どうも、こんにちは。
今年(2023年、令和5年)の10月3日から8日の間、京都・東山の石塀小路の特設画廊にて、京都在住の妖怪書画家・蘭陵亭子梅(らんりょうてい・しばい)さんの画業20周年を記念した個展『けらくふたい』が開催されていました。
先日、妖怪オタクの一人としてその個展を訪れましたので、今回はそのレポート記事を、本シリーズの特別編として書きました。
さる10月8日の京都東山の石塀小路。
高台寺近くにある有名な石畳の小路ですが、近年は内部の撮影が禁止されていますので、残念ながらその光景をお届けすることができません。
その石塀小路内にある、「しぇりークラブ」2Fに設けられました特設会場へ。
蘭陵亭子梅さん(以下、子梅さんと略)とは・・・というより、子梅さんを初めて知ったのが、2016年(平成28年)の「夏の妖怪展」でした。
その時、子梅さんの作品も何点か出展・販売されていまして、その時は「金魚の幽霊うちわ」などを買いました。
それ以来、子梅さんのTwitter等で、その活動をちょくちょくチェックさせてもらっていたのですが。
この度画業20周年を記念して、個展「けらくふたい」を開催されたのです。
筆者がそこを訪れたのは10月8日。
会期ギリギリで間に合ったのでした。
出展作品の全てをここで紹介することはできませんが、以下、筆者の独断と偏見で、その作品の幾つかを紹介していきます。
古い蔵を改装したような店舗の2階にある会場へ。
まずは、そこへ上がる階段の壁にあった作品を。
蘭陵亭子梅さんが、プロの絵描きとしての最初の作品です。
妖怪の絵ではありませんが、この絵本の挿絵が、子梅さんがはじめて報酬で請け負った、つまりプロとして最初のお仕事だったそうです。
子梅さんは2歳の頃から、お祖母様の手ほどきで絵を学んで来られたのですが、このお仕事を請け負った時が、なんとわずか17歳だったというから驚きです。
早くから才能を発揮されてきたわけですね。
ただそうした才能の持ち主ではあっても、絵だけで喰っていくとこはものすごく大変だったらしく、サラリーマンも兼ねながら画業を続けてこられたそうです。
しかしそれでも、20年もの間続けて、実績を重ねて来られたとは・・・!
掛け軸や色紙などに描かれた、伝統的な(?)スタイルの妖怪画。
どこかユーモラスな感じのする、百鬼夜行、豆腐小僧、河童、竜など。
こちらはろくろ首か。
こんな美人でいろっぽいろくろ首、見たことないですね(笑)。
復讐の為に妖術使いとなった平将門の娘・滝夜叉姫。
姫路城の刑部姫(おさかべひめ)と、猪苗代城の亀姫という、美しさと残忍さを兼ね備えた妖怪姉妹。
妖艶さも兼ね備えたこの2枚の絵は、山姥(やまんば)だそうです。
恐ろしい老婆として描かれることの多い山姥ですが、金太郎育ての母など、美しい、艶っぽい姿で描かれる作品や伝承などもあるそうです。
こうして見ると、子梅さんの美人画とかも上手い。
ちなみに、あの美女として名高い常磐御前も、以下のように描かれていました。
普通の絵やイラストだけはなく。
御朱印やお守りなどの原画も描かれていました。
こういうお仕事も随分としてこられたようです。
伊豆の栖足寺、きゅうり封じの護符と御朱印も子梅さんのお仕事。
しかしこれを貰いに行くにしても、伊豆までは遠いなあ・・・。
なんと、祇園祭の山鉾のひとつ「黒主山(くろぬしやま)」の御朱印の原画も!
今年(2023年、令和5年)の後祭からこの御朱印が使われていたそうですが・・・今年の後祭は、山鉾巡行は見られましたが(※を参照)、後祭の宵宮は仕事の都合で行けなかったので、この御朱印を得るどころか、見ること、知ることすら出来なかった・・・残念!
妖怪「鵺」や「百鬼夜行」などの妖怪画扇子も。
そういえば筆者が、子梅さんを最初に知ったのも、その作品のひとつである妖怪画のうちわを買ったことがきっかけでした。
妖怪の名を冠したお酒のラベル。
もっともこれらは、実際に販売されている商品ではなく、いつかこういう仕事もしてみたいという子梅さんの今後の夢を表したものだそうです。
妖怪などをモチーフにデザインした日本刀の鍔(つば)まで。
白蔵主、河童、茨木童子(一条戻り橋の鬼)など。
更には下絵のスケッチとか。
こうして見ると、商品化したものも含めて、実に多種多様な作品を創ってこられたようです。
勿論、ここに紹介したものだけでなく。
当初はほんのちょっとだけ立ち寄っていくつもりでしたが、作品の数々に魅入ってしまって、ついつい長居してしまいました。
以下は、子梅さんが20周年を記念した書かれた自画像(?)だそうです。
展覧会のタイトル「けらくふたい」とは、仏教用語の「快楽不退」に由来しているそうです。極楽浄土の安穏清浄な状態が永遠に続く様を表します。
画業20周年を記念し、これを一文字だけ換えて「怪楽不退」とし、末永く怪(お化け)を楽しみ画業を続けるという決意表明とされたとか。
この決意表明にふさわしい画ですね。
妖怪書画家・蘭陵亭子梅さんの末永いご活躍を望みますと共に。
『京都妖怪探訪』の筆者として、私も末永く「怪」を楽しみ続けていきたいものです。
今回はここまで。
また次回。
*蘭陵亭子梅さんのTwitter(X)
https://twitter.com/ranryou
*蘭陵亭子梅さんのpixiv
https://www.pixiv.net/users/70887
*『京都妖怪探訪』シリーズ
https://kyotoyokai.jp/