九重自然史研究所便り

昆虫採集と観察のすすめ

第10章 パラワン島で採集した昆虫3-5

2016-01-05 18:30:35 | 日記

第10章 パラワン島で採集した昆虫3-5
3.ベニモンアゲハPachliopta aristolochiae Fabricius, 1793(図61)
 本種はインドから台湾、マレー半島、スマトラ、ボルネオ、小スンダ群島にわたって分布する広域分布種である。フィリピンではパラワン島からだけ発見されている。パラワン島産は亜種brevicaudaと言う。
 なおパラワン島以外のフィリピン諸島の大きな島々には代置種コゼブエアベニモンアゲハPachliopta kotzebuena Eschscholtz, 1821が分布する。
4.マネシアゲハChilasa clytia palephates Westwood, 1845(図版60:1)
 この種は雌雄ともマダラチョウに擬態しているのでマネシアゲハという名前がついた。インドから中国南部まで広く分布し、マレー半島とフィリピン諸島に分布するが、ボルネオ、スマトラ、バリなどには分布しない。しかしその東の小スンダ諸島にも分布している。フィリピン全土に産するが、パラワン島には別亜種panopinus Staudinger, 1889、その他のフィリピンの島々には亜種palaphates Westwood, 1845が分布している。図版の個体は雌で、明らかに亜種panopinusの特徴を備えているので、カラースライドには産地が記されていないが、おそらくイワヒグ囚人村で採集したものと思う。
5.モンキアゲハ類
 モンキアゲハ(ヘレヌスモンキアゲハ)Papilio helenus Linne, 1758 は日本から台湾、中国南部、マレー半島、スマトラ、ボルネオさらにフローレスやチモールまで分布している。フィリピンではパラワン島だけに産する。
 パラワン島とその周辺を除く他のフィリピン諸島の大きな島々にはヒスタスペスモンキアゲハPapilio hystaspes C.& R. Felder, 1862が分布している(フィリピンのチョウ切手にあり)。

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