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道-ホノルルの思い出---約束

2011-04-30 | 地球の姿と思い出
約束は果たすべきもの、しかし、何かの事情で果たせなかった約束には後悔がこころに残る。反対に、絶望のすえに果たした約束には、「あゝよかった」という満足感と心地よい思い出がこころに残る。

ホノルルには、今も感動する思い出がある。それは15年も昔の話、甥の結婚式に出席するためにホノルルを訪れたときのハプニングだった。いきさつは、次のとおりである。

1.結婚式当日の朝、日系結婚式手配会社から教えられた教会に向かって、甥の両親と私たち夫婦の4人はリムジンでホテルを出発した。

2.到着時間が早かったためか教会は無人、われわれは教会の見学で時間をつぶすことにした。そのとき、リムジンのドライバイーが気に入り、式後に彼の車でパールハーバーに観光ドライブをすることを約束した。もちろん費用はホテル帰着後の清算、後払いとした。

3.パールハーバーへの出発までにかなりの時間があったので、その間にドライバーは昼食を済ませてくると言ってホテルを出て行った。

4.ドライバーが教会を出て行った後に、その教会はわれわれの式場でないことが分かった。あろうことか手配会社のミス、「想定外のできごと」が起こってしまった。

5.慌てたわれわれは、たまたま通りかかったタクシーに事情を話した。そのタクシー・ドライバーは日本人が挙式する教会はだいたい見当がつくというので、心当たりを探すことにした。その車は“薄汚れたタクシー”だったが、誠実そうなドライバーの提案は「地獄に仏」だった。

6.ドライバーは心当たりの教会に当たり、3つ目の教会ではまさに新郎新婦が入場するタイミング、幸いにも結婚式に間に合った。

7.式後ワイキキに戻り、手配会社にリムジンのドライバーを探し出すように強く求めた。
このままでは、パールハーバー行きどころか、ホテルから最初の教会までの料金も踏み倒すことになる。日本人としての信用は丸つぶれ、こればかりは許容できない。しかし、手配会社社の対応には真剣みを感じられなかった。

8.そこでホテルに帰り、“車寄せのベル・キャプテン”に事情を話し、ドライバーの発見を依頼した。
ベル・キャプテンは、無線機で心当たりと連絡をとり合い30分もしないうちに、リムジンのドライバーを捜し当てた。

9.間もなく車寄せ(=下の写真)でドライバーと私は再会し、衆人環視のハグとなった。もちろんやや遅くなったが、当初の予定とおりパールハーバーに向かった。

           ドライバーと再会したホテルの車寄せ
           
                
この件では、“薄汚れたタクシーのドライバー”と“車寄せベル・キャプテン”の対応は頼りがいがあった。この件も一例だが、洋の東西と国の成熟度を問わず、現場には頼りがいのある人は多く、世の中捨てたものではない。


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