事件、あるいは、そうだな、おいつめられてるわけ

Jamie Zawinskiは、ネットスケープの開発者。その雑文（http://www.jwz.org/gruntle/）サイトから。

事件

人間関係に問題を抱えている人がいる。なにをしていても、どんなに努力してもいつもある種の問題やなんかから逃げられないみたい。そんな人、知ってるでしょう？　彼らが関わるとなにもかもが悲惨なことになるし、どんなに感じがよくみえても、避けて通ったほうがいい。

僕？　僕はコンピュータの問題を抱えている。

僕とコンピュータの間柄は、全くの機能不全の関係といっていい。普通の人が毎日やっているような簡単なことが、大絶叫へとつながるんだから。僕は自分が、人に対して心底怒りをおぼえるような状況におちいったことはほとんどない。にもかかわらずコンピュータときたら、ほとんど定期的といってもいいくらい、僕を激怒させる。この数週間は、とくにひどかった。目をつむって、深呼吸をして、なにもかもをめちゃくちゃにしないように自分にいいきかせるのを意識的にやらなきゃいけなかったことが、記憶に残っているだけでも十回以上。

今日は、この二週間で二回目。クラブのファイヤーウォールとゲートウェイのマシンがおかしくなった。パケットを全部ルーティングしなくなっちゃっいましたと。sshとhttpのコネクションも同じく。でも100％ダメってわけじゃない。僕がつないでいたsshのコネクションはきちんと動いて、レスポンスも大丈夫ときた。でも新しいコネクションは、はれない。僕は何時間もかけて、設定をリロードして、tcpdumpをとって、パケットのログをみて、ぼくにできるかぎりのことをすべてやった。でも何も状況はかわらない。

で、僕はマシンを再起動した。3日前と同じようにちゃんとうごくようになった。3日前にも再起動した、その前は290日くらいはちゃんと動いてたのに。ipfの設定は何ヶ月もかえてない。

こういった、たわけたことが、しょっちゅう僕には起こるわけ。いつもいつもこんな風。つじつまがあう原因さえわかりゃしない。高度放射能汚染でもされてんのか？　どっかで魔女を怒らせて、のろいでもかけられてんのか？

そして、ここは強調しておきたいが、僕はこれを少しも楽しんでない。たしかに、じゃあなんでそんなことやり続けてるの？　って。僕にもわからない。たしかに未だにソフトを書くのはふつうに楽しい。でも今後一生涯やるつもりがないのは、システム管理者だ。僕はそれが嫌だ。いつもずーっと嫌だった。もしベン図を描いてみれば、次の２つの円にはかさなるところは全くない。一つは「僕が本当に幸福なとき」、もう一つは「ルートでログインして、ケーブルを抱えて、ケースをあけてるとき」

そしてすべての人間関係の問題とおなじように、僕もただ立ち去るというわけにはいかないみたいだ。僕は最後にはみんながコンピュータ業界といってる汚水槽を離れたし、これ以上どうすりゃよかったっていうんだい？　僕のナイトクラブにはコンピュータが山盛りで、それを全部僕じゃなく誰か他の人にやらせるほど十分なお金はないときている。

僕は「さわるな」って書いてあるこの柱のところに、これからもずっと立ってるんだろう。

そういえば、先週の惨事の結果として、僕が注文した新しいマザーボードと電源が今日届いた。夜はこれをなんとかするのが僕の役目。

はじめるまえに、飲んじゃおう。だって、これ以上事態は悪くなりようがないだろう。