kochikika ノート

旧「こちら某中堅企業企画室」。リーマン話、時事の話、パリーグ話など。ぼちぼちやってます。

「虚業」とか「額に汗する」とかで思う話

2006-02-15 00:17:19 | 時事雑記
仕事柄、証券会社の人とよく会うのですが、たまに「御社は実業ですが、我々は虚業ですから・・・」などといわれます。

こういう言葉を発するのは、年配のいかにも株屋な証券マンの方に多く、そこに気色悪い極端なへりくだりを感じたりするのですが、さすがに「我々は額に汗してませんから・・・」などと言われたことはありません。
 
証券業界の片隅に身を置いたこともある身からすれば、少なくともモノ作り業界の事務屋さんよりは、あなた方のほうがよっぽど額に汗してますよと言えちゃいますので、なんぼ辞書に具体例つきで書かれていても、彼らを「虚業」呼ばわりするすることはできません。

彼らが自らをそういう風に言うのは、自らの仕事の質に後ろめたさがあるんではないかと解釈しております。この十数年で築いてきた価値観は壊されちゃいましたし、同じ証券会社でも今が華のアナリストさんからは「虚業」発言は聞いたことがありませんしね。
まあある意味、極端なへりくだりは優越感の裏返しでもあるんですけどね。


で、これらの言葉が話題になったのはライブドア事件と東京地検特捜部長の発言からですが、特捜部長のココロのうちはどうかわかりませんが、もしライブドアが「虚業」呼ばわりされるとすれば、自分は単純に「仕事の質」みたいなイメージで捉えております。

例えば球団や放送局の買収のときに、ITベンチャーならではという耳目を引くような提案があれば、手法はどうあれ、もちっと支持を集められたのではないかなと。もしかしたら結果も違っていたかもしれない。

今でこそ、あるいは当時でも一定数の人は「提案は後付けだ」と思ってはいたのですが、大義名分としての「球界改革」や「ITと放送融合」みたいな話はあったわけで。
その大義に比しての提案の中身のなさが「虚業」と形容されたところではなかったかと。

半ばこじつけの傍証意見ですが、当ブログの古いエントリで、「ホリエモンのスマイルカーブの話」というのがあります。
まあエントリといっても、日経産業新聞のコラムに茶々入れただけの代物ですが、いかにも検索に引っかかりそうなタイトルということもあって、比較的ページビューが多いんであります。
 
この中ではソース不明ながら、ホリエモン支持者層が20歳代と50歳代に多く、30歳代、40歳代に少ないという話が紹介されています(スマイルカーブ)。
そのココロは何なのかということなんですが、元ネタのほうは支持者の方の分析(50歳代の方だけ)はされているんですが、不支持者の方はされていないんですね。

思うに、実質的な責任を持って「提案」の仕事を行ったり、精査したりする立場というのが世間の30代、40代なわけで、株主というバックボーンをもって行った大義を持つ提案が、その世代の人達が普段の仕事上で行えば突っ返されること間違いなしの代物だったことへの失望感があったのではないかと。

当時閉塞感を感じていたのは、不況しか知らない20代や老後やあと数年が心配な50代だけではなく、間の世代もそうだったわけで、その点からしても、絶頂期のベンチャー社長への嫉妬というよりは、救世主への失望という表現の方が正しく、嫉妬や嫌悪感はその後の妙な持ち上げぶりに伴って起きたものというか。


まあ、当該エントリでも書いたように世代論争になるのはよろしくないのですが、巷間伝えられるところではかの『フィナンシャルタイムス』が世代論でホリエモン逮捕を伝えたとのこと。(「旧世代に葬られた云々・・・」)

これに対し、曽野綾子、内橋克人両氏が「どこ見てんだ」と反対意見を表明、それぞれ「性善説を破壊」したことと「市場の健全性を損ねた」点を論じるべきであるとしました。
非知識人としてはそこまで深読みはしません。「仕事の質」はどうだったのですかという点に if も含めて思いをいたしたいのですね。


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