さっかんの小部屋

個人的な日々のできごとです。ご笑覧あれ。

水とセメントの比率について

2006年09月30日 | 土木のこと
前回,コンクリートの配合(材料のバランス)は品質に大きな影響を及ぼすと述べました。
端的に言いますと,配合が悪いと,品質の悪いコンクリートになります。

これを少し検証してみます。

その前に,コンクリートの配合を説明するとき,よく用いられる言葉に「水セメント比(W/C)*1」というのがあります。
これは,水(W)の重量がセメント(C)の重量のどれくらいかを百分率で表したものです。

例えば,セメント200㎏に水80㎏を混ぜるような場合は,
水(W)/セメント(C)=80㎏/200㎏
W/C=40% となります。

よいコンクリートとなる配合は,材料の条件や使う場所によっても異なります。
でも,私は基本的に以下のように考えています。

(1)水セメント比(W/C)は,25%~40%程度でよい。
(2)コンクリートを打設*2するときの作業性を損なわない範囲で,水とセメントの量は,できるだけ少ない方がよい。

下の表は,以前に示した配合の例です。
 体積(ℓ)重量(㎏)
セメント100316
173173
332880
砂利345914
空気 500
10002283

この配合の水セメント比(W/C)は,水(W)173㎏,セメント(C)316㎏ですので,
W/C=173㎏/316㎏≒55%です。

セメントの水和に必要な水は,W/Cで25%と言われています。
また,W/Cで15%程度の水は,ゲル化して,コンクリート中にとどまると言われています。

つまり,他のことを何も考えないと,水セメント比(W/C)で40%以上の水は,コンクリートの配合では必要ないということになります。
表の配合では,約15%(47㎏)の水が不要です。

この水は,コンクリートが固まる途中で,空気中に抜け出てしまいます。
この抜け出た所を通って空気や水が侵入してきます。
その結果,中性化などの劣化の進行が早くなります。

また,固まりかけたコンクリートから水が抜け出ようとすると,コンクリートに縮もうとする力が働きます。
ところが,固まりかけているコンクリートは,縮みません。
そして,縮まないかわりに,ひびが入るのです。*3

これは,固まったお餅がさらに乾燥すると,ひびか入るのと同じ理由です。
特に下の写真のように長い構造物では縮もうとする力も強く,いくつものひび割れが発生します。


壁状の長い構造物


途中にはひびが入ってます


■結論:水セメント比(W/C)は,できるだけ小さいほうがよい。


*1)W/Cは「水セメント比」を表す記号で,「水セメント比」と読まずに「ダブリュ-・バイ・シー」と読む方もいます。
*2)コンクリートを型枠の中に入れ,締め固める作業を「打設(だせつ)」といいます。
*3)乾燥とコンクリートの収縮によって発生するひび割れですので,「乾燥収縮ひび割れ」と呼ばれます。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
40% (saykiyo)
2006-10-02 19:49:49
そういうわけで、水セメント比(W/C)は40%以上となるんですね。

確か授業で聞いたはずなんですが、忘れていました。



兵馬俑のトラックバック有り難うございました
返信する
saykiyo さま (さっかん)
2006-10-15 01:13:15
先週の連休中に,江戸東京博物館へ行ってきました。

兵馬俑,人が多すぎて入れませんでした(泣)。



それでも,常設展は大きくて,あそこだけでも一日あっても足りません。

また行きたいものです。
返信する

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