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クルーグマン 午前3時の電話

2008年09月30日 00時30分25秒 | ポールクルーグマン
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午前3時の電話 By PAUL KRUGMAN 2008.9.28

今は午前3時だ。2009年も数ヶ月がたっている。ホワイトハウスの電話がなる。いくつかの大きなヘッジファンドが破産しそうだと、電話の向こう側の声が告げる。マーケットが開いたら、大混乱になるだろうと。あなただったら、誰にこの電話をとってほしいと思うだろうか?

僕は別にメロドラマの話をしているわけじゃない。昨日発表された救済プランは、ヘンリー・ポールソンが最初に発表したものははるかによくなっていて、議会を通過させるのに十分だ。でもいくらいいプランがあっても、それで危機が終わるわけではない。きっと次の大統領も、同じくらい大きな金融危機に対応しなければならないだろう。

だから二人のうちどちらが、結局電話をとって危機に対応できそうかどうすればわかるだろう? たしかに、バラク・オバマは経済や金融の事情に明るいし、分別もある。でももう一方のジョン・マケインときたら、僕を怖がらせるには十分だ。

オバマについては、救済策の法案をめぐるディベートでもっとリーダーシップを見せてくれず、そのかわりに、議会の民主党、主にクリス・ドッドとバーニー・フランクに任すことにしたのはがっかりだ。でもオバマも議会の民主党の周りにも、ものごとにきわめて精通している、聡明なアドバイザーがそろっている。しかもポール・ボルカーやロバート・ルービンのように金融危機を経験した専門家がすぐそばにいるのだ。

そしておそるべき存在のマケインは、数週間前より現在のほうがはるかに、そのおそろしさを増している。

もちろんわれわれは、マケインが経済に詳しくないことはずっと前から知っていた。自分でもそういってたくらいだから。ただ今では、自分でそういったことを否定しているんだけど。でもアドバイザーがよければ、それほど問題にはならないが、なんとそれもひどいときている。

思い出してほしい、マケインの経済の後ろ盾はフィル・グラムで、根っからの規制廃止論者だ。上院議員のときには、金融デリバティブへの監査を阻止するのに腐心していた。デリバティブこそが、リーマンやAIGを破綻に追い込み、金融市場を破綻の際までおいこんだものだ。グラムは、アメリカを「不平をこぼすやつらの国」と呼び、マケインのキャンペーンの責任者を辞任したが、まだ財務省長官の候補者でもある。

そして昨年、マケインが自分に経済政策についてアドバイスしてくれる「経済学者、学者、著名な保守派リーダーのすばらしい一団」を集めたとキャンペーンで喧伝したとき、だれが脚光を浴びたと思う、ケビン・ハセット、「ダウ36000」の共著者だ、もう、なにも言いたくないよ。

さて、マケインのアドバイザーが貧困なことの大部分は、共和党のぼろぼろの知的状態を反映していると言っていい。金融危機を解決するのに、キャピタルゲインへの税金を削減しようなんて共和党の提案ほど、経済的に見てひどい提案はそうそうない(問題のある金融機関には、明らかに、税金がかかるようなキャピタルゲインがあるわけない)

でもブッシュ大統領でさえ、政権の末期だが、経済判断においては比較的しっかりしている。僕はポールソンのことをそれほど評価しないが、前任者よりはるかによくやってると思う。この点では、マケイン政権になればブッシュ政権時代はよかったなぁと思うようになるかもしれない。

この数週間でまさしく明らかになったのは、マケインの経済への見方がまったく一定しないことだ。あるとき、とても強気な意見を言うと思えば、数日後には、まったく正反対の意見を述べるといった具合だ。

9月15日に、今年になって少なくとも18回目だが、マケインは「われわれの経済のファンダメンタルは強い」と発言した。それもリーマンが破綻してメリルリンチが買収されて、金融危機が新しい局面、それもより危険な段階にはいったまさしく次の日にだ。

でも三日後に、アメリカの金融市場は「カジノ」になっていると声高にいい、SEC(証券取引委員会)のトップを解任するとぶちあげた。ちなみに、SECのトップには大統領の権限はおよばないんだけどね。

それから、マケインは新しい悪役をみつけた。ファニーメイとフレディ・マック、政府が出資している貸し手だ(ファニーメイとフレディ・マックはいくつかの本当のスキャンダルを除けば、今回の危機の発生にはほとんど関わっていない。悪質な貸出のほとんどは、実際には民間のローン業者のものだ)。そしてマケインは道徳をもちだして、他の政治家が、それにはオバマもふくまれるが、ファニーメイとフレディ・マックの貸し出しに関わっていると非難した。まぁそれもちょうど先月、マケインのキャンペーンの責任者の会社がフレディーから貸し出しを受けてることが分かるまでだったが。

それからポールソンがプランを発表すると、マケインはここぞとばかりに非難をはじめた。でもプランが発表された数日後に自分でもみとめたが、じっさいにはたった3ページのそのプランを読んでなかったんだ。

さて、僕の言ってることをわかってくれたと思う。

現代の経済は、これでわかったように、危険がいっぱいだ。それも強がって、悪者探しをすればいいような危険じゃない。マケインは、自分が目指している職業のこういった側面に対応できるだけの判断力と思考力をもちあわせてるのだろうか?

クルーグマン、ミクロ経済学




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2 コメント

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検索 (kkt_2008)
2008-10-03 22:08:51
検索してくださいって書く自分も大概親切だなと。
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Unknown (通りすがり)
2008-10-02 08:01:55
英語で読みたいので、原文へのリンクをお願いします
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