『地蔵寺(桂地蔵)
浄土宗の寺で、京都六地蔵巡りの霊場である。
本堂に安置される本尊の地蔵菩薩(桂地荿)は、平安時代の初期に、小野篁が一度息絶えて冥土ヘ行き、生身の地蔵菩薩に出会って蘇った後、一本の大木から作った六体の地蔵菩薩の一つであるといわれている。
当初、六体の地蔵菩薩は、木幡(現在の伏見区六地蔵にある大善寺)の里に祀られていたが、保元二年(一一五七)に、平清盛によって、都の安泰を祈るため、都に通じる六つの街道の入口
にそれぞれ安置されたと伝えられる。
この地蔵菩薩は、木の最下部をもって作られたもので、世に姉井菩薩と呼ばれている。毎年
八月二十二、二十三日の六地蔵巡りには多くの人でにぎわう。
本堂の東に鎌倉初期の石造薬師如来坐像を安置し、境内には石造宝篋印塔がある。また、昔、この辺りは、桂川の渡しに近く、桂大納言源経信や伊勢女等の歌人の住居があったといわれている。
京都市』
(駒札より)
京都六地蔵の一つ。地蔵寺、通称桂地蔵を訪れた。京都六地蔵とは以下の六カ所を指す。
・奈良街道:伏見 大善寺
・大坂街道:鳥羽 浄禅寺
・丹波街道:桂 地蔵寺
・周山街道:常盤 源光寺
・鞍馬街道:賀茂 上善寺
・東海道 :山科 徳林庵
六地蔵の由来は上記の駒札の説明書きの通りであるが、どこまで真実なのかは不詳だ。言い伝えでは、小野篁が一本の大木から6体の地蔵菩薩を彫ったと言われ、当初は伏見の大善寺に全て置かれたと言う。後年、京都に通じる6街道の入り口に分散されたとされている。これらの地蔵菩薩を巡る六地蔵巡りは、今現在も非常に盛況だということだ。
このことは以前から知ってはいたが、一度上記のすべての地蔵菩薩を訪れてみたいと思っている。今までは大善寺の地蔵菩薩を見に行っただけだ。そして今回、桂地蔵を2箇所目として訪れた。
山門を入って境内を見渡すと、比較的新しい建物が目立つ。再建されたものだろう。境内自体は植物は少なく、割とそっけない感じだ。塀沿いに石造物がいくつか置かれている。これらの中には鎌倉時代作の物があると言う。どれがどれかはよくわからなかった。
本堂を覗かせてもらうと、巨大な白く塗られた地蔵菩薩が拝見できる。大善寺で見たものとほぼ同じ大きさで、色彩もほとんど同じと言っていい。まぁ同じ人物が彫ったというのだからそれは当然だろう。
境内そのものは決して広くはないので、写真撮影自体はすぐに終わった。ただ墓地の方にあると思われる鎌倉時代の宝篋印塔は知らなかったので、見ないまま帰ってしまった。後で調べてわかったので極めて残念。石造物にしても宝篋印塔にしても、由緒がはっきりしていれば鎌倉時代の物ということで、重要文化財に指定されてもおかしくはない。実際に大善寺の地蔵菩薩像は国の重要文化財に指定されている。ではここの地蔵寺のものはなぜ指定されていないのか。あるいは他の地蔵菩薩はどうなのか。その辺りは疑問が残るが、機会があれば調べてみたいとは思う。
地蔵菩薩はこれら以外にも少ないものの、いくつかのお寺で拝見したことがある。中には重要文化財指定のものもあった。地蔵菩薩像は綺麗な色が塗られているので、一間古さを感じさせない。まるでつい最近製作されたような感じにとらわれる。しかし駒札の説明書きなどを読むと、その歴史的な貴重さに重みを感じさせられた。
なお最初に6体が安置されていた大善寺は、今も宇治市の六地蔵にある。もちろん地名の六地蔵というのは、この京都六地蔵から名づけられたものだと考えられる。
地蔵菩薩像そのものを撮影することもでき、なかなか満足感が高かった。
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