令和4年10月3日から、動物園は長期休園に入りました。
休園前には多くの皆様にご来園いただき、動物たちとのしばらくのお別れをしていただきました
休園期間に入り、さみしい気持ちとともに日々、動物たちの健康状態を保つための取り組みを行ったり新しい動物園の整備計画の話し合いなどあわただしい毎日を送っています。
そんな中、今回はアジアゾウのテルちゃんの寝室の環境改善についてお話します。
これまでも寝室の改良については何度も話し合ってきましたが、寝室は古い建物で、横開きの電動扉にウッドチップなどが絡んで壊れてしまうと修理できない可能性があり、なかなか踏み切ることができませんでした。
今回、寝室の二部屋の間のポールを切断しても建物の耐久性に問題ないことが分かったことや、ゾウ舎のリニューアルの方向性が固まってきたことから、「寝室ウッドチップ計画」を実行できることになりました!
計画はこんな感じです。
①北の扉を角材で保護するためテルに南側の部屋に移動してもらう。
②北と南の寝室の間のポールを数本撤去し、テルが二部屋を自由に行き来できるようにする。
③北側の部屋にウッドチップを敷く。
2/13の夕方、これまで北側の寝室で寝ていたテルに南側の寝室に入ってもらいました。
いつもとは違う扉が開きましたが、入ってくれたテル。
若干違和感を感じつつも寝室に用意された夜ご飯を食べ始める様子を見て、まずは一安心したのですが、、、
ご飯を食べ終わってから、私たちの心配が現実のものに
これまでテルは日によって2~4回、夜中に体を横にして眠っていましたが、隣の部屋に引っ越したことで安心して横になることができなかったようです。
立ったまま目を閉じて寝てはいるのですが、横になろうとしません。
翌日、ぼんやりして少し機嫌の悪いテルを見て、さらに心配になりました。
今夜は寝てくれるだろうか・・・
しかし、2/14,15,16の夜間も引き続き立ったまま、横にならないテル。
夜間の様子はゾウ担当者数名と、獣医師と園長がスマホでみられるようにカメラをセットしていますが、夜中に何度見ても立ち続けているテルを見て、こちらも睡眠不足に陥っていました。
野生のゾウは安全が確保されていない限り、横にならず立ったまま寝ることが知られていますが、
テルは動物園で45年過ごし、横になって寝る習慣がついています。
足に負担がかかったら・・・と気が気ではなく、テルの体に何かあっては意味がないと思い、担当者に「もうやめよう」と泣き言を言った矢先、ついにテルが横になってくれました。
2/17の夜から18の朝にかけて、夜中に二度、横になったテルを確認し、心の底から安心しました。
翌日にはこれまでの睡眠不足を取り戻すかのように長時間、横になっていました。
この調子で二週間後の3/3、第二形態のポールの撤去が行われました。今回撤去したポールは4本。
北と南の寝室が自由に行き来できるようになり、新たな環境にまたテルが寝なくなるのでは?と
心配しましたが、長年過ごした北側の部屋ですんなり横になって眠っていました。
そして3/8、いよいよウッドチップの搬入です。
実際にウッドチップを見て回り、一番優しいさわり心地だったウッドチップを3㎥、職員総出で運び込みました。
どんな寝心地なのか、すみっこのほうで横になってみると・・
木の香りとほどよい弾力で、そのまま目を閉じたら眠ってしまいそうなくらい気持ちがよく
テルにも気に入ってもらえたらいいな、と期待が高まりました。
その日の夕方、お部屋に入ったテルは何か変わったものが敷いてあることを確かめますが、さほど興味は続かず、夜ご飯を食べ始めました。
その夜。深夜にウッドチップのチェックを終えたテル、ウッドチップの上に横になりました!!
その日も、翌日も2~4回ほど場所や体勢を変えながらウッドチップの上で寝るテルをみて、
うれしい気持ちになりました。
今回、糞尿の排泄でチップが汚れることと、チップを南側に散らかして南の扉の開閉ができなくなることを心配していたのですが、テルは3日目の夜からは、ウッドチップの上ではまったく排泄をせず南側のコンクリート床の上で排泄をするようになりました。
それから数週間たち、最近はまた南側のコンクリートの上で寝ることも増えてきたテル。
ウッドチップの上で寝ることもありますが、コンクリートの上ばかりを選ぶ日もあります。
こればっかりは、テルに選んでもらうのが一番!なので好きなようにしてもらいたいと思っています。
昨晩はどこでどれくらい寝たのか?毎朝ビデオを解析することが最近の楽しみです。
<↑こちらは夜間カメラに水をかけてくるテルちゃん>
今後は他園でも使用されているおがくずや砂なども寝室の床材として試していき、テルが好きな床材を調べていき
テルがその日の気分で寝る場所を選べるようにできたら、、と考えています。
体や力の大きなゾウの環境改善は、なかなか簡単にはいきませんが、これからも取り組み続けていきたいと思います。
<背中にウッドチップのついたテルちゃん>
休園前には多くの皆様にご来園いただき、動物たちとのしばらくのお別れをしていただきました
休園期間に入り、さみしい気持ちとともに日々、動物たちの健康状態を保つための取り組みを行ったり新しい動物園の整備計画の話し合いなどあわただしい毎日を送っています。
そんな中、今回はアジアゾウのテルちゃんの寝室の環境改善についてお話します。
これまでも寝室の改良については何度も話し合ってきましたが、寝室は古い建物で、横開きの電動扉にウッドチップなどが絡んで壊れてしまうと修理できない可能性があり、なかなか踏み切ることができませんでした。
今回、寝室の二部屋の間のポールを切断しても建物の耐久性に問題ないことが分かったことや、ゾウ舎のリニューアルの方向性が固まってきたことから、「寝室ウッドチップ計画」を実行できることになりました!
計画はこんな感じです。
①北の扉を角材で保護するためテルに南側の部屋に移動してもらう。
②北と南の寝室の間のポールを数本撤去し、テルが二部屋を自由に行き来できるようにする。
③北側の部屋にウッドチップを敷く。
2/13の夕方、これまで北側の寝室で寝ていたテルに南側の寝室に入ってもらいました。
いつもとは違う扉が開きましたが、入ってくれたテル。
若干違和感を感じつつも寝室に用意された夜ご飯を食べ始める様子を見て、まずは一安心したのですが、、、
ご飯を食べ終わってから、私たちの心配が現実のものに
これまでテルは日によって2~4回、夜中に体を横にして眠っていましたが、隣の部屋に引っ越したことで安心して横になることができなかったようです。
立ったまま目を閉じて寝てはいるのですが、横になろうとしません。
翌日、ぼんやりして少し機嫌の悪いテルを見て、さらに心配になりました。
今夜は寝てくれるだろうか・・・
しかし、2/14,15,16の夜間も引き続き立ったまま、横にならないテル。
夜間の様子はゾウ担当者数名と、獣医師と園長がスマホでみられるようにカメラをセットしていますが、夜中に何度見ても立ち続けているテルを見て、こちらも睡眠不足に陥っていました。
野生のゾウは安全が確保されていない限り、横にならず立ったまま寝ることが知られていますが、
テルは動物園で45年過ごし、横になって寝る習慣がついています。
足に負担がかかったら・・・と気が気ではなく、テルの体に何かあっては意味がないと思い、担当者に「もうやめよう」と泣き言を言った矢先、ついにテルが横になってくれました。
2/17の夜から18の朝にかけて、夜中に二度、横になったテルを確認し、心の底から安心しました。
翌日にはこれまでの睡眠不足を取り戻すかのように長時間、横になっていました。
この調子で二週間後の3/3、第二形態のポールの撤去が行われました。今回撤去したポールは4本。
北と南の寝室が自由に行き来できるようになり、新たな環境にまたテルが寝なくなるのでは?と
心配しましたが、長年過ごした北側の部屋ですんなり横になって眠っていました。
そして3/8、いよいよウッドチップの搬入です。
実際にウッドチップを見て回り、一番優しいさわり心地だったウッドチップを3㎥、職員総出で運び込みました。
どんな寝心地なのか、すみっこのほうで横になってみると・・
木の香りとほどよい弾力で、そのまま目を閉じたら眠ってしまいそうなくらい気持ちがよく
テルにも気に入ってもらえたらいいな、と期待が高まりました。
その日の夕方、お部屋に入ったテルは何か変わったものが敷いてあることを確かめますが、さほど興味は続かず、夜ご飯を食べ始めました。
その夜。深夜にウッドチップのチェックを終えたテル、ウッドチップの上に横になりました!!
その日も、翌日も2~4回ほど場所や体勢を変えながらウッドチップの上で寝るテルをみて、
うれしい気持ちになりました。
今回、糞尿の排泄でチップが汚れることと、チップを南側に散らかして南の扉の開閉ができなくなることを心配していたのですが、テルは3日目の夜からは、ウッドチップの上ではまったく排泄をせず南側のコンクリート床の上で排泄をするようになりました。
それから数週間たち、最近はまた南側のコンクリートの上で寝ることも増えてきたテル。
ウッドチップの上で寝ることもありますが、コンクリートの上ばかりを選ぶ日もあります。
こればっかりは、テルに選んでもらうのが一番!なので好きなようにしてもらいたいと思っています。
昨晩はどこでどれくらい寝たのか?毎朝ビデオを解析することが最近の楽しみです。
<↑こちらは夜間カメラに水をかけてくるテルちゃん>
今後は他園でも使用されているおがくずや砂なども寝室の床材として試していき、テルが好きな床材を調べていき
テルがその日の気分で寝る場所を選べるようにできたら、、と考えています。
体や力の大きなゾウの環境改善は、なかなか簡単にはいきませんが、これからも取り組み続けていきたいと思います。
<背中にウッドチップのついたテルちゃん>