ぶろぐのおけいこ

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伊勢大橋 ~「歌行燈」に引き寄せられて(2)

2022-06-13 20:09:10 | PiTaPaで歩く

 東京から370kmくらいの道のりになるらしい。国道沿いに和菓子屋さんがあるのですが、はまぐり最中という商品があるらしい。

 早くもはまぐりが登場しました。私と同じように「好きで」国道を歩こうという人はほとんど見かけません。一組だけ、私と同じくらいの年恰好のご夫婦らしき二人が歩いていましたが、いで立ちが長距離を歩くようには見えません。特に女性のほうは日傘を差しています。日傘をもって歩くのは疲れるのにと余計なことを考えてしまいます。かといって地元の方のようにも見えません。どこまで歩かれるのでしょう。

 栗の花の匂いがします。もうそんな季節になったのかと思います。

 交差点で懐かしいワードに出会いました。輪中。わじゅう。小学校の4年生くらいだったでしょうか。社会科の教科書に出てきました。ほとんど忘れてしまいましたが、木曽川の下流辺りでは土地が低く、すぐ水害が起こるので集落を堤防でくくって、水害を防いだ…というような半端な知識しか残っていません。何十年も輪中という言葉を聞かないなと思っていたら、そもそも土地が改良されて、輪中の文化がもうほとんど残っていないそうです。

 しばらく歩いて、又木神明社と書かれた神社で休憩させてもらいます。風が涼しく、とても心地よい。そばに長島川が流れていて、近くに長島水辺のやすらぎパークというのがあるらしいのですが、今回はパスしてまた歩き始めます(今回はパスなんて、次回はあるのだろうか?)。

 国道の車の列の向こうに宇宙船。長良川河口堰です。ほどなく伊勢大橋に到着。長良川、揖斐川を一気に渡る、1100mあまりのこの橋は尾張大橋供用の翌年、昭和9(1934)年にデビューしており、尾張大橋の弟さんと言えましょう。こちらもご高齢。外観は兄弟のごとく、よく似ているように思いますし、ヘタリ具合もよく似ているように見えます。歩道が狭いことは尾張大橋同様ですが、こちらの歩道は赤さびた鉄板のまま。歩道からは下流側20mほどのところに橋脚が出来上がっており、ご老体の伊勢大橋のかけ替えのため、新しい2車線の橋を建設するそうです。その後、現在の伊勢大橋を撤去、新設し、4車線の橋にするという計画が出来上がっているそうです。

 歩道からはすぐそこに長良川河口堰がよく見えます。30年ほど前、この河口堰建設反対運動が盛り上がったのをよく覚えています。結局河口堰は建設、運用されていますが、建設が正しかったのかそうでなかったのかは、私にはよくわかりません。調節ゲートの上屋は、宇宙船が規則正しく並んでいるように見え、その向こうにあるなばなの里のアイランド富士と呼ばれるアトラクションが宇宙の光景にアクセントを添える。

 長良川、揖斐川の間には堤がつくられていて車道もあります。その車道は伊勢大橋の中ほどで国号1号線に接続します。十字路ではなくT字路になっていて、この接続が1号線の渋滞の原因にもなっているそうです。だって橋の中ほどで赤信号により流れを止めなきゃならないわけですからね。揖斐川になると葦が水辺にたくさん生えていて、隣同士の川の趣に差があることに気づきます。それに揖斐川には流れがある。不思議なことに長良川部分には手すりの上に金網が拵えられています。歩行者が落下しないようにということでしょうか。歩行者がみだりに物を投げ込まないようにということでしょうか。揖斐川は突風が強くて、飛ばされないようにということでしょうか。

 木曽川、長良川、揖斐川と三川が整然と海まで流れ込んでいるように見えますが、これは明治になって木曽三川分流工事というのを25年かけておこなった結果であることも、この年になってやっと知りました。それまでは、もっと細かく川が入り組んで洪水のたびに陸地が変化するような状態であり、だからこそ輪中が出来上がったというわけです。

 もっともこの三川を渡った近代技術は国道よりも当時の関西鉄道、現在のJR関西線のほうがずっと早い。関西鉄道は明治28(1895)年に弥冨、桑名間を開業させています。これにより、名古屋-草津間が全通となったというわけですから、やはり木曽三川に橋をかけるのは難しい工事だったのでしょうね。

 伊勢大橋を渡り終え、国道1号線の歩道を桑名駅方面に歩きます。このあと、七里の渡し跡方面に行きたいので、揖斐川の右岸を下るほうが近道だとは思うのですが、それでは日陰がほとんど期待できません。国道沿いのバス停にふと目がいきます。乗るつもりはないけれど、桑名行きのバスはと探してみる。えっ?平日も休日も一日一本。23時10分初桑名駅前行きのみ。不思議な路線バスがあるものです。以前に、年に1本だけ運行される路線バスを偶然見つけたことがありますが、それに次ぐ驚きです。バス停の名前は伊勢大橋南詰。東京日本橋からここまで380.6kmだそうです。

 

(つづく)


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