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どうも、こんにちは。
梅雨となりましたので、梅雨が似合う京都の霊場魔所、妖怪伝承地を巡りたくなりました。
そのひとつとして、宇治・三室戸寺を訪れました。
ここには、蛇体橋の伝承など、幾つもの伝説・伝承が遺されています。
また、この時期は蓮や紫陽花の名所でもあります。
まずはいつものようにアクセスから。
京阪電車「三室戸」駅から。
そこから東へ、しばらく歩きます。
雨の中、途中の道にも紫陽花の花が。
三室戸寺の山門へ。
さて、この山門前を流れる川は「戦川(いくさがわ・たたかいがわ)」という凄い名前の川なのですが、ここにかかる小さな橋は「蛇体橋」といい、「蟹の恩返し」の名でも知られる民話・説話が伝わっています。
過去記事の繰り返しになりますが、だいたい以下の通り。
昔、山城の綺田(かばた)村に、三室戸の観音さまを信仰している心のやさしい娘が居ました。
ある時娘は、村人が蟹を殺そうとしているところに出くわし、「持っている魚の干物を差し上げますので」と蟹を助けてもらいます。
またある日のこと、その娘の父親は、蛇が蛙を呑み込もうとしているところに出くわし、「私の娘をやるから蛙を放してあげなさい」と言って、蛙を助けてもらいます
その夜、その時の蛇が美男子に姿を変えて父娘のところに現れ、「約束通り娘をもらいに来た」と言いました。父親は「3日後に来て欲しい」と言い逃れをします。
3日後、娘は戸を完全に閉め切って、三室戸の観音さまに必死に祈り続けていました。蛇は待ちきれずに怒り狂い、人の姿から元の姿に戻ると、戸を破って中へ入ろうとします。娘は観音さまに助けを求めると、どこからか無数の蟹が現れ、はさみをたてて蛇を退治してしまいました。
翌日、娘は三室戸寺の観音さまにお礼参りに行きますが、途中で雨が降り出し、三室戸寺に着く頃には土砂降りになっていました。
そして参道の橋の上に、あの蛇が横たわっていました。が、蛇は娘を悲しそうな表情で見つめただけで、橋の裏側へと姿を消しました。
それ以来、雨の日には蛇の影が見えるようになり、この橋は「蛇体橋」と呼ばれるようになったという話です。
この話、人間の目線で言えば「三室戸寺の観音様の功徳をたたえる話」「心優しい娘が邪悪な蛇から救われためでたしめでたしな話」となるかもしれませんが。
しかし蛇目線で、蛇の立場から観ればずいぶんと酷い話で、手ひどい裏切りを受けた上にさらに酷い目に合わされたのですから。
一番の疑問は、この父親がした「蛇に呑まれそうな蛙を助けるために自分の娘を差し出す」という無茶苦茶な約束です。少なくとも現代社会の基準でみれば「このオヤジ、何を考えているのだ!?」と言いたくなるような話ですが、当時の仏教徒の感覚では「家族を犠牲にしても功徳を積むのが尊い」と考えられていたのでしょうかね?
うーん、私にはようわかりません。
この時はちょうど雨が降っています。
というより、「三室戸寺は雨の時が訪れるのが良い」と考えていますので、雨の日を狙って訪れたのです。
この蛇体橋は「雨の日には蛇の影が見える」と伝えられていますので、目をこらして橋の下やその周辺をめを
こらして観ましたが・・・見えませんでした。
うーむ、何故だ。
と思いつつも、ならばまた帰る時にでも見てみよう、ということにして、山門から境内へと入ります。
境内参道沿いには、紫陽花だけでなく、もう見頃を過ぎたと思っていたキリシマツツジなども咲いていました。
まずは本堂へ礼拝(らいはい)。
まだ蓮の花は咲いてはいませんでしたが。
まだつつじが咲いていたり。
見事な花手水も。
紫陽花園へ。
青など色とりどりの紫陽花と赤い門との組み合わせも。
およそ2万株あるという紫陽花の花々を個々に観て。
この中にあるという、ハート型紫陽花を探してみます。
昨年訪れた時には見つけられました。その時の写真がこれです。
今年も探してみましたが・・・これでしょうか?
あるいはこちら?
この紫陽花、ハート型というよりは・・・一部に亀裂が入って割れた、ブレイクハート型なのでは、という気が。
そう言えば、ここ三室戸寺の蛇体橋(蟹の恩返し)伝説に登場する大蛇くんの心の内も、もしかしたらこんなもんかも。
ハート型紫陽花には恋愛運に御利益があるとも言われているそうですが・・・このブレイクハート型紫陽花には一体どんな御利益が・・・?
もっとも、「独身彼女ナシ万年モテない男」のままおっさんと言われてもおかしくない年齢になってしまった私には、もはや恋愛運に恵まれたいともいう願望もありませんし、また結ばれたいと思うような異性の相手も居ませんし(笑)。
これはこれで面白いし、興味深い。
いや、むしろ今の私にも完全なハート型よりもこちらの方が合っているのかもしれない。
この紫陽花を見つけたことを今回の収穫としよう、そんな気になりました。
ちょうど閉門時刻を迎え、退出することになります。
ずっと雨が降り続けていた中、もう一度蛇体橋の下と周辺を探してみます。
大蛇の姿は見当たりません。
伝説が伝説に過ぎなかったからなのか。
私自身に霊感などの見る能力がなかったからなのか。
或いは、人間に手酷い裏切りを受けたトラウマから重度の人間不信に陥って隠れたまま、引きこもってしまったままなのか・・・。
けど、大蛇くん。
もし居るならば、いつか姿を見せて欲しい。
そんなことも考えながら、雨の霊場を後にしました。
本日はここまで。
また次回。
*三室戸寺へのアクセス・周辺地図はこちらをご覧下さい。
*三室戸寺のHP
https://www.mimurotoji.com/
*『京都妖怪探訪』まとめページ
https://kyotoyokai.jp/