スターバックスに代表されるような、シアトル系と呼ばれるコーヒー屋さんは、私のような者にはどうも落ち着きません。昭和の時代に大きくなった私には、喫茶店と呼ばれるような、あのコーヒーの香りと煙草の匂いが混然と壁に染み付いたようなお店が心地よい。カウンターにはサイフォンがいくつも並んでいるようなお店。
中には、理科の実験器具のようなガラスパイプだらけの水出しコーヒーを淹れる器具が、(本当にそれで水出しコーヒーを作っているのか、演出上の小道具なんだかわかりませんが)置いてあるお店もあったりする。水出しコーヒーを入れるのは時間がかかるらしく、注文が出てから作れるコーヒーではないと聞いたことがあります。お店では値段も、ブレンドコーヒーの倍ぐらいした!ような気がします。もちろん、そんな高価なもの飲んだことはありません。
近頃、コーヒー屋さんとか、食器のコーナーなどへ行くと、水出しコーヒーが作れるポットなんてのが売っています。それだけ需要があるということなのでしょう。私の見たところ、家庭用水出しコーヒーポットには大きく2タイプがあるようです。ひとつめのグループは、コーヒーの粉?を水に漬けておくタイプ。言ってみれば、アイスティやアイス緑茶を作るのと同じ理屈のタイプです。ふたつめは、コーヒーの粉に一定間隔で水滴を落下させていくタイプ。どっちが美味いのか素人にはわかりませんが、おそらくこちらのほうが、「理科の実験器具」に近いのだろうと思っていたら…
ある日、ご主人様が水出しコーヒーを入れる器具を買ってきました(正確には通販で自宅に届けられた)。その器具は、上下に三層の構造になっています。一番上は、水を入れておくポット。1秒間に1,2滴の割合で水を落としていく。2番目はコーヒーの粉を入れておくドリッパー。上からの水が通過するときにコーヒーを抽出します。一番下は説明するまでもなく、抽出液をためておくサーバー。こんなふうになっています。つまり、水滴ポトポトのタイプですね。
コーヒー屋さんに行ってアイスコーヒー用の豆を、「水出しコーヒー用に…」と挽いてもらい、作ってみます。あらかじめコーヒーの粉を十分湿らせて泥団子状くらいに湿らせておくことが注意点のようです。水滴程度にしか水が落ちてこないので、乾いたままの粉だと最後まで水が通過しない粉が残り、抽出不足になるぞと書いてありました。400ccほどを作るのに約2時間だそうです。
想像したとおり、旨い!雑味が少ないと思いました。私はアイスコーヒーも好きで、夏場には飲みたいと思うほうです。アイスコーヒーに限ってはシロップとミルクを少し入れたいと思っているのですが、水出しでは、そのまま飲んでも十分に味わいがあります。雑味が少ないと言えばいいのだろうか。カドが取れた味と形容すればいいだろうか。新しい味を体験できました。
コーヒー豆を機嫌よく消化してしまったので、先日のコーヒー屋さんに行ってまた豆を買いました。「このアイスコーヒー用の豆を、水出し用の粗さで挽いてください」すると、先日とは別の女性スタッフが、「アイスコーヒー用の豆ですが、それは水出しには使えないのですよ」と言い、水出し用のは、こんなパックしかないんですが、これを使っていただいてます。」水滴ポトポトではなく、麦茶のパックのようになったものを勧めます。「いや、先日はアイスコーヒー用豆を挽いてもらって、おいしかったよ」女性スタッフは、首を傾げながら挽いて真空バックにしてくれました。帰宅して確認しましたが、確かにアイスブレンド。前回と同じものです。
ということは…。フレンチローストなどの深煎りなら、水出しになるとってことね。水出しでもバリエーションが楽しめるってことだ。ひとつ、賢くなりました。
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