コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

愛でたい無駄。

2009-07-09 23:32:00 | 
無理矢理感想文シリーズ。

相変わらず順不同です。
すいません。


SPAC春の芸術祭2009、最後に見たのがこれ。

スカパンの悪だくみ
 演出:オマール・ポラス
 作:モリエール
 出演:テアトロ・マランドロ

swissinfoの紹介記事が割と詳しい。


これを結びにして良かった!
まさに“大団円”。

ドタバタ、大げさなアクション、客いじり。
愉快な歌と踊り。
貴族社会の風刺。
予定調和。
そういう楽しい要素が色々詰まって他愛もない幸福。


あんまり言及されてないように思うのだけれど、実際に客席にいた人たちは、ストーリー展開や細かなセリフよりも、そういう“粗筋”からは排除されてしまうような“無駄”で、大いに笑っていたのではないかな、と思う。

俳優たちは、準備段階で全部の役を試し、色んなアイデアを出し合ったと言う。
その、ちょっとしたいたずらが随所にある。
仮面だけではない、顔の造作も服装も、まるで人形劇かアニメのようだし。

一見つまらない事の反復と変奏。
あ、変装。
ウェイトレスはどんどん入れ替わり……。
ウェイトレスで思い出したけれど、あの、ラジオやジュークボックスへの反応やら、主筋と関係ない時のカウンターの中やら、そういう、“余白”が、びっしり埋め込まれていて、セットそのものも含め、どこを観ても楽しい。
終演後の大騒ぎや、仮面を取った役者たちの面立ちも、何を観ても愉快。


ハチャメチャだけれど下品にならず、親子で楽しむ絵本のように、そこにもここにも仕掛が潜む。
そういうあれやこれやに気づく愉しみがあふれている。

これこそが祝祭。


やたら評判が良くて見なかったのが悔やまれるオリヴィエ・ピィのグリム童話は、レッキとしたオトナの芝居(池内紀)なのだそうだけれど、こっちは、童話、というか、子供絵本のようなモリエールだった。


“レッキとしたオトナ”になんかなりたくないね。


【7/10 8:25 加筆】
これから『春色梅児誉美』の授業なので書き忘れてたことを思い出した。
こういう他愛ない予定調和は『夏の夜の夢』にもあるし、小道具で知れる隠された過去の因縁、というのは『フィガロの結婚』でも『白波五人男』でも良いんだけど……もちろん、『梅暦』も。
ほんとに、どこにでもあるんだなぁ、と。
で、モリエールはきっと早いんだろうな。

誰が発明したんだろう。

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