ハワイには、
プウホヌア<pu'uhonua=逃れの地> と呼ばれる聖域があります。
最も知られている場所は、ハワイ島・南コナにあるプウホヌア・オ・ホナウナウ。
国立公園でもあり、多くの観光客が訪れる場所。
かつてハワイの人々は、カプ(タブー)を守り、生活していた。
もし、カプを破った者は、必ず死をもって償わなくてはならなかった。
ただし、、カプを破っても生き伸びる方法がひとつだけあった。
それは、誰にも捕まらずにプウホヌアへ逃げ込むこと。
命がけの難しい条件だが、それでも生きて辿り着ければ、
カフナ(司祭)から禊の儀式を受け、また家に戻りやり直すことが出来た。
そんな、
古代においては、プウホヌアと呼ばれた場所が、ヒロにもありました。
そこは、ヒロ湾に浮かぶ小さな島。
マナが強く、
カフナ(司祭)は、この島のヒーリング・ストーンで病人を癒したり、
この島で生まれた赤ん坊に、出産用の石でマナを吹き込んだりしたそうです。
また、健康をもたらすといわれる湧き水もあるとか。
モクオラ<Mokuola=生命の島>と呼ばれる、通称ココナッツ・アイランドです。
ぼくたち夫婦は、そんな伝説の聖域を訪れてみることにしました。
2010年1月1日:午後1時20分
ケンズ・ハウス・オブ・パンケーキで昼食を食べた直後なので、
腹ごなしにリリウオカラニ公園前から散策です。
手前の岩場では、子供たちが魚釣りをしていました。
その向こうに見える小さな島がモクオラ。
「うん?なんだろう?」
どこからともなく風に乗って聞こえてきたのは、ホイッスルの音。
何かスポーツ大会のようなものでも開かれているのだろうか?
それにしては、
「ピッ、ピ~ピッ! ピッ、ピーピッ!
ピッピー、ピッピー、ピピピ!」と、やけにコミカルなリズム。
不思議に思いつつも、島に向かって歩いて行きます。
この辺りは、
ジョギングやウォーキング・コースにもなっていて、
ぼくたちの傍らを、ジョガーが颯爽と駆け抜けて行きます。
島に近づくにつれ、次第にホイッスルの音が大きくなってきました。
間違いなく、ココナッツ・アイランドの中から聞こえてきます。
およそ、ぼくたちがイメージしていた聖域には不似合いなそのホイッスルの音を辿るように、
島へと続く橋を渡ってみると・・・
なんと、そこでは数人の地元の男性陣が、
上はTシャツ、下はMalo(腰布)を巻いて、クリケットに興じていました。
しばらくその様子を見てみることに。
しかし、クリケットらしいことは分かりますが、そのルールがまったく分かりません。
ピッチャーらしき人がボールを投げ、それをバッターらしき人が打つようですが、
何が良くてで、何がダメなのか、さっぱりです。
しかも、、ワンプレーごとに、ひとりがホイッスルを吹き鳴らし、
それに合わせて他の男たちがコミカルに踊って見せます。
やや離れた木陰からは、彼らの家族が笑いながら声援を送っています。
何が何やら分からないけれど、のどかな風景であることは確か。
楽しげな彼らの邪魔にならないよう、遊歩道に沿って島を一周してみることに。
次にぼくたちの目に映ったのは、
何か石積みの台から海に飛び込んでいる子供たち。
高さは3、4メートルくらいあるだろうか。
数人が順番に並んでいて、ひとりずつ飛び込んでいます。
「子供って、こういうこと飽きないよね。」
何度も繰り返し飛び込んでいる子供たちを見て、妻が言います。
確かに、子供の頃って、
単純な遊びを飽きずにいつまでも続けられたなぁと、自分を省みても思います。
「不思議と飽きなかったんだよなぁ~。」
入り江では、飛び込むには幼い女の子たちが浮き輪で泳いでいたり、
スタンディング・パドル・ボードで島の周囲を回る若者たちがいたりと、
思い思いに楽しんでいます。
かつては聖域だった島も、時代とともにそんな雰囲気は薄れ、
憩いの場として親しまれる公園となっていました。
残念ながら、頭に思い描いていた雰囲気とは違っていましたが、
それでも、湧き出る水に少しだけ触れ、聖域の名残りを感じつつ島を後にしました。
Me Ka Mahalo !