kochikika ノート

旧「こちら某中堅企業企画室」。リーマン話、時事の話、パリーグ話など。ぼちぼちやってます。

「必殺仕業人」を(録画で)観ての話

2007-10-22 23:35:55 | 読・観・聴


必殺シリーズを最初に見たのはたぶん三田村邦彦や中条きよしが出てた仕事人ⅡかⅢくらいからだったと思うのですが、夢中になったのはそれらと同時期に夕方から再放送されてた初期のシリーズ。(こういう人、多いと思うんですけどね)

いわゆる“必殺シリーズ後期”にあった、時代劇にあるまじき設定や、様式美となった殺しのシーンもそれなりには楽しめたのですが、殺し屋の業というか、こんな因果な商売やってる人たちが3クールも4クールも生き延びてちゃいけないだろうというリアリティの方が魅力的でありました。

前期必殺にも念仏の鉄(山崎努)や大吉(近藤洋介)のレントゲンとか、印玄(新克利)のそれじゃ死なないだろうという屋根落としとかの荒唐無稽はありましたが、メンバーの何人かは最後に殉職(というべきか)するという殺し屋の業が描かれているからこそ、それらは「許せない設定」から「必殺らしいお遊び」になるのですね。自分の中では。
まあ、エンターテイメント作品ではどの部分のリアリティに拘るかというのは、人によって違うんでしょうけどね。

で、一昨日まで時代劇専門チャンネルの深夜にやってたシリーズ7作目の「必殺仕業人」が終了。この作品はシリーズの中で最もお気に入りの作品であります。

まずシリーズ中1、2を争うくらいの悲惨な描写でメンバー(赤井剣之介=中村敦夫、お歌=中尾ミエ)が死ぬという設定が良いです。何せ悪人と刺し違えてとか、強い相手に返り討ちとかではなくて、濡れ衣着せられた上にとっ捕まってめった斬りですからね。犬死といってもいい。そこが殺し屋の最期として相応しい。

それからたぶん必殺シリーズ最弱といっていい面子がいい。
藤田まことの中村主水はともかく、赤井剣之介は相手の元結を斬ってザンバラになった髪を使って絞殺というまどろっこしい殺し方だし、もう一人のメンバーである、やいとや又衛門(大出俊)は焼いた針で相手の眉間を刺すと書けば格好いいが、腕っ節が弱く、悪人に反撃を許すこともたまにあるという有様(またこのやいとやのキャラが立ってて素晴らしい)。

まあ最弱というか、暗殺というのが必殺の基本だと思うので、一人一殺であるべきだろうと。後期作品が映画化されたときにあった、十数人相手に簪一本で戦うってのはさすがにどうかと。
超人的な怪力の殺し屋とか、滝田栄や伊吹吾郎みたいな剣豪がいると安心感はあれど、一両ニ両のカネ(今の価値なら10万か20万くらいか)で請け負う殺し屋としたら、仕業人の面子くらいの危うさがある方がまたリアリティがあって良いのではないかと。

もひとつこの作品で好きなのは、オープニングの宇崎竜童によるナレーション。

あんた この世をどう思う
どうってことねぇか
あんたそれでも生きてんの
この世の川を見てごらんな
石が流れて木の葉が沈む
いけねぇなあ 面白いかい
あんた死んだふりはよそうぜ
やっぱり木の葉はピラピラ流れてほしいんだよ
石ころはジョボンと沈んでもらいてぇんだよ
おいあんた、聞いてんの? 聞いてんのかよ!
あら、もう死んでやがら
はぁ… 菜っ葉ばかり食ってやがったからなぁ


「やっぱり木の葉はピラピラ流れてほしいんだよ、石ころはジョボンと沈んでもらいてぇんだよ」ってとこが特にお気に入り。
現代もかくのごとくなっていただきたいと常々思いますね。



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