郵便と道路交通法改正：正論の形をしたイカサマ

　道路交通法が改正されて、今日で半月が経った。
　「違法駐車などの交通違反が減った」、「渋滞が緩和された」などの好意的な意見も少なくない。
　だが……。
　実はこれに、イカサマがあったことがわかったのだ！
　なんと、日本郵政公社とマスコミだけが、事実上「駐車禁止の適用除外」の特権を受けていたことが明らかになっていたのだ！
　明らかなえこひいき、というか詐欺みたいなものである。
　本日（15日）発売の日刊ゲンダイの９面に掲載された、「日垣隆・どこへ行くのかニッポン『目に余る郵政の特権拡大と公約破り』」というコラムの中で、その問題が取り上げられている。
　以下は、その一部を引用したものである。
（注：赤字部分は、筆者が勝手に色分けした）


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　そして今度は、６月１日から、郵便配達の赤い車を対象外にして、民間の宅配業者を直撃する駐車禁止の網をかけた。
　法律（道路交通法４条２項に基づく道路交通規制や施行細則）により、救急車やパトカーや消防車が「交通規制の対象から除く車両」に入るのは当然としても、「郵便物の集配のために使用する車両」が適用外（！）にされていたのである。
　なぜ大手マスコミは黙っているのか。ここにも実にわかりやすい構図がある。「報道機関の緊急取材のために使用する車両」も駐禁の適用外にしてもらえるからだ。
　今月１日、日本郵政公社の幹部がＮＨＫテレビで、「うちもドライバーを二人にするなど対策をとらなければならないと考えています」と話していた。
　もちろん、これもウソだった。
　宅配会社が頭を抱えるなかで、郵便配達だけが「いやあ、うちは道交規制でがっちり守られていますから安心なんですわ、あっはっはっ」などと正直に言ったら、国民がその本質に気づいてややこしいことになっていたはずだ。

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　以上、引用終わり。

読者の皆さんは、これを読んで、どう思われただろうか？
　「んなモン、詐欺やないかああああああっ！」というのが、私の率直な感想である。

　他の民間宅配業者が事実上の駐禁規制強化に悩んでいる時に、民営化が決まったはずの郵政公社だけが特権を受ける必然性はあるのだろうか？
　さらに日垣氏は、先のコラムで、「（郵政民営化を唱えた小泉首相は）信書を独占するだけでなく、簡保や郵貯を解体することもしなかった」こと、さらに「公約だった職員削減が反故にされようとしている」こと（注１）、そして「新たにクレジットカード事業や住宅ローン事業にまで進出する」こと（注２）なども取り上げた。
　要するに、「官から民へ」「民にできることは民に」などというもっともらしいことを言いながら、現実には「国が保証した特権に守られた巨大企業体が、特権を受けることのない他の民間業者を圧迫する」という実にふざけた結果になりそうなのだ。
　こんな不公正なものを、少なくともこの私は認めない。

　ところで、５月７日のエントリー『肝心なことは知らされないのか？』で私は、共謀罪の問題と共に、道交法改正の問題をとりあげた。
　その時私は、「宅配業者の皆さんはどうするのだろうか？」とか、「これほど我々の生活にも直結するような大問題を、マスコミはあまり報じないのは何故！？」などという疑問を呈していたのだが……実際はこういうことだったのか。

　郵政民営化といい、道路交通法改正といい、小泉自民党がやってきたことって、一事が万事、そんなものではないだろうか？
　つまり、「公正でもっともらしく見えても、実は特権でも守られた一部の者だけが、他の民間を差し置いておいしい思いをするだけ」という……。
　日垣氏は、コラムを以下の一文で結んでいる。



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　が、今からでも遅くはない。「民にできることは民へ」で大ウソをつきまくった議員は落とせ。

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　我々有権者も、小泉改革などという「もっともらしい正論をした詐欺」に騙されるのを、もういい加減にやめたらどうか、と思う。
　


（注１）：
　来年10月に発足する日本郵政株式会社の「実施計画」案から。
（注２）：
これも、来年10月に発足する日本郵政株式会社の「実施計画」案から。


　なお、当初は別のことをエントリーでとりあげるつもりだったが、急遽変更した。
　また、私の計画性の無さが出てしまった……。