今回はペンギンのくちばしの治療のお話です。
毎年、春が近くなるとペンギンにも恋の季節がやってきます。
一羽のメスをめぐって、オス同士がくちばしを使って闘争が起きるのですが、
昨年の闘いに敗れた一羽のオス、赤黒君のくちばしがぼろぼろになってしまいました。
なんとか補強をしたいのですが、当園では初めてのケースなので
他の動物園の獣医さんに相談したところ、
歯医者さんで使っている接着剤(レジン)というものが良いとのこと。
そのレジンについて教えてもらおうと相談した歯医者さんがとても親切な方で、
実際にレジンを分けてくれ、道具を持参で処置をしてくださることになりました。
動物園最寄りの丹沢歯科の院長先生です。
2月16日の土曜日の午後、
まずはペンギン君をつかまえて麻酔をかけました。
今回私が獣医さんとして手をだしたのはここまで。
このあとは丹沢先生の出番です。
最初にくちばしの汚れをおとします。
そして、うわさの歯科用レジンを接着剤とともにコーティングします。
くちばしには鼻の穴があるので、そこはふさがないように避けてもらいました。
このレジン、最初はふにゃふにゃですが、5分ほどでカチカチになります。
先生がなれた手つきで整えていきます。
仕上げに歯医者さん用の歯科用エンジンで、なめらかに整えてくれました。
このままだとピンクのくちばしなので、黒いマジックで色を塗ると。。。。
なんということでしょう。
スカスカだったくちばしが、なめらかで安定感のあるくちばしに。
ビフォア↓
アフター↓
この間わずか30分ほど。
麻酔時間は短ければ短いほど、動物の負担も減りますし、本当にありがたかったです。
(私だったら2時間はかかりそうです)
そのあと麻酔から覚めたペンギン君、プールにもどったあともごらんのとおりです。
すいすい泳ぎ、えさの魚も上手に食べています。
仲間のペンギンとくらべても、違いには気づきにくいと思います。
しかしケンカの実力は上がっていないと思いますので、
今年の繁殖期はどうか無茶をしないでほしいですね!!