遊亀公園附属動物園スタッフブログ

甲府市にある遊亀公園附属動物園で働くスタッフのブログです。
普段は見られない動物たちの暮らしをお届けします!

ワラビーのポケット入り間違え事件

2017年05月14日 14時29分17秒 | 日記

皆様こんにちは。本日5/14(日)は「母の日」です。

動物園の池ではカルガモ親子が出没しているらしい今日この頃。

園内は、この春もビーバーフィーバーが巻き起こっております。

4/22にアメリカビーバーの赤ちゃんが2頭生まれ、すくすく成長しています

毎日午後2時30分からは、公開体重測定も行っておりますので、ぜひご覧くださいね。

ところで今回の主役はカルガモでもビーバーでもなく。。。。

ベネットアカクビワラビーの2組の親子です

当園には、メス4頭、オス1頭のワラビーがいて、

この春2頭のお母さんのポケットから赤ちゃんが顔を出しました。

 

ワラビーやカンガルー、コアラ、フクロモモンガなどの有袋類(ゆうたいるい)は、ご存じのとおり

未熟な状態の赤ちゃんを出産し、母親の体外のある育児嚢(いくじのう)とよばれるポケットで赤ちゃんを育てます。

ワラビーの出産育児について、ざっくりまとめると次のとおりです。

 

妊娠期間およそ1ヶ月で未熟な赤ちゃんを出産

お母さんワラビーが自分の体の毛をなめて道を作り、ポケットまで誘導する。

 赤ちゃんは自力でこの道を這っていき、ポケット内の乳首にたどりつく。

ポケット内の乳首でミルクを飲んで、すくすく育つ

↓(おおよそ半年)

顔・体の一部がポケットから出てくる

初めてお外へ出てみる

外とポケット内を行き来する(今ここ

ポケットに入らなくなる。

 といった流れになります。

 

この春顔を出した赤ちゃんの母親はアヤメミズキの2頭。

2月末にそれぞれの赤ちゃんがお母さんのポケットから顔をだし、

3月末~4月に初めて自分の足で外へ出ました。ほぼ同時期に一緒に成長した2頭。

最近はポケットから出たり入ったりして、ほほえましい様子がみられていた、そんな5月某日。

・・・事件は起きました。

 

朝から仔ワラビー1頭がビービー鳴きながら、アヤメを追いかけています。

しかしアヤメのポケットには別の仔ワラビーが。。。。

「いれてよ~」「いや、ムリだから!」

仕方なく、仔ワラビーはもう1頭のミズキのポケットに入りたがりますが、ミズキは断固として拒否!

何度チャレンジしても、ポケットに入れてくれません

 

仔ワラビーはまだ小さく、親離れ子離れには早すぎます。

このままポケットに入れないと体力を消耗してしまうため、

ぼっちの仔ワラビーとポケットに空きのあるミズキを同じ部屋に閉じ込めてみました。

しかしミズキはしっしっ!と追い払う仕草までして、入れてくれません。

仔ワラビーはビービーないています

と・・・明らかにその鳴き声を気にしているアヤメ

こどもが「びーびー」鳴くたびに柵越しにオロオロと気にかけています。。。

 

ここで私たちの疑惑がほぼ確信にかわりました。

ミズキのこどもがアヤメのポケットに入っている!!

これはワラビーやカンガルーの多頭飼育をしているところではまれに起こるようなのですが、

当園では同時期に複数頭の出産育児が初めてだったため、今回が初めてのケースでした。

 

ひとまず、2組のペアを入れ替えることにしました。

なりすましてアヤメのポケットに入っているミズキの仔は、自分から出る様子はなく、

アヤメも入っちゃったものは追い出すことはできないようです。

そこで、なりすましのポケットの中の仔に強制撤去してもらい、今後のために目印として脚にリングをつけました。

 

もう1頭のびーびー鳴いている迷子の仔ワラビーも身柄確保し、白いリングをつけました。

(ちなみに捕まえたついでに性別をみると、仔どもは2頭ともオスでした。)

そして、正しい親子ペアと思われる組み合わせに部屋わけしてみると・・・・。

あんなによその仔を拒絶していたミズキも、あっというまに我が子をポケットに迎え入れています

もちろんアヤメ親子も・・・!

ようやく本来の親子ペアに落ち着き、ホッと胸をなでおろす私たち

 

自分の仔しかポケットに入れないミズキと、別の仔もうっかり入れてしまったアヤメ

それでもわが子の鳴き声に反応があったため、無事に戻すことができてよかったです。

どちらも母性あってこそ。

 

まだ仔どもたちが小さく、再発の可能性があるため、

仔どもたちがポケットに入らなくなるまでの間、2組の親子はペアで別居してもらうことにしました。

もうしばらく、自分のお母さんにゆっくり甘えてね。

 

以上、この春起きた、入れ違え事件でした

 

 


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