くまくまDays~アデレードな日常~

新しい環境の中で感じたことをつれづれに書きつづります。

失業率5.3%に悪化

2011-09-08 18:50:14 | オーストラリアについて
本日、オーストラリア統計局(ABS)から発表された、8月の雇用統計によると、オーストラリア全体の失業率は、先月(7月)の5.1%から0.2%悪化し、5.3%になったそうです。フルタイムの雇用が12600人失われ、2900人のパートタイムの雇用が創出された結果、相殺で9,700人の雇用が失われた結果になるそうです。市場では、鉄鋼ブームなどを背景に、失業率が改善することを予想していただけに、「サプライズ」としてとらえられているようです。

一方で、昨日発表された、第2四半期のGDPは、対前期比で1.2%の伸びとなり、クイーンズランド州の洪水などの影響から復興が着実に進んでいることがうかがえます。特に、クイーンズラン州のGDPは対前期比3.5%と大きな伸びを示しています。

スワン財務相やギラード首相は、「オーストラリア経済のファンダメンタルは依然として強い」として、経済運営に自信を見せていますが、一進一退というのが正直なところではないでしょうか。今週行われたオーストラリア準備銀行(RBA)の理事会では10か月連続で金利を据え置くことを決定したばかりです。個人消費や住宅などが頭打ちする一方で、鉄鋼ブームなどの一部のセクターは過剰な拡大を続けていることに、どのようなバランスをとるのか、といったところがポイントとなっています。

個人的感想をいえば、概して、オーストラリア経済は、調整局面に入ったと言えると思います。もちろん、西オーストラリア州を中心とした鉄鋼ブームは短期的に終わるものではないと思いますが、インド、中国などの新興国がどのタイミングで金融引き締めをはかるかわからず、さらに、鉄鋼ブームの恩恵が、それ以外のセクターに広がっていないことが、政治的にも、経済的にも問題となっており、一般の庶民と呼ばれる人々の生活は、連邦政府が予想するよりも苦しいものになっていると考えられます。

さらに、最近では、主要企業によるリストラの動きも出ています。先月のことになりますが、カンタス航空で1,000人規模、ウェストパック銀行で1,000人規模、ニューサウスウェールズ州公務員で390人など、世界経済の不透明さから、早くも解雇・整理の動きがでており、今回の失業率悪化も、それらの動向を反映したものであるといえます。

これは裏付けがなく、直感的なことで恐縮ですが、オーストラリア人の特性として、easy goingなところがあげられます。つまり、経済がうまくいっている時はそれを実感することはなく、ちょっと悪くなったら、大変だ~!!と騒ぐところ。大して大変でもないのに、「Tough」と言う人が多いのには、個人的にはいつも??でした。

一方でインフレは進行しており、賃上げ要求は着々と進んでいます。雇用さえ守れない状況で、賃上げなんて・・と思いますが、それとこれは別の話。ということなのでしょうか。

単純には比較的ないでしょうが、日本の直近(7月)の完全失業率は4.7%。これらの数値は宮城、福島、岩手の3県以外の数値となっているので、あくまで参考でしかないですが、超円高などこれだけ厳しいと言われている日本経済でさえ、5%を下回る失業率ということは、いかに日本経済が、経済の底力をもっているか、の証左ではないでしょうか。

それにしても、毎月発表される各種経済統計に市場は振り回されますね・・。一種のお祭りのようになっているのを、どこか冷めた目で、ゲンキンだなと思ってしまうのは、私がまだまだ経済人間になりきれていないということですかね。

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