原爆ドーム上空で「ピカッ」という文字を飛行機で描いた。新聞などで批判にさらされ、リーダーの卯城竜太は謝罪会見を開く。

 一部からは謝罪会見を開いたことを、「腰が引けてる」と二重に批判された。だが卯城は「作品自体を謝ったんじゃない。人を傷つけたのだとしたらそのことを謝罪した」。メンバーは、被爆者団体を回った。「新聞はたたくばっかだったけど被爆者団体の方が『一回の失敗でくよくよするな』と励ましてくれたね」と岡田が言う。

 ふざけているようで、社会性の強い作品が多いのも特徴だ。「アイムボカン」では、内戦で多くの地雷が残され、犠牲者を出しているカンボジアを訪れる。地雷で吹き飛ばしたのは高級ブランドのバッグや財布、プリクラ帳……。

 ギャル顔のエリイがどすのきいた低音ですごむ。「私ら、一本筋を通していることがあるんすよ。それは、身近なもので心にキャッチされたことだけを作品にすること」。卯城が補足した。「カンボジアや広島が“身近”になっちゃうのは、みんなで話し合うから。表面的な〈今、ここ〉じゃない。世界の中の〈日本〉、過去からつながっている〈今〉になる」

◇穴から露出し続け

 【事件簿3】全裸で公園で騒ぎ、スマップの草なぎ剛が公然わいせつの疑いで逮捕された直後。天井も壁も真っ白に施工したギャラリーに穴を穿(うが)ち、水野が穴から男性器を露出し続けた。

 作品に共通するのは規制が厳しくなる一方の社会への「おちょくり」、馬鹿馬鹿しいユーモアによる批判精神だ。だが卯城は「挑発は重要だけど、何かへの抗議目的で作品を作ることはない」といなす。「面白いことしようとしたら、どうしたって社会性、政治性が出る。レコードのA面、B面みたいなもんでしょ」

 8月、東京都江東区の「SNAC」で個展を予定している。(近藤康太郎))


チンポムという名前ですぐに思い出せなくても、記事を読めば「ピカ!」で物議を醸した現代アート集団、というので、あれか、と思い出す人も多いはず。
しかし、最近この集団は別の「事件」との「関わり」で話題になったばかり。

首都大学東京(書くのを躊躇うくらいひどい名前だ)の現役学生が「ドブスを守る会」という活動で退学処分になった事件(大学公式発表)。

後ろで支援している(という噂の楠見清という、美術手帳の編集長までした准教授がチンポムとも関わりがある(らしい)とか(*この件の情報は2chなどの無責任な関連づけも引っかかってくるので、要注意。)。

他人事と思えないのは、この教師が、現在停止中のツイッターの自己紹介欄で
学生映像作品を批評したツイートが一部誤読を招いてしまったことを受け、暫時ツイートを控えます。ちなみに私は彼らの教官ではなく新作の制作も知らずに旧作「未来の『何か』の為に」だけを閲覧して感想をツイートした以上の関わりはないのですが、これを機に本当の担当教官とともに誠実な対応を考えているところですのでどうかご容赦下さい。
という“釈明”をおこなっていること。
自分が同じ立場だったらどうするだろう。
私も、スケールは小さいけれど、反社会的な行為を扇動するような発言はしているんじゃないかと思う。
では、自分の周りの学生が、実際に今回と同じような行動をしていると知ったらどうするだろう。
実際に、“ドブス”は、面白くないのでやめさせると思うけれど、もっと巧妙な物だったら?
実際にバッタもんを購入して材料にするのは犯罪。人を殺すのをアートだ、といわれたってそれは認めるわけに行かない。
そう言う解りやすい物ではなくて、“倫理的・道徳的”にイカン、という物に対して、自分は、国立大学の教員として、一個人として、どう向き合うべきなんだろうか。


結論は出ない。

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