6.危険な再会
2020-10-18 15:26:54
2015-11-09
キラシャとケンは、深い霧の中にたたずんでいた。
「ここはどこ…? 」
不安な気持ちをケンの手をぎゅっと握りしめて
何とか落ち着かせようとするキラシャだった。
静まり返った広場らしい場所に
やがて、モクモクと煙がたつように
光の混じった白い霧が現れた。
「来たな!」
ケンは、その光る霧が激しく舞いながらおさまってゆくのを
じっと見守った。
霧が少しずつ消え、そこに現れたのはタケルと見知らぬ男の子達。
キラシャは、すぐ真ん中にいるタケルに気がついたが、
タケルは、キラシャとケンがしっかり手を握っているのが見えると、
それ以上2人を見ていられず、すぐに下を向いた。
何ヵ月ぶりの再会だったが、タケルの表情には、
同じエリアで遊んでいたころの子供っぽい面影がなかった。
『あのころのタケルが、家で飼われたリスだとすると
今のタケルは、野原で餌を追うキツネかなぁ…』
野生化した動物を見るようなドキドキした気持ちで
キラシャはタケルの様子を見守った。
しかし、いきなり近くで爆発音が轟いた。
タケルはケンに向かって「キラシャを守ってくれ!! 」と叫ぶと、
他の男の子達と武器を持ち、こちらを狙って撃ってくる銃の方向へ
身体を低くして、小走りに近づいていった。
ケンは用意していた防弾シーツを広げ、片手でキラシャを抱きしめ、2人で崩れた建物の壁を乗り越えて、銃声から遠く向かって走った。
近くに別の崩れた建物が見えたので、ケンがキラシャに合図をして、その建物の陰に隠れると、Mフォンでタケルたちの姿を映像としてとらえた。
「何で撮影してるの…? 」とキラシャが聞くと、ケンは小声で言った。
「ヒロが、みんな準備してくれたんだ。これを撮影してるドローンも、この防弾シーツも、キラシャとタケルが会うために必要なんだって…」
「タケルは、誰と闘ってるの…? 」
「それも、オレにはさっぱりなんだ。
ヒロが言うにはさ。タケルはキラシャに、自分の闘ってるとこを見ていてほしいって、言ってたって…」
「何のために…?」
「さぁな。オレにはわかんないけど、タケルには闘わなきゃならない相手がいるらしい…」
…その時、後ろの方でガザっと土を踏む音がした。
「…ひょっとしたら、オレたちがここにいるってことも、
…バレてたのかな…? 」
ケンとキラシャは、恐怖で後ろを振り向くことができず、身体をこわばらせたままじっとしていた。
「今、手に持ってるものをこっちにもらおうか!」
銃を構えるガチャっという音をさせながら、なまりのある共通語で、後ろにいる男が声をかけてきた。
ケンは、Mフォンを握ったまま、恐る恐る手を上げた。
「なんだ、銃も持ってないのか、よくそんなナリでここにやってきたな。」
また、近くで大きな爆発音がとどろいた。
ケンとキラシャは、耳がキーンとしたまま何も聞こえなくなり、そのまま気を失ってしまった。