kochikika ノート

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手塚治虫「戦争漫画」傑作選を読んでの話

2007-08-14 00:04:30 | 読・観・聴


手塚治虫の作品は読んでるようで読んでないのだけど、ハードなSFを集めた短編集「ザ・クレーター」は印象に残っています。
テレビで見た「ジャングル大帝」や「リボンの騎士」からすればあまりに外れたハード路線だったからだったのだろうけど。

ただ印象に残ってるといっても、筋を諳んじられる作品はなく、こんな話だったなとか、こういうコマがあったなという程度。
でもその印象に残ってるのが、戦争をテーマにした作品だったりする。

例えば特攻の勇士に仕立てられた若者が生きて帰ってしまって、それじゃ困る軍部から強制的に再出陣を命じられるも、強制の過程で受けた拷問で身体が言うことを聞かず、自軍の司令塔に突っ込んでいくシーンであったり、

月面(「ザ・クレーター」)に取り残された宇宙飛行士が、特殊なガスを浴びることで人間らしく生きることも自らの判断で死ぬこともできぬようになり、ぼんやりと地球を眺める。彼が見た地球にはいたるところで閃光が見える。それは核爆発の光だった…というシーンであったり。。

地味な作品の中でも戦争をモチーフにした作品の印象度が強いのは、やはりどこか他人事でないという思いがあるからかと。
いや、平和ボケの当方およびその周辺にとって、戦争が他人事であることは間違いないんですけどね、やはり刷り込みはあるんだと思うのですよね。

直接的な反戦(あるいはその逆)の話でなくても、そういったものを経てきた上の世代のふとした話や、その世代のクリエーターの作品を観聴きして育った身には何かが残っていて、今回の古い手塚作品などを読むとよみがえってくるというか。

当方、社民党あたりの訴えからは全く感ずるものがないのですが、もし近年、刷り込み方面が薄くなっているとしたら、それはそれで手を打つ必要があるのかなとも思いますね。

手を打つといっても、国策で何か変なことをやる必要はなく、今回の新書のように優れたコンテンツはあるのだから、それを掘り起こしてやればいい。直近の作家はどんな形で伝えようとしてるのかも気になるところではありますけどね。

しかし「戦争の記憶」について、手塚治虫はこのような形で後世に多くを伝えようとしたのですが、当方の祖父母などは生前に何度か「貴重な証言」を聞き出そうとしたものの、一切語ってくれなかったですね。
まあでも、語らないってのも、ある意味あの頃の雰囲気を雄弁に語ってるのかもしれませんけどね。。



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