kochikika ノート

旧「こちら某中堅企業企画室」。リーマン話、時事の話、パリーグ話など。ぼちぼちやってます。

ホリエモン実刑判決について思う話

2007-03-19 00:11:59 | 時事雑記

堀江被告に実刑判決 「狙い撃ち」論一蹴、錬金術明確に「ノー」(産経新聞) - goo ニュース

ライブドア(LD)前社長、堀江貴文被告(34)を懲役2年6月の実刑とした16日の東京地裁判決は、堀江被告が繰り返してきた「(自分が)有名になったので、検察に『狙い撃ち』された」との主張を一蹴(いっしゅう)した。東京地裁が「粉飾額は小さい」としながらも実刑を選択したのは、「成長企業と見せかけるための粉飾」がマーケットに与えた悪影響の度合いを重視したためだった。

「重く受け止めるが納得できない」 堀江被告がTV出演(朝日新聞) - goo ニュース

ライブドア前社長の堀江貴文被告(34)は16日夜、テレビ朝日の番組「報道ステーション」に出演し、実刑判決を受けたことについて「重く受け止めているが、納得できない部分もかなりある」と語った。

個人的にホリエモンには愛憎半ばというか(まあ愛にも憎にも達してないけど)、まずパリーグファンとしては、あのとき彼がいなければ、ほぼ間違いなく1リーグ化に突き進んでいたことを思えば、恩人中の恩人であるという思いがあります。
しかし彼の球団経営やその後のニッポン放送経営へのビジョンはいい加減としかいいようが無く、こういう人がヒーローになる風潮にはちょいと首をかしげていたのでした。

そんな彼が逮捕されたとき、感情の面ではほっとした自分がいたのも事実でありながら、理屈の面で考えれば、いきなり段ボール箱をたくさん持ったグレースーツの連中に踏み込まれて、何の抗弁もできず身柄も拘束され、その結果LD株式に上乗せされていた富が吹っ飛んでしまったことは、いくら経営株主双方とも自己責任の面があるとはいえ、行き過ぎであったと思わざるを得ません。

当方にとっては、善でもなく、悪でもなく、憎むべき存在でもなく、同情すべき存在でもないという、何とも時代を象徴するというか、残念ながらヒーローなんてものはこの世にいないのですよ、ということを改めて教えてくれた人なんでありますね。

彼の登場も彼の凋落も、善悪、好き嫌いではなく、登場時は経済的な、そして退場時は政治的な理屈によって演出されたということで、考えればそれらは当たり前の話なんだけれども、周りはそうは見なかったことが、彼の存在感を複雑にしている― そんな感じがします。


さてさて。
今回の実刑判決について。
今回の判決は、過去の経済犯の事例に比べて重いのは確かですよね。カネボウでさえ執行猶予つきでしたから。

法律ド素人なんで情緒のみで語るのですが、個人的に経済犯には厳しくあたるべしと思っております。
それは、殺人や傷害事件では「ついカッとなって」という状況はあるだろうと。しかし詐欺や悪質な脱税などは冷静そのものじゃないとできないわけで、積極的に悪事に加担したという意味で、場合によっては「捜査一課のヤマ」よりは「捜査二課」のそれの方が罪が重いと思うからであります。

それに4つ下のエントリのコメント欄で触れたのですが、独禁法改正で建設業界の態度がガラっと変わったように(名古屋の談合事件は末端の犯罪と見るべき)、経済事件には(堅気の人たちによる犯罪には)、厳罰化が効くんですよね。

経済犯だけに経済学的な見方をするなら、その犯行は、バレてとっ捕まったときのリスクと、リスクを冒してでもトライし得られるベネフィットとの勘案の結果ですから、とっ捕まったときのリスクを大きくしてやれば、トライは減るというのが道理であります。

今回、過去の判例にもかかわらず、実刑判決が出てしまったのは、被告自身の態度が悪かった(闘争的だった)という点もありながら、司法の態度として正しいのかどうかわからんけれども、この種の犯罪は厳しくみますよ、という態度の表れではないかと。

娑婆にいる間も、(本業は知らないが)資本市場ではパイオニアとして注目された堀江被告は、あっち側の世界でも、事後規制&経済犯厳罰化のパイオニアになってしまうのかもしれません。

ただ、日本社会はお勤めが済めば、意外に暖かく迎えてくれる土壌があるというか(もちろんそうでない事例はたくさんあるが)、マスコミの「再手のひら返し」がありますので、中期的に見て、彼の復活は充分にありそうなのですけどね。

 



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